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あいつの話。
1、あいつ
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「おーーい、あさひー?どこ見てんのー?」
机に突っ伏した僕の頭上で、僕の名前を呼んでいるのは、幼稚園からの友達のちか。
中学に上がってから2年連続同じクラス。
本名は永戸親元。お調子者でかまってちゃんでいつも僕の後をついてくる。
「べつにー」
適当に返事を返した。
「はぁー?なんだよー?」
こんな感じの面白みのない会話だが、いつもこんなんだからお互い気にしていないと思う。
ちかは僕の前の席の椅子にどかっと腰掛けた。
ちかの席じゃないけど、まあ昼休みが終わったら退くだろう。
僕の席は1番窓際、前から3番目。あいつの席は1番廊下側、前から3番目。
僕の目線の先にはいつもあいつがいる。
クラスにはカーストというか、グループというか、それぞれ仲のいい集団がある。
僕はいつもちかと他にも2人くらいで一緒にいる。まあこの2人は今度紹介する。
で、あいつなんだけど、あいつはクラスで1番目立ついわゆる陽キャのグループ。
ワイワイ騒いでうるさくて、なにが面白いか分からないけど、いつも笑って楽しそう。
僕がずっと見てるあいつもよく笑ってる。
見てるとなんか、やっぱり恥ずかしい。
思春期ってやつなんだとは思う。
小学校の時は普通に友達と遊んで楽しかったのに、最近はなんかおかしい。
手とか、お腹とか、肌とか、口とか、よく目に留まる。
例えばちかの手は、骨ががっしりしてきた。
指が長くて、前より少し大きい。
でも肌は、
「おい、なに?俺の手ばっか見て」
「え?」
「え?じゃねーよ、なに?」
「ちかの手って肌、白いよね。」
「は?」
「だから、白いなぁ~って見てた」
「え、なんだよそれ」
「別に~?」
あ、手、引っ込めた。
そんな感じで結構見てしまう。
僕が見てるあいつはよく笑うから、他の人より歯が見える。
歯並びは綺麗で白い歯。
まあ普通の歯なんだけど。
「あさひ、次の授業の課題終わった?」
ちかが目線を合わせず、どっかを見ながら僕に話しかけた。
「え?課題?そんなんあった??」
何も覚えてないし、何もやってないけど。
「うん、数学ワークの連立方程式のとこ3ページ分」
「え??」
ちかと目が合った。ちかはなんかニヤニヤしてる。
次の授業は数学。課題があれば授業の初めに提出するのがいつものルール。
今は13時38分、昼休みが終わるまであと2分。
「ちか!ノート見せて!!!」
「えーー??別にーー??」
ちかは今日の僕の生返事に少しイライラしてたんだ。
「ごめんってちか!!お願いだから~!」
「えー?っていうかもう間に合わないでしょ。諦めなよ~」
笑いながらちかは席を立った。
「お願いします~ちか様~!!」
僕はちかの白い肌の手を握って自分の席に戻ろうとするのを止めるのに必死だった。
とか、こんなやり取りをしているうちにチャイムが鳴った。
終わった。
放課後になって、クラスメイトが早々に荷物を持って帰っていく。
静かになった教室の中でちかがまた突っ伏している僕の頭上で話しかけてきた。
「いやー、どんまい」
肩にちかの手が乗った。
結局、今日の数学ワークの課題は提出するまで帰れませんってことになった。最悪。
まあ、忘れてたっていうか課題の話聞いてなかった僕が悪いんだけど。
「ちかーノート見せてよー」
「嫌だよ、今日は焼肉食べに行くから早く帰んないと」
「卑怯者……!」
「てか提出したからもうノート持ってないし」
そうだった、1人でやるしかない。
ちかとか誰かいればちょっとはやる気出たんだけど。
「てか、もう1人提出してなかったやついるじゃん、あいつだよ、あのー、城川」
ガララララ
教室のドアが開いてあいつが入ってきた。
僕の心臓が急に飛び跳ねて、初めてあいつと目が合った。
「あ、来たじゃん、城川。じゃあな!美味い肉食ってくる~」
足早にちかが僕から離れ、教室のドアに向かった。
すれ違いざまにちかとあいつがなにか話してるのが見えた。
多分、課題頑張れよ、とかそんなことを言ってるんだろう。
いつもなら先に帰るちかを引っ張ってちょっとでも止めるか、小言のひとつやふたつ言ってやるんだけど、今の僕はそんなところではなかった。
あいつとふたりだ。
まじか。
机に突っ伏した僕の頭上で、僕の名前を呼んでいるのは、幼稚園からの友達のちか。
中学に上がってから2年連続同じクラス。
本名は永戸親元。お調子者でかまってちゃんでいつも僕の後をついてくる。
「べつにー」
適当に返事を返した。
「はぁー?なんだよー?」
こんな感じの面白みのない会話だが、いつもこんなんだからお互い気にしていないと思う。
ちかは僕の前の席の椅子にどかっと腰掛けた。
ちかの席じゃないけど、まあ昼休みが終わったら退くだろう。
僕の席は1番窓際、前から3番目。あいつの席は1番廊下側、前から3番目。
僕の目線の先にはいつもあいつがいる。
クラスにはカーストというか、グループというか、それぞれ仲のいい集団がある。
僕はいつもちかと他にも2人くらいで一緒にいる。まあこの2人は今度紹介する。
で、あいつなんだけど、あいつはクラスで1番目立ついわゆる陽キャのグループ。
ワイワイ騒いでうるさくて、なにが面白いか分からないけど、いつも笑って楽しそう。
僕がずっと見てるあいつもよく笑ってる。
見てるとなんか、やっぱり恥ずかしい。
思春期ってやつなんだとは思う。
小学校の時は普通に友達と遊んで楽しかったのに、最近はなんかおかしい。
手とか、お腹とか、肌とか、口とか、よく目に留まる。
例えばちかの手は、骨ががっしりしてきた。
指が長くて、前より少し大きい。
でも肌は、
「おい、なに?俺の手ばっか見て」
「え?」
「え?じゃねーよ、なに?」
「ちかの手って肌、白いよね。」
「は?」
「だから、白いなぁ~って見てた」
「え、なんだよそれ」
「別に~?」
あ、手、引っ込めた。
そんな感じで結構見てしまう。
僕が見てるあいつはよく笑うから、他の人より歯が見える。
歯並びは綺麗で白い歯。
まあ普通の歯なんだけど。
「あさひ、次の授業の課題終わった?」
ちかが目線を合わせず、どっかを見ながら僕に話しかけた。
「え?課題?そんなんあった??」
何も覚えてないし、何もやってないけど。
「うん、数学ワークの連立方程式のとこ3ページ分」
「え??」
ちかと目が合った。ちかはなんかニヤニヤしてる。
次の授業は数学。課題があれば授業の初めに提出するのがいつものルール。
今は13時38分、昼休みが終わるまであと2分。
「ちか!ノート見せて!!!」
「えーー??別にーー??」
ちかは今日の僕の生返事に少しイライラしてたんだ。
「ごめんってちか!!お願いだから~!」
「えー?っていうかもう間に合わないでしょ。諦めなよ~」
笑いながらちかは席を立った。
「お願いします~ちか様~!!」
僕はちかの白い肌の手を握って自分の席に戻ろうとするのを止めるのに必死だった。
とか、こんなやり取りをしているうちにチャイムが鳴った。
終わった。
放課後になって、クラスメイトが早々に荷物を持って帰っていく。
静かになった教室の中でちかがまた突っ伏している僕の頭上で話しかけてきた。
「いやー、どんまい」
肩にちかの手が乗った。
結局、今日の数学ワークの課題は提出するまで帰れませんってことになった。最悪。
まあ、忘れてたっていうか課題の話聞いてなかった僕が悪いんだけど。
「ちかーノート見せてよー」
「嫌だよ、今日は焼肉食べに行くから早く帰んないと」
「卑怯者……!」
「てか提出したからもうノート持ってないし」
そうだった、1人でやるしかない。
ちかとか誰かいればちょっとはやる気出たんだけど。
「てか、もう1人提出してなかったやついるじゃん、あいつだよ、あのー、城川」
ガララララ
教室のドアが開いてあいつが入ってきた。
僕の心臓が急に飛び跳ねて、初めてあいつと目が合った。
「あ、来たじゃん、城川。じゃあな!美味い肉食ってくる~」
足早にちかが僕から離れ、教室のドアに向かった。
すれ違いざまにちかとあいつがなにか話してるのが見えた。
多分、課題頑張れよ、とかそんなことを言ってるんだろう。
いつもなら先に帰るちかを引っ張ってちょっとでも止めるか、小言のひとつやふたつ言ってやるんだけど、今の僕はそんなところではなかった。
あいつとふたりだ。
まじか。
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