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最終章:亡花の禁足地
56日目.交錯
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先に進む度、霧は少しずつ濃くなってきている。それに伴って、頭に怠さが襲う。抗体ができていない影響は思っている以上に大きそうだ。
「何だ…」
茂みが揺れる音がして、俺は警戒しつつ音鳴る方に顔を向けた。
すると、茂みから黒いスノードロップが急成長して、微粒子を惹きつけ始めた。花弁は分離し、花吹雪となり視界を覆い尽くした。
「……遭難したかも分からないな…既に、ただの山奥ではなくなっているようだけど。」
シザンサスに引き込まれた時のような幻想的な花畑。ただ、その光景は以前よりも現実離れしていて、綺麗なようで何処か不気味でもあった。
そんな花園に屈することなく、俺は再び歩き出した。
「………。」
四方八方から妙な視線を感じた。それぞれ視線のする方向に目を向けると、開花していた花は蕾となった。まるで監視されているようだ。
気にせずに前に進むと、視界が歪み始めて、息が上がってきた。
「……はぁ……さ…寒い……」
体温が徐々に下がっていく感覚は薄々感じていたが、影響が出始めた。
ただ、単に体温が低下していることだけが理由じゃないだろう。歪んだ視界の中で、赤い霧を構成する微粒子が、人影の形としてチラつく。得体の知れない恐怖を煽られていた。
「暫定一般人じゃ厳しかったか………いや、後には…退けない…!」
このまま耐え続けたところで、聡が言っていたように“廃人化”してしまうと悟った俺は、一度足を止めて深呼吸をする。
微粒子が人体そのものに害がないことは、ここまで来られた時点で分かっていること。微粒子が干渉できるのは五感のみ。
その五感の歪みが精神を破壊して、意識という名の魂を無防備な状態にしていると解釈している。
身体を伸ばすと、蓄積されてきた不安は和らぐ。俺はロケットペンダントを開き、一言零した。
「那緒……見守っていて…。この歪な空間を早く抜け出して、全部終わらせるから……」
花の亡霊シザンサスはもう居ない。だけれど、赤い霧による攻撃は全て精神に対してだ。守られている思い込みだけでも、あるのとないのとじゃ違うはず。
事故を用いて物理的に葬ろうとする可能性も考えられるけど、クロユリは幸福の破壊を娯楽にしていると以前口にしていた。奴は六十六年もの間、魂を吸収するためにこの世に存在し続けていたはず。それなのに急いでいる様子がないということは、楽しんでいる節もあるように思う。
大規模な事故を誘発することは、大勢を廃人化・本当の意味で“灰”とする手段の一つ。狙いを定めた一人に対して行うことは、そこで留めておきたいはず。
そうとするならば、奴の傾向的に考えても、幻惑することで俺を追い詰め、失踪事件で済ませようとしてくると思える。
「……読みが当たっているなら、奴は相当狡猾だ…」
クロユリは決して無機質な存在ではない。効率よりも感情に沿っている場面が多々見られる。心理戦は充分に通用するはず。例え呪いを相殺する術がなかったとしても、忍耐力が無力化される訳ではない。
止めていた足をほぐして、周囲に警戒しながら前進した。
奇怪な木々を抜け、折れた石柱が散りばめられた小道へと出た。毎度思っているが、文明の形跡があることは怖い。誰かの築き上げたものが、簡単に破壊されたような気を起こす。
「あれは……」
小道の最奥に見えるもの、それは植物に侵食された教会のような建物の跡。
「あの建造物…何処かで……」
その教会のような建物に既視感を覚えた俺は記憶を辿った。すると、一つの記憶と合致した。
「ッ!…夢が跡……」
聞いたことがある。かつて、まだ未発達だった文明を襲った災害から逃れるために、人々は神に救いを求めたと……。
__________________
「いいか蓮斗。この世で最も禁忌と呼べる行為は、卓越した存在への干渉だ。自らが手に負えないものに縋るのは、もしもの時に取り返しのつかない事態を招くものだ。」
幼きあの日、まだ言葉をあまり理解してなどいない俺に祖父はそう教えていた。こうして覚えていられるくらいには、習慣となっていた。
夢が跡。それはかつて、神と人間の架け橋となった教会の跡地。図書館の奥底で、とある文献に記されていた。
「蓮君!なーちゃん!これ見て!」
小学校に上がったばかりの頃のこと。聖穂はそう言って俺と那緒に一枚の古い写真を見せてきた。
「聖穂これは?」
「私の家で見つけたんだ~!白黒だけど、私は見えるよ。とっても鮮やかなお花畑だったんだなぁって!」
色々な植物が植えられたまだ新設の頃の教会の写真。聖穂の言う通り、色があったらとても鮮やかだったことだろう。
「私もそう思う!……でも、白黒になっちゃうだけで、寂しい感じになるね……」
「確かにね。色って印象を変えるよね……」
「二人とも、想像力を膨らませて!目に見えるものが全てとは限らないよ。」
