鈍感探偵ススムくん!

かなえ

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壊れはじめる日常

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5月25日 月曜日


キーンコーンカーンコーン... 
 
いつもと同じのチャイム 
いつもと変わらない日常がまた始まる。 
 
なんか変わったこと起こらないかな~ 
漫画みたいに突然能力に目覚めるとか、
そんな起こりもしないどうでもいいことを考えていた。
僕の名前は「七瀬 ススム」私立森ノ里学園中等部の2年生だ。 

ミステリー漫画が大好きで、漫画の主人公のように華麗にかっこよく謎解きをするのが夢だ。
しかし、僕は頭がとてつもなく悪い。 
この学校も中高エスカレーター式だから親がここに入れた。
頭は悪いが運動神経も悪くはないし、顔だって特別不細工ではない
だから退屈なのだ。このまま18歳まで何も変わらない平凡な毎日を過ごすのかと思うと嫌気が差してくる。
かと言って、自分からチャレンジするほどの勇気はない。
ずるい人間なのだ。

...「はい、では今日はノート提出日なので数学係の人はあとで職員室まで届けるように。」
 
むにゃ...あ、いつのまにか終わってt

どーーーーん!!!

「おい!!ススム!!寝てたろ~後ろの席から見てたぞー!!」
後ろから勢いよく肩を組んできた
この元気の塊みたいなやつ、こいつの名前は進藤 勝利 
小さい頃からの付き合いだ。頭もよくスポーツも出来ておまけにイケメンで背も高く体格も良い、ひの打ちどころがない完璧男だ。あまり目立たない僕のそばにいてくれる数少ない友人のひとりで、言葉にすると恥ずかしいが親友というやつだ。
僕のことが心配だとかなんとか言ってこの学校に一緒に入学した。
本当にいいやつだ...

そんな勝利の腕をおろしつつ
「なんだよ、お前だって寝てたろ」
「あたり~ススム後頭部にも目えついてんの?笑」
この程度の会話なのにこいつの笑顔に周りの女子はすこしざわめく。

これも慣れっこだ。僕はこいつの脇役。
だが僕を主役として見てくれる人がひとり 

「ススム~おはよ!今日はなんの漫画持ってきたのー??笑」
「おはよ、今日は探偵が主人公の謎解きミステリーだよ!」
僕はいつも漫画を一冊持ってくる、
「ススムはほんとミステリー漫画大好きだね!」

彼女も小さい頃からの付き合いで、僕の彼女だ。
名前は斎藤 かなで
とても可愛らしく素直で活発な女の子で、クラスのなかでも一際輝いている。
ずっと僕の片思いだと思っていたが、同じこの学校に入学していたことをしり、1年の時のクラスも一緒になり
同じ小学校と言う口実で話しかけて、次第に打ち解けていってお互いの気持ちを確かめ合い、彼女から告白してくれてお付き合いすることになってもう直ぐ1年になる  

「おーい俺もいるんだけど!笑」
「ごめーんススムしか見えてなかった!!笑」
「くっそ!また惚気かよこのー!!笑」

このじゃれあいをみるのは僕の幸せである。
でもたまに2人を見ていると少し違和感を感じる。だがさほど気にすることでもないのでいつも受け流している。

........

  
  
 お昼休み

「おーい!ススム!飯行こうぜ!!」
「こら!しょうちゃん!飯だなんて、言葉遣いがきたないわよ!せめてご飯っていいなさいよ!」
勝利はうるせー女と言わんばかりのしかめっ面を向けている。
僕はいつも2人と食堂でご飯を食べている。
だが今日は用事があった。

「ごめん!先に2人で食べてて!僕、数学係だから職員室いかなくちゃ!」
そう伝えると
「はやくこいよー、」
「また後でおやつでも一緒に食べようね!まってるね!」
そう言って食堂の方に歩いていった。

「あ..あの、ノート集めたんで...」
「わあああああっっ!!!」
背後からの突然の声にびっくりして飛び退いた。
「そ..そんなにおどろかなくても。ノート集めたので持って行くの手伝っていただきたく..。」
彼は影山 悟。同じ数学係で、背が低く痩せ気味の体で何より存在感が異様に薄いのだ。
影ではおばけくんといわれている。
「あ...ノート集めてくれたんだね。ありがとう。さあ、いこっか」
すると悟くんは怖々とうなずいた。

 職員室にノートを運ぶだけだし、そんなに話したこともなかったので沈黙が続いた。
食堂の間反対にある職員室へ向かう道はお昼休みなのに全く声もしなくて静かで少し不気味に感じた。
隣にいるのがおばけくんだからだろうか...おっと失礼。
そんなことを考えている時、突然悟くんが話しかけてきた。
「七瀬くんは..その、斎藤さんとお付き合いしてるの?」
なんでそんなことを聞いてくるのだろうと思ったが、あんまり聞かれるのもめんどうなので
「そうだよ。」
そう一言だけ返した。
「で..でも、斎藤さんと進藤くん2人でいることもみかけるんだけど..気になったりとか..し..しないの?」
「気にならないよ。2人とも幼なじみだからね。」
少し強がった気はするが、なんでそんなに気になるんだ?と少し腹が立った。
「で..でも、進藤くんの噂とかきい..」

「おーーーい!ススムーーー!!」
かぼそい悟くんの声は大きな背後からの声にかき消された。

「勝利、、どうしたんだ?」
「遅いから手伝いにきてやったんだよ!ほら、かなでも待ってるしはやく職員室行こうぜ!!」
そう言って悟くんの持っていたノートをひょいと持ち上げた。
「影山も先にご飯行ってきていいぞ!」
「え..あ..ありがと。」
戸惑いながらも勝利の勢いに押されているようだった。
「ほら!はやくいくぞ?ススム」
「そうだね、行こうか。またね、悟くん」

そう言って前に向き直す瞬間
悟くんの顔が何か言いたそうな顔をしていた。
だが、かなでを待たせていることもあり気に留めなかった。

聞こえなかった。
「今度変なこと言ったら...わかってるな?」
そうぼそっと悟くんの耳元でささやいた勝利の声に...
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