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第6章
§47‐2 荊を抱く愛執の淵*
しおりを挟む発情期の熱に浮かされているはずなのに、グレンの優しさは変わらない。獣人の発情期は人によるがその衝動はとても強いと聞いた。昨日まで薬を飲んでいるとはいえ、グレンもつらくないはずがない。
服を脱いだグレンの欲はそそり立っていて、いつにもまして大きく見えた。すでに先走りでよく濡れている。サイドチェストの引き出しから取り出した被せを欲に取り付けて、潤滑油を垂らす。
準備を終えたグレンは荒く息をして後蕾に油を塗りつける。欲の先端は大きく膨らんでいて、はち切れそうだ。
それが、グッと押し入ってくる感覚。この瞬間がたまらなく好きだということは、グレンにはもうバレているだろうか。明日聞いてみよう。
「ああぁぁっ……」
「クッ! ……入れただけでいったのか」
「あ、ぅ……う」
入る時、浅くて気持ちのいいところを思い切り引っ搔いていったせいだ。グレンのがおおきいせいだ。
俺の欲から吐き出された白濁が脇腹を伝ってシーツに染みを作る。
言葉を成す形に動かない唇をグレンが塞ぐ。こういう時いつもならグレンはしばらく動かずに待ってくれる。
しかし今日は違った。
「ああっ、んん、ん! いまっいったのにッ!」
「フー……」
俺の抗議は受け付けられず、グレンの欲が早さを増して打ち付けられる。
「やっぁ、あ、……ひ、うぅっア!」
「グッ……ハァ、ライ……気持ちいい」
「んぁッ! あっ、う~っ! おれ、も、きもちぃ……」
グレンの腕に抱え込まれるようにされて、口を塞がれ、欲を打ち続けられる。息が苦しくなって呻くと、ようやく口を離される。
しかし腰の動きは止まることなく、再び頂へと誘う。
「アァッ、い、……いくッ、ンンッ!」
「くッ!」
自分でもグレンの欲を包む肉が収縮したのが分かる。同時に白蜜を吐き出される感覚も。
空気を求めて荒く息をする。本当に苦しい。気をやる間に息をするのを忘れていたらしい。
「首に掴まれ」
「……ん、へ? うわっ!」
回らない頭で言うことを聞くと、膝の裏に手を入れられる。そしてぼうっとしている間に身体が宙に浮いた。驚き、慌ててグレンの首へ回した腕に力を入れる。
あろうことか、グレンは俺を持ち上げたまま立ち上がった。
「な、に……グレンッ」
「この体勢はライが辛そうだからしていなかったが、今日はお許しが出ているからな」
「落ちる……ッ」
「この俺がお前を落とすと思うのか?」
言い終わるが早いか、反動をつけられた尻が浮いたと思えば加減なく屹立が埋め込まれる。
「っは、あ、ッ! あぁッ!」
「奥までッ、入るだろう」
「むりっ、……ああ、あ、深すぎるっ」
止まらない律動になすすべなく、だらしなく口を開けたまま喘ぐ。こんなに強い快感を刻まれるのは初めてのことで、どれだけグレンが手加減してくれていたかを身をもって知る。
気持ちよすぎて流れた涙をグレンが舐めて、そのまま口づける。口の端から空気を吸って、喘ぎ声を出すのを少し続けていると、自身の欲から白濁を出すのとは違う快感の波が襲ってくる。
「ぐれんッ、くる、なんかっ、アッ、っい……!」
「すごいな。中でいったか。偉いぞ、ライ」
「っ……ぅあ」
グレンの声は遠く、首に力が入らずかっくりと項垂れる。ついでに力の抜けた腕を見かねて、再びベッドに身体を戻される。
「さぁ、朝までと言ったがどれだけ持つか……」
最後にはっきりと覚えているのはそんなグレンの言葉だった。
俺は何度も達しているのにグレンはまだ一度だけ。それが何を意味するのか、考えられる頭の状態ではなかった。
グレンside
段々と可哀そうなことをしている気分になるくらいには、発情期の熱が収まってきた。
ライの身体は前も後ろもべたべたで、それが精なのか潮なのかもよく分からない。あまりに煽情的な眺めだが、なぜか見覚えがあったのは、何度も頭の中では繰り返し想像した光景だからだ。
こんな風に朝まで抱き潰して、お互いの吐く熱に塗れてしまえたらと何度も思った。
最後の理性で、これまでは何とか多くても3回で我慢していたのだ。
しかし今日は違った。薬を飲むなと言ったのはライだし、朝まで手酷く抱いてくれと言ったのもライだ。俺は何も悪いことはしていない。
唯一悪いとすれば、ライの葛藤に漬け込んだことだろう。あぁ、もしかするとすべてはそれからなのか。ならやはり俺が一番悪いか。
「ぐぁ……っ、アッ、い、く……ッ!!」
「あぁ、俺もだ……」
もうライが達した数は分からない。途中で数えるのを辞めてしまった。尻を高く持ち上げて俺の欲を飲み込ませた姿勢で、ライの身体が痙攣するように震える。
段々と外が白み始めてきた。本当に朝まで抱き潰すことになるとは。
さすがにもう起き上がらない欲をライから引き抜く。
「っん!」
もう目も開いていない。しかし最後まで意識は飛ばさなかったようだ。さすがの体力と言わざるを得ない。
開いたままの脚を抑えて、後蕾に傷がないか確認する。よし、血は出なかったな。
しかしライのそこは赤く腫れて、まるで桃色の花が咲いているようになってしまっている。
「グレン……?」
「ライ、朝だぞ。本当に朝までやった」
俺も大概身体が怠くて急激な睡魔が襲ってきたので、阿呆みたいなことしか言えなくなっている。
「……ははっ、うわぁほんとうだぁ……はははっ」
広がる惨状に反する明るい笑い声。ライも限界だな。
「おれ、名字いわなかった!」
「あぁ、そうだな。すごいすごい」
「あはは、べたべた!」
「眠くて倒れそうだがシャワーだけ浴びるぞ、ほら」
「はぁい」
まるで子どものように返事をして俺に抱きつく。俺は片腕でライの尻の下を支えに抱き上げる。
反対の左手でシーツを引っぺがした。そのままフラフラと歩いて替えのシーツを引っ張り出す。それをとりあえずソファに投げた。風呂から上がったら敷けばいい。
「ねむい」
「ダメだ寝るな。シャワーは何が何でも浴びさせる」
「んぅ……」
妙な脅迫観念に突き動かされ、俺はライを抱いたまま風呂場に向かったのだった。
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