鈍感探偵ススムくん!

かなえ

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嫌がらせ

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5月26日 火曜日

ふぁぁぁっっ...。
今日も学校か、だるいなぁ。
寝ぼけた目を擦りながらまだベットの中だがメールの確認をする。

新着メールが一件。
AM 6:00  

差出人は..勝利か、
まあ、僕に連絡して来るのは家族以外に勝利とかなでくらいだ。

‥‥‥……………………………………………

バッシュ忘れた!
朝練間に合わねえから体育館シューズかりるぜ!

すまんっ!!!

……………………………………………………

ったくバスケ部時期エースがこんなんでよいのだか、
まあ僕には関係の無い事なのでサッと読んでまた布団にもぐりこんだ。
...。

「お兄ちゃーーーーん!!朝だよ!!ご飯冷めちゃうよ?」
騒がしいな..
妹のマコト。小学6年生だ。
「はいはい、今いくよー、、。」

世話焼きで面倒見が良い。
家族の誰に似ているのかわからんぐらいだ。
うちの両親は共働きでとても忙しい、だから家にいる事が少なくほぼ2人暮らしだ。
なので家事は分担している。僕は朝に弱いので朝食などの準備はマコトがしてくれている。
僕は晩ご飯と風呂掃除係、

「もおーーー!お兄ちゃん?!そんなにゆっくりしてたらお迎えが来ちゃうよ?」
「もうそんな時間か。」
 
ぴんぽーん

「スースームーーー!!遅れちゃうよーーー!!!」
ドアの外から元気なかなでの声がする。
家が隣なこともあってか、かなでが毎朝迎えにきてくれる。
本当は彼氏の僕がむかえにいくべきなのだが、、

「おはよう、かなで!今日も元気だな」
「うんっ!元気だけがとりえだからねっ!!」
そう言ってとびきりの笑顔を僕に向けた
ああ、なんて可愛いんだろう。素直で可愛らしくこんな素敵な女の子がなんで僕を選んでくれたんだろう、。
いつもそんなことを思ってしまう。
 
「ススム?」
「...あ、ああごめん。」
ひょこっと覗き込んでくる姿もまた愛らしい。
「何か考えこんでそうだったからっ、」
ああ、かなでには嘘はつけないな
「いやっ、いつも考えてしまうんだ。かなではとても可愛らしく素直でいいこだ。」
、、、っっ!!とんでもなく恥ずかしい事を言っていることに気がつき恥ずかしくなった。
「な、なによー突然っ!はずかしー!笑」
「いやっ、あの、なんで僕なのかなーって」

そして彼女の顔をみると、、、なぜかうつむいていた。
「えっ!?ど、どうしたの?かなで??」
怒ったような声色で
「だって、ススムがそんなこと聞いてくるから。私のことそんなに信じられない?」
「かなで?ちがうよ、僕なんていいところないし。なんで僕を選んでくれたのかなって、、。」
「ふふっ、恥ずかしいよっ笑すぐ分かるよ!」
??わかるのかな?
かなり曖昧な答えに少し不満に思ったが、彼女の笑顔を見たらそんな思いは消えた。
 
そうこうしているうちに学校についた。

AM 8:00

……………………………………


AM 10:30


 次の時間割は、、体育館か。
確か今日はバスケか。
女子は教室で男子は隣の準備室で着替える。
「おーーーい!ススム!今日はバスケだぜ!!腕がなるなー!!」
嬉しそうに勝利がはしゃいでいる。
「おいおい、バスケ部の次期エース様が本気出さないでくれよな~って、、あ。」
しまったー体育館シューズ教室に忘れたーーーっ。
女子はもう全員着替えただろうか、いや、なんか気まずい。

「ススムーどうした?」
「ああ、体育館シューズを教室に忘れてきてしまった。」
すると、なーんだと言わんばかりに勝利は自慢げに
「そんなことかよー!それなら朝、俺が下駄箱に入れておいたぜ!」
「そうか!ありがと!!ってか借りておいてなおす場所まちがえんなよなあ」
なんで僕は気付かなかったんだろ。今日は遅刻ギリギリだったから朝、下駄箱で靴を見るはずなのに。
まあー今はなんでもいいか、はやく取りに行かないとだな。

そういって下駄箱の方に走って行く途中、教室に一つの影がゆらめいていた。
(ん、?まだ誰か着替えてるのかな?でもなんか?)
ビリっっバリバリバリ!!
(ん?なんか変な音が教室からしたような。)
まあ気のせいかと僕は下駄箱に向かって走った。


ピーーーーッッ

「80対30でAチームの勝利!」
はあ、全く歯が立たないや。本当にすげーな勝利は、
「圧勝だぜっ!!」
キラキラと笑顔をふりまき
女子たちにきゃーきゃーと言われている。羨ましいな、
「す..すごいよね。進藤くん。」
っっっ!!またもや背後からの声をかけてきたのは、もちろん彼だ。
「悟くんもそう思うよね、」
「勉強もスポーツもできてイケメンだし、女の子からの人気も高くて、、羨ましいよ。」
やっぱり、僕と同じことを思ってる人がいるんだなって、少し安心した。
「そうだね。」
そのくらいの言葉しか