「そうかもね。」
那緒が言う“白黒だと寂しい”も、聖穂の言う“想像力”も、人間の精神に欠かせない要素だと今、改めて思い出した。
唱、実と那緒との四人で地域の調べ学習を行った時もあった。至るところに点在する石碑の数々。聞き込みをしたり本を読み漁ったりなどして、地域の歴史を辿っていた。
「この本の内容……ちょっと気にならない?」
そう言って実はとあるページを開いて、棚から俺達のいる机に持ち寄って来た。
『鉄道から黒煙が昇り、多くの人々が亡くなった。伴い、人々の心に深い傷ができた。七日後の黄昏時、空は紅に染まり、雨を滴らせた。沈む夕日は人前に姿を現さず、赤い空は一夜続いた。翌朝、人々は太陽を目にすること無く、心を曇らせた。』と記されていた。
「次の日も雨だったから、太陽を目にすることがないってこと?」
そう那緒が疑問を口にすると、唱はそれに答えた。
「そうだと思う。だから空は赤く……ちょっとおかしい。何が空を赤く見せた……」
冷静沈着な唱でさえ、的外れてしまった。那緒が出した一つの“何故”が、他の部分でも“何故”を呼んだ。
俺達は色々な視点で話し合ってみたけど、より複雑化していく一方で、答えはその一部分も見せなかった。
__________________
当時の俺が目に耳にした断片的な話と、聡から聞いた話、夕焚や咲淋達と調べた話を繋ぎ合わせてみると、ぴったりとはいかないが、それぞれ不足していた内容に当てはまる。
「……!」
異なる視点、異なる時間が交錯して、崩されたパズルが完成した。
「この摩訶不思議な出来事にも……真相が少しずつ見えてきた気がする……それでもまだ“何故”は残っているけれど、捻り出せば手に負える……!」
断片的すぎて分からなかったことも、今ならどうにでもなる。この禁足地最大の特異性、それは“精神が交わった地”であること。
何故、クロユリがこの夢が跡に根付いたのか。それは唯一情報が不足している“九州鉄道事故”の真相さえ分かれば、核心に迫れるはず。
信仰は今や抹消された歴史。この因果関係にこそ、禁忌となった理由がある。
「……あと何枚のピースかは知らないけど、何をするにしても接触する必要がある。クロユリに……!」
そう言葉を零すと、突然襲い来る倦怠感や寒さが無くなり、完璧に楽になった。
小道の奥に佇む廃教会から巨大な人影の手が伸び、手招きをする。
罠と疑うこともなく、奴の望み通りに俺は足を運ぶ。
蜘蛛の巣を被り割れたステンドグラスの真横。赤い濃霧を纏うクロユリから微粒子が分離して、実体化した花の亡霊クロユリの姿を形作った。
『よく来た。早瀬蓮斗。』
「何だ…」
茂みが揺れる音がして、俺は警戒しつつ音鳴る方に顔を向けた。
すると、茂みから黒いスノードロップが急成長して、微粒子を惹きつけ始めた。花弁は分離し、花吹雪となり視界を覆い尽くした。
「……遭難したかも分からないな…既に、ただの山奥ではなくなっているようだけど。」
シザンサスに引き込まれた時のような幻想的な花畑。ただ、その光景は以前よりも現実離れしていて、綺麗なようで何処か不気味でもあった。
そんな花園に屈することなく、俺は再び歩き出した。
「………。」
四方八方から妙な視線を感じた。それぞれ視線のする方向に目を向けると、開花していた花は蕾となった。まるで監視されているようだ。
気にせずに前に進むと、視界が歪み始めて、息が上がってきた。
「……はぁ……さ…寒い……」
体温が徐々に下がっていく感覚は薄々感じていたが、影響が出始めた。
ただ、単に体温が低下していることだけが理由じゃないだろう。歪んだ視界の中で、赤い霧を構成する微粒子が、人影の形としてチラつく。得体の知れない恐怖を煽られていた。
「暫定一般人じゃ厳しかったか………いや、後には…退けない…!」
このまま耐え続けたところで、聡が言っていたように“廃人化”してしまうと悟った俺は、一度足を止めて深呼吸をする。
微粒子が人体そのものに害がないことは、ここまで来られた時点で分かっていること。微粒子が干渉できるのは五感のみ。
その五感の歪みが精神を破壊して、意識という名の魂を無防備な状態にしていると解釈している。
身体を伸ばすと、蓄積されてきた不安は和らぐ。俺はロケットペンダントを開き、一言零した。
「那緒……見守っていて…。この歪な空間を早く抜け出して、全部終わらせるから……」
花の亡霊シザンサスはもう居ない。だけれど、赤い霧による攻撃は全て精神に対してだ。守られている思い込みだけでも、あるのとないのとじゃ違うはず。
事故を用いて物理的に葬ろうとする可能性も考えられるけど、クロユリは幸福の破壊を娯楽にしていると以前口にしていた。奴は六十六年もの間、魂を吸収するためにこの世に存在し続けていたはず。それなのに急いでいる様子がないということは、楽しんでいる節もあるように思う。
大規模な事故を誘発することは、大勢を廃人化・本当の意味で“灰”とする手段の一つ。狙いを定めた一人に対して行うことは、そこで留めておきたいはず。
