君の話。

sera

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あいつの話。

7、なにこれ

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心臓の音が響いて、恥ずかしくて、顔を埋めてしまう。

城川しろかわくん、僕の好きな人…?

でも城川くんは男だし、僕も男だ。

おかしいでしょ、こんなの……。

「そういえば、小道こみちくん、教室になんか用事あったんじゃない?ごめん、連れてきちゃって」
申し訳なさそうに城川くんが僕のほうを向いて言った。
「あーそうだ…傘」
「傘?持ってきてたんだ~、遠藤えんどうももういないかもしれないし、教室戻ろっか!」
「……うん」
そういって立ち上がり、廊下を歩き始めた。
下駄箱の辺りの人だかりはすっかり落ち着いて、生徒もほとんどが帰ったんだろう。

教室にはやっぱり遠藤さんはいなくて、ササッとロッカーから折り畳み傘だけを取って再び階段を降りる。
「そういえば、城川くんは傘、持ってるの…?」
「へへ、実は持ってない」
笑いながら僕のほうを見た。
「小道くん、よかったら入れてくれない?途中まででいいから!」

もしかして、相合傘……?

「い、いいよ…!」

そういって2人で小さい折り畳み傘の中に収まり、校門を出た。
「傘は俺が持つよ!」
と言ってくれて傘を渡したけど、城川くんの外側の肩がはみ出て雨に打たれてるのが見えた。
優しいんだな。
今まで見てただけの城川くんはなんか友達が多くていつもワイワイ騒いでる。
それだけだったのに、城川くんは優しいからみんなが集まるし、楽しい雰囲気を作ってくれる。
ちょっと城川くんを知った気がしたし、もっと知りたいと思った。

前と同じお寺を過ぎた辺りの分かれ道まで来て、ふと、思い出した。
城川くんって自転車じゃなかったっけ?
なんで乗らなかったんだ。
分からないけど、今日も僕に付き合わせてしまったことには変わりない。

「城川くん、良かったら傘、使って」
気づいたらそう言っていた。
「いや、悪いよ!ここからは走って帰るから…」
「大丈夫!僕の家、ここから近いし一瞬だよ!?」
そう言って、傘を城川くんに押し付けた。
「じゃ!先帰るね!!また…!」

困惑した城川くんの顔が見えて、やっぱり余計なことをしたかなぁ、と思った。
でも城川くんが雨に濡れるくらいなら、僕なんてどうってことなかった。
ただ、家が近いことは嘘だったけど…。

それから走って10分ほどして家が見えた。
びしょびしょになった髪と制服を玄関の前で軽く払ってから家に入った。
母さんにすごく心配されたが、既に沸かされていたお風呂にすぐ入り、ゆっくりした後ご飯を食べた。
そしてすぐにベッドに潜り、今日のことを思い返していた。

僕は男で、男を好きになったことなんてもちろんない。
小学校では好きな人がなんとかって話をよく聞いたけど、僕にはついていけなかった。
城川くんは元々目立つ人で、初めは好きとかそんなんじゃなかったはずだ。
ただなんか、他の人より笑った顔が可愛くて、僕と同じ黒髪でも城川くんはもっとサラサラしてる。
他にも、もう声変わりが始まってて、だんだん声が低くなっている。

「___小道くん」

ドキッと心臓が鳴り、ベッドの中で足を閉じた。

なに、これ…。

下半身が熱くなるのを感じ、ムズムズとした違和感。

暑くなる全身を意識してしまう。
頭の中で城川くんを思い出して、変な気分になった。
ただただ収まるのを待つために、布団を被って目をぎゅっと閉じた。
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