怠惰の魔王

sasina

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6.世界が繋がります

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 空間が割れるような音がした後に起こった大気中の魔力減少を[グルーンの瞳]使いどう転んでも一安心出来るようにした。

 怠惰の領域内全ての大気中魔力を吸収させてしまったので、実際に魔力減少でどのくらい減ったのか分からないな。

 1割減の時に[グルーンの瞳]を使ったけど、流石に全力で発動させたので、領域内の雑魚魔物の魔力まで勢いで吸収したと思うからが結構死んじゃったかもね。

 まあ、町中で使った訳じゃないんだから、人的被害は無いと思うけど。

 さて、どうしようか?

 今起きている事はカラミタ母さんなら何か知っているかもしれないが、今の状態で転移を使っても大丈夫だろうか?

 大規模な空間破壊が起きているかもしれないこの状況で。

 一先ず外に出て、様子を確認してみるか。

収納ストレージ

 現れた黒い空間に[グルーンの瞳]を投げ込んでから書斎を出て外に向おうとすると、扉が開いた。

「ベル様、大丈夫ですか? 大気魔力が急激に減っていると思ったら、いきなりに魔力が無くなってしまいましたが?」

 扉から入ってきたのはトリシアだった。こんな時にも関わらず無表情だが少しだけ額に汗をかいている所を見ると、心配して急いで来てくれたようだ。

「前半は原因不明だが、後半のは俺がやった事だ」

「そうでしたか」

「それよりも外はどうなっている、シア」

「まだ、見ていません。行ってきましょうか?」

「いや、俺も出る。付いて来い」

「分かりました」



ーーー



 屋敷から外に出て空を見上げると、そこには大地と海があった。

「あの大地と海はイデア以外の世界なのか?」

「そうなのですか、ベル様?」

 まさか、さっきの音は世界同士の境界が衝突してしまい、境界が壊れてしまった音なのか。

 俺は地球と言う、違う世界を知っているので直ぐにその事に思い至った。

 カラミタ母さんが言っていた。イデアのある宇宙は複数の宇宙が重なっていて、例え見えなくとも干渉出来なくとも、そこには異なる宇宙があるんだそうだ。

 カラミタ母さんが何故そんな事を知っているのかはカラミタ母さんだからとしか言えないけど、本来干渉し合う事がない異なる宇宙の惑星同士が何故衝突して繋がってしまっているんだ?

「ああ、理由は分からないがイデアは別の世界と繋がってしまった様だな」

 まあ、起きてしまった事はしょうがない。今回の事は異なる宇宙について知っているカラミタ母さんならどうしてこうなったのか知っている筈だ。

 それに世界が空間的に繋がっただけなら、転移を使っても大丈夫そうだな。これが世界の境界に穴が空いたとかだったら、転移なんて使った日にはイデアの外にぶっ飛んでいたかもしれないが。

「大丈夫でしょうか。向こうの世界には何がいるのか分からないですけど」

「ここから向こうの大地まで目測でも100㎞はあると思うから、今すぐどうこうなる事は無いと思うぞ」

「そうですか」

「それじゃあ、カラミタ母さんに今の状況を説明してもらいに行くから。シア、お前は俺の領域を守っといてくれ」

「かしこまりました」

 トリシアもやっと落ち着いたのか、いつも通りに戻った。

 俺はカラミタ母さんの屋敷の前に移動する。

転移テレポート



ーーー



 屋敷の庭に【転移】し終えた。

 辺りを見るが特に変わった様子はない。

 大気中の魔力は半分まで減っているようだが、それ以上の変動はないみたいだな。

 まあ、別に[グルーンの瞳]で吸収した魔力は無駄にはならないから良いけどね。

 屋敷に入り、カラミタ母さんの位置を魔力探知で探すと、既に会議室で家族全員が集まっているのがわかった。

 全員が揃うまで、待っているのか。

 急ぎ会議室まで行き、扉を開け中に入る。

「遅かったね、ベル」

「ん?ああ、魔力減少が起こった時にとっさに[グルーンの瞳]を使ったから状況確認が遅れたんだ」

 アラン兄さんがそう聞いてきたので訳を話す。

「[グルーンの瞳]ってなんだ、ベル兄?」

 そう言えばクリーナに見せた事は無かったな。

収納ストレージ

「これが[グルーンの瞳]、発動させれば周囲一帯の大気中の魔力を吸収して枯渇させる事が出来るって魔道具だ。しかもその吸収した魔力も使用者が使える」

 クリーナが[グルーンの瞳]について聞いてきたので、実際に[グルーンの瞳]を取り出して見せながら、簡単に説明してやった。

「どうして使ったんだ?」

「あの時に起こった魔力減少がどこまで続くのか分からなかったからだ。最悪もし魔力が枯渇するまで魔力減少が続いたなら予備の魔力はあった方が良いからな」

 生き物は、体内の魔力を消費すると個人差はあるが、体が勝手に大気中の魔力を吸収して回復していく。

 だが、大気中に全く魔力の無い状態になったら、それは魔力が回復出来なくなるって事だ。だから[グルーンの瞳]を念の為に使った。

 まあ、杞憂だったけどね。

「ベル君が遅れて来たのはどうでもいい。それよりも、かあ様の話を聞きたい」

「レヴィアちゃんもこう言っている事だし、今回の出来事についてお話しましょうか」

 レヴィア姉さんがそう言うと、カラミタ母さんは、今回の出来事について話始めた。

「実は今日みたいに大規模にイデアと他世界と繋がったのは、今回が2回目なのよね」

 
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