そうとするならば、奴の傾向的に考えても、幻惑することで俺を追い詰め、失踪事件で済ませようとしてくると思える。
「……読みが当たっているなら、奴は相当狡猾だ…」
クロユリは決して無機質な存在ではない。効率よりも感情に沿っている場面が多々見られる。心理戦は充分に通用するはず。例え呪いを相殺する術がなかったとしても、忍耐力が無力化される訳ではない。
止めていた足をほぐして、周囲に警戒しながら前進した。
奇怪な木々を抜け、折れた石柱が散りばめられた小道へと出た。毎度思っているが、文明の形跡があることは怖い。誰かの築き上げたものが、簡単に破壊されたような気を起こす。
「あれは……」
小道の最奥に見えるもの、それは植物に侵食された教会のような建物の跡。
「あの建造物…何処かで……」
その教会のような建物に既視感を覚えた俺は記憶を辿った。すると、一つの記憶と合致した。
「ッ!…夢が跡……」
聞いたことがある。かつて、まだ未発達だった文明を襲った災害から逃れるために、人々は神に救いを求めたと……。
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「いいか蓮斗。この世で最も禁忌と呼べる行為は、卓越した存在への干渉だ。自らが手に負えないものに縋るのは、もしもの時に取り返しのつかない事態を招くものだ。」
幼きあの日、まだ言葉をあまり理解してなどいない俺に祖父はそう教えていた。こうして覚えていられるくらいには、習慣となっていた。
夢が跡。それはかつて、神と人間の架け橋となった教会の跡地。図書館の奥底で、とある文献に記されていた。
「蓮君!なーちゃん!これ見て!」
小学校に上がったばかりの頃のこと。聖穂はそう言って俺と那緒に一枚の古い写真を見せてきた。
「聖穂これは?」
「私の家で見つけたんだ~!白黒だけど、私は見えるよ。とっても鮮やかなお花畑だったんだなぁって!」
色々な植物が植えられたまだ新設の頃の教会の写真。聖穂の言う通り、色があったらとても鮮やかだったことだろう。
「私もそう思う!……でも、白黒になっちゃうだけで、寂しい感じになるね……」
「確かにね。色って印象を変えるよね……」
「二人とも、想像力を膨らませて!目に見えるものが全てとは限らないよ。」
「そうかもね。」
那緒が言う“白黒だと寂しい”も、聖穂の言う“想像力”も、人間の精神に欠かせない要素だと今、改めて思い出した。
唱、実と那緒との四人で地域の調べ学習を行った時もあった。至るところに点在する石碑の数々。聞き込みをしたり本を読み漁ったりなどして、地域の歴史を辿っていた。
「この本の内容……ちょっと気にならない?」
そう言って実はとあるページを開いて、棚から俺達のいる机に持ち寄って来た。
『鉄道から黒煙が昇り、多くの人々が亡くなった。伴い、人々の心に深い傷ができた。七日後の黄昏時、空は紅に染まり、雨を滴らせた。沈む夕日は人前に姿を現さず、赤い空は一夜続いた。翌朝、人々は太陽を目にすること無く、心を曇らせた。』と記されていた。
「次の日も雨だったから、太陽を目にすることがないってこと?」
そう那緒が疑問を口にすると、唱はそれに答えた。
「そうだと思う。だから空は赤く……ちょっとおかしい。何が空を赤く見せた……」
冷静沈着な唱でさえ、的外れてしまった。那緒が出した一つの“何故”が、他の部分でも“何故”を呼んだ。
俺達は色々な視点で話し合ってみたけど、より複雑化していく一方で、答えはその一部分も見せなかった。
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当時の俺が目に耳にした断片的な話と、聡から聞いた話、夕焚や咲淋達と調べた話を繋ぎ合わせてみると、ぴったりとはいかないが、それぞれ不足していた内容に当てはまる。
「……!」
異なる視点、異なる時間が交錯して、崩されたパズルが完成した。
「この摩訶不思議な出来事にも……真相が少しずつ見えてきた気がする……それでもまだ“何故”は残っているけれど、捻り出せば手に負える……!」
断片的すぎて分からなかったことも、今ならどうにでもなる。この禁足地最大の特異性、それは“精神が交わった地”であること。
何故、クロユリがこの夢が跡に根付いたのか。それは唯一情報が不足している“九州鉄道事故”の真相さえ分かれば、核心に迫れるはず。
信仰は今や抹消された歴史。この因果関係にこそ、禁忌となった理由がある。
「……あと何枚のピースかは知らないけど、何をするにしても接触する必要がある。クロユリに……!」
そう言葉を零すと、突然襲い来る倦怠感や寒さが無くなり、完璧に楽になった。
小道の奥に佇む廃教会から巨大な人影の手が伸び、手招きをする。
罠と疑うこともなく、奴の望み通りに俺は足を運ぶ。
蜘蛛の巣を被り割れたステンドグラスの真横。赤い濃霧を纏うクロユリから微粒子が分離して、実体化した花の亡霊クロユリの姿を形作った。
『よく来た。早瀬蓮斗。』
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