多面性を持つ最強暗殺者はただ日常を望む

やみくも

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Chapter Ⅰ:Time limit

No6.Shoggoth

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 あれから数日が経過した。変わらず俺の望む平穏が流れていた……とは言い難い。

 「聖薇君。今日の夕方もよろしくー。」

 席で仮眠していると、凛がそう声を掛けてきた。あの日以来、凛がとにかく絡んでくる。敵意は無いと思うが、あの社会を生きてる身としては、多少警戒心はある。

 「どした?寝不足?」

 「八時間は寝たな。」

 「健康体にも程があるでしょ……。」

 そんな会話を交わしたりしながらも、日常を送っていた。これが現状だ。
 しかし、明日は早朝から柊司令のお呼びが掛かっている。例の件について、手掛かりを掴んだのだろう。
 今日も放課後練習に付き合い、帰って即刻寝た。







 「入れ。」

 俺は司令室の扉をノックして、部屋に入った。司令室には柊司令の他に、数名の重要構成員が居た。

 「歪。今回遅かったなぁ。」

 「これでも時間の二十分前だぞ?全員異常な集合なだけだろ。」

 ちなみに普段の旋梨は一番遅い。とは言っても五分前には到着している。今回呼ばれた人々は、意識が高すぎるチームなのだ。

 「集まったな。これより情報共有会を始める。まず君達に礼を言おう。そして、これからも最強チームであり続けてくれ。」

 俺含め今ここにいる司令以外の人物は、サイレンス内で分けられたチームの中でも最強のチーム「Mythology」に配属している。戦闘部隊としては最高権力者にあたる。
 実はただ最強を集めたチームでは無く、加入時期で区切ってたまたま全員が怪物級に活躍した予想外に生まれたチームだ。

 「それは勿論です。ところで、敵勢力の件について結論が出たのでしょうか?」

 「そうだ。先日東京タワーで聖薇と紫藤が交戦した爆弾魔は、とある組織に関与していたようだ。「ショゴス」。それが彼らが所属していたとされる組織だ。構成員、目的合わせて実態は不明。分かっていることは、賢いテロ集団が一つにまとまった事により出来た、反抗国民唯一の戦闘機関ということだけだ。これからの敵対は避けられないだろう。あの紫藤ですら余裕を失ったからな。」

 司令がそう言うと、Mythologyの面々は驚きを……あげなかった。このチームは冷静沈着。少なくとも誰かの前では。

 「……ショゴス。神話上の生物が由来だよな?メッセージ性は…。」

 「政府のいい加減な態度を、一歯車としてしか自分達を見ていない事に対する反抗心の表明と掛けたのでしょう。」

 それから終わらない上に不必要な詮索が長引きそうだと思ったのか、司令は一旦ストップを掛けて、喋り出した。

 「今回言いたい事は、ショゴス関連で大きな祭り騒ぎになる可能性が高い。常にそれを念頭に置いてくれたまえ。では解散。」

 俺達は司令室を後にして、折角珍しくチーム全員が揃っている為、とある場所に向かった。







 「………彼らは行ったようだな。来ていいぞ。清心。」

 司令がそう言うと、ある男が隣に隠された部屋から出てきた。

 「柊よ。そっちの情報はどうだ?」

 「依頼された通り、弾圧に関しては問題無い。これからは防衛とショゴスの調査についてをメインの活動とする。」

 「そうか。柊が友人で良かった。政府の人間が裏社会の人間と繋がっているとバレれば、更に国民の反感を買ってしまうが、友人にただ会いに来ただけだもんね!」

 「相変わらずずる賢い思考回路だ。こんなのが政府の重要人物とは、世も末だな。」

 「そんなに褒めるなよ。」

 「その雑魚い頭も健在か…。」

 柊司令と清心は、書類を眺めて、情報整理を開始した。
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