多面性を持つ最強暗殺者はただ日常を望む

やみくも

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Chapter Ⅲ:Friendship

No34.Hidden mentor

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　「会ってこれたか。」

　帰宅そうそう豪馬はそう質問するが、俺は応答しない。

　「……あんたは何を企んでいた？」

　沈黙が流れ、俺はそう質問した。彼は何かを察したように切り替え直して答えた。

　「匿名に変な事吹き込まれたのか…。お前が思う通りに動いてみろ。俺は今後一切お前に関与しないさ。」

　それだけ言い残して、豪馬は自室に閉じ籠もり始めた。
　こうして、俺は完全に孤立した。いや、誰とも関与したくなかった。最早、何も信用出来なかった。
　チームを抜け、廃墟となった父の自宅に籠もる生活が始まった。幸い権利は剥奪されておらず、半年経ったとはいえ全然使えるので、整理して使っていた。
　学校にはロクに行っていない。帰る資格が無いと思った。一応自宅学習はしっかりしており、特例で高校まで進学しているが、俺の活動は基本裏のみだ。

　中学に上がる頃、俺は生活資金確保のためとあの忌々しき声の正体を掴むために、国内最大級の暗殺機構サイレンスに加入した。試験は余裕の成績で突破して、出世が確約されていた。

　全て狂った。不可抗力とはいえ、匿名の関係者に関与したのが失敗だった。だが約七年ぶりに奴の声を聞いた。何も変わっていない。
　
　「……あんたとの因縁。実質的な宣戦布告された今日、絶たせてもらう！」

　時刻に見合わず月が覗く。しかし意識が乗っ取られない。何故ならいつもと違う…「紅月」だからだ。

　「覇気が戻ったな！…来なさい。」

　豪馬は鞭により強い電気を流して地面を叩くと、畝る電気を風のように舞わせた。
　屈しずに俺は接近してナイフを投げた。しかし、豪馬は使っていない片手で受け止めた。

　「本当に成長したのか？そんな微々たる変化、七年の産物としては駄目駄目だ。」

　「これが限界な訳ないだろ！俺は本当の友情を見つけた。今度こそ仲間を死なせない。そう誓える自分になるために、お前を……超える！」

　「………良い覇気だ。目標の踏み台に位なってやるよ。」

　鞭の速度が上昇していく。動き躱しながら、俺は隙を模索する。

　「さらば……豪馬！」

　一瞬だけ僅かに開いた隙間。素早くナイフを突き出し、刺した。
　すると、豪馬は膝を着いた。割と浅く刺したため、鍛えているこいつは即死しない。

　「ぐはぁ………。強くなったな…。……刺しきらなかったのは頂けないな。詰めが甘いか？」　　　

　「あんたと一度しっかり話したかったんだ。」

　そう言うと、豪馬の表情は砕けた。

　「……俺は匿名の狙いに気づいていた。それがお前を狂わせる事もわかっていた。だが、あいつは見えない悪魔だ。半端な覚悟じゃ辿り着けない。あえて俺がお前の敵になる事で、成長を促した。」

　俺は彼の言葉を頭にインプットするように聞いていた。いつの日からか気づいていた。こいつは邪心に染まりきる事は無いと。

　「…超えましたよ。次に俺はどうすれば……。」

　「矢匿八。それが匿名の名だ。Leviathan所属。目に見えない相手は、いつだってお前を見ている。睨み返してやれ。過激派を…真っ当な善者に戻し……て……。」

　十五時十分。陰の恩師「豪馬　隼」は多量出血により死亡した。だが彼の意思は死んでなどいない。

　「……必ず終わらせてみせる。哀しい血を流さずに済む日を求めて。」

　ボロボロになった量産ナイフ。それに浴びた豪馬の返り血を拭い、俺は静かにその場を立ち去った。

　「……嘘だろ………？何故？お前がここに……。」

　Orderのリーダー絆が宣戦布告したことによってフォーメーションが崩れた豪馬組を我々が食い止めていると、想像も出来ない形で再会を果たした。

　「元気そうで何よりだ。…聖薇。」

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