8 / 13
猫の知識
しおりを挟む
*圭視点です。
思わず大学受験への不安をハルさんに相談してしまったら、とても親身に聞いてくれた。
勉強も分かりやすく教えてくれて助かったし、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
でも、幼稚園しか卒業してないとか言っていたのが気になるな。
中学までは義務教育なんだから、必ず行ってるはずなのに?
あまり聞いてはいけない気がして聞かなかったけど、どんな事情がある人なんだろうか?
ハルさんが教えてくれたおかげで勉強も捗り、気がつけば夜になっていた。
今日の夕飯はお昼のカレーを温め直して食べたけど、明日からのご飯も考えないといけない。
買い物もしたいし、バイト時間まではまだ早いけど、そろそろ出掛けよう。
「ハルさん。僕、出掛けますけど、何か必要なものとかありますか? ついでに買って来ますよ」
「必要なものですか? う~ん、特にないですよ」
特にないって言うけど、ハルさんは今着ている服以外、着るものがないよな?
着替えとかは大丈夫なんだろうか?
「服とか必要ないです?」
「あぁ私、"浄化の力"を使えるので」
「浄化、ですか?」
「はい。あっ! お世話になりっぱなしで申し訳ないですし、衣類は全部浄化しておきますね! 洗濯いらずですよ!」
僕の家には洗濯機はない。
独り暮らしだとそんなに洗濯物もでないので、いつもは溜まってからコインランドリーに行っていた。
行くのは結構面倒なので、洗濯いらずなのはありがたい。
それにしても、ハルさんの事が本当に分からないな……
「ありがとうございます。えっと、よく分からないんですが、その浄化はハルさんの負担にならないんですか?」
「大丈夫ですよ! そんなに力も使わないので」
浄化はそんなに力を使わないってことは、結構な力を使わないといけない事もあるんだろうか?
猫になったり、浄化ができたり、幼卒なのに頭も良いし……
ハルさんなら何でも出来てしまうような気がする。
「凄いですね」
「全然凄くないです。"治癒の力"が使えれば圭君に迷惑かける事も無かったんですけどね……自然治癒力が高い方なので、そういう力は無くてもいいかな~って思って、覚えなかったんですよ」
「僕は……いえ、なんでもないです」
何でだろう?
今、変な事を言おうとしてしまった。
ハルさんが治癒の力を使えなくて良かった、なんて……
まるでハルさんの怪我を喜んでいるみたいだ。
「どうしたんですか?」
「あ……僕、帰ってくるのはバイト後になるので、ハルさんは好きに過ごして下さいね。足はあまり動かさないように気を付けて」
「圭君は心配性ですね。大丈夫ですよ。圭君こそ気を付けて、バイト頑張って来て下さいね」
「はい。じゃあ、行ってきます」
ハルさんは笑顔で手を振って、送り出してくれた。
綺麗な女の人に自分の家から送り出されるというのは、結構な違和感がある。
出会ったばかりで、何者なのかも分からない謎の人を家に残して出掛けるだなんて、普通はあり得ない。
だけどこの短時間で凄い優しい人なのは分かったし、不思議と何も心配してない自分に納得出来た。
スーパーで適当に食材等を買い、バイト先のコンビニに向かう。
裏から入るとすぐに店長がいた。
「あぁ、瑞樹君。今日もよろしくね」
「よろしくお願いします。店長、昨日はありがとうございました」
「いいよいいよ、気にしないで。それより猫ちゃんどう? 元気になった?」
昨日の事は本当に気にしてない様子で、猫の事を聞かれた。
猫だった人の話にはなるけど……
「足はまだ痛そうですけど、ちゃんと食欲もあるみたいで元気ですよ」
「病院は連れて行ってあげた?」
「あぁ、はい……」
病院には行っていないのに返事をしてしまった。
これは嘘をついた事になるんだろうな……
ハルさんに嘘はダメです! って怒られるかな?
診断結果とかを聞かれて、これ以上の嘘をつくわけにもいかないので、話を変えさせてもらおう。
「そういえば、猫に人間用の消毒薬って使ったらダメらしいですよ」
「そうなの?」
「ちゃんと動物用の消毒薬を使わないと、逆に怪我を悪化させてしまうみたいです」
一応気になっていたので調べておいた。
結局ハルさんは人だったので、人間用の消毒薬でも問題なかったけど。
「あと、猫にカレーをあげたらダメらしいです。スパイスが体によくないらしくて」
「へぇ、そうなんだ」
これも一応調べておいた。
ハルさんは人だから、カレーを食べても大丈夫だけど。
何故か猫の話をしているはずなのに、ハルさんの事を考えてしまってるな?
「何か瑞樹君、楽しそうだね。よかったよ」
「そうですか?」
楽しそう? そうなのか?
まぁ、猫についての新しい知識は増えたし、新しい知識が増えるっていうのは楽しい事かもしれない。
だから楽しそうにみえたのかな?
でも増えたのは猫についての知識で、ハルさんについてじゃない……
ハルさんのことは分からない事だらけだ。
どこまで踏み込んで聞いて良いのかも分からないけど、ハルさんの事をもっと知っていきたいと思った。
思わず大学受験への不安をハルさんに相談してしまったら、とても親身に聞いてくれた。
勉強も分かりやすく教えてくれて助かったし、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
でも、幼稚園しか卒業してないとか言っていたのが気になるな。
中学までは義務教育なんだから、必ず行ってるはずなのに?
あまり聞いてはいけない気がして聞かなかったけど、どんな事情がある人なんだろうか?
ハルさんが教えてくれたおかげで勉強も捗り、気がつけば夜になっていた。
今日の夕飯はお昼のカレーを温め直して食べたけど、明日からのご飯も考えないといけない。
買い物もしたいし、バイト時間まではまだ早いけど、そろそろ出掛けよう。
「ハルさん。僕、出掛けますけど、何か必要なものとかありますか? ついでに買って来ますよ」
「必要なものですか? う~ん、特にないですよ」
特にないって言うけど、ハルさんは今着ている服以外、着るものがないよな?
着替えとかは大丈夫なんだろうか?
「服とか必要ないです?」
「あぁ私、"浄化の力"を使えるので」
「浄化、ですか?」
「はい。あっ! お世話になりっぱなしで申し訳ないですし、衣類は全部浄化しておきますね! 洗濯いらずですよ!」
僕の家には洗濯機はない。
独り暮らしだとそんなに洗濯物もでないので、いつもは溜まってからコインランドリーに行っていた。
行くのは結構面倒なので、洗濯いらずなのはありがたい。
それにしても、ハルさんの事が本当に分からないな……
「ありがとうございます。えっと、よく分からないんですが、その浄化はハルさんの負担にならないんですか?」
「大丈夫ですよ! そんなに力も使わないので」
浄化はそんなに力を使わないってことは、結構な力を使わないといけない事もあるんだろうか?
猫になったり、浄化ができたり、幼卒なのに頭も良いし……
ハルさんなら何でも出来てしまうような気がする。
「凄いですね」
「全然凄くないです。"治癒の力"が使えれば圭君に迷惑かける事も無かったんですけどね……自然治癒力が高い方なので、そういう力は無くてもいいかな~って思って、覚えなかったんですよ」
「僕は……いえ、なんでもないです」
何でだろう?
今、変な事を言おうとしてしまった。
ハルさんが治癒の力を使えなくて良かった、なんて……
まるでハルさんの怪我を喜んでいるみたいだ。
「どうしたんですか?」
「あ……僕、帰ってくるのはバイト後になるので、ハルさんは好きに過ごして下さいね。足はあまり動かさないように気を付けて」
「圭君は心配性ですね。大丈夫ですよ。圭君こそ気を付けて、バイト頑張って来て下さいね」
「はい。じゃあ、行ってきます」
ハルさんは笑顔で手を振って、送り出してくれた。
綺麗な女の人に自分の家から送り出されるというのは、結構な違和感がある。
出会ったばかりで、何者なのかも分からない謎の人を家に残して出掛けるだなんて、普通はあり得ない。
だけどこの短時間で凄い優しい人なのは分かったし、不思議と何も心配してない自分に納得出来た。
スーパーで適当に食材等を買い、バイト先のコンビニに向かう。
裏から入るとすぐに店長がいた。
「あぁ、瑞樹君。今日もよろしくね」
「よろしくお願いします。店長、昨日はありがとうございました」
「いいよいいよ、気にしないで。それより猫ちゃんどう? 元気になった?」
昨日の事は本当に気にしてない様子で、猫の事を聞かれた。
猫だった人の話にはなるけど……
「足はまだ痛そうですけど、ちゃんと食欲もあるみたいで元気ですよ」
「病院は連れて行ってあげた?」
「あぁ、はい……」
病院には行っていないのに返事をしてしまった。
これは嘘をついた事になるんだろうな……
ハルさんに嘘はダメです! って怒られるかな?
診断結果とかを聞かれて、これ以上の嘘をつくわけにもいかないので、話を変えさせてもらおう。
「そういえば、猫に人間用の消毒薬って使ったらダメらしいですよ」
「そうなの?」
「ちゃんと動物用の消毒薬を使わないと、逆に怪我を悪化させてしまうみたいです」
一応気になっていたので調べておいた。
結局ハルさんは人だったので、人間用の消毒薬でも問題なかったけど。
「あと、猫にカレーをあげたらダメらしいです。スパイスが体によくないらしくて」
「へぇ、そうなんだ」
これも一応調べておいた。
ハルさんは人だから、カレーを食べても大丈夫だけど。
何故か猫の話をしているはずなのに、ハルさんの事を考えてしまってるな?
「何か瑞樹君、楽しそうだね。よかったよ」
「そうですか?」
楽しそう? そうなのか?
まぁ、猫についての新しい知識は増えたし、新しい知識が増えるっていうのは楽しい事かもしれない。
だから楽しそうにみえたのかな?
でも増えたのは猫についての知識で、ハルさんについてじゃない……
ハルさんのことは分からない事だらけだ。
どこまで踏み込んで聞いて良いのかも分からないけど、ハルさんの事をもっと知っていきたいと思った。
0
あなたにおすすめの小説
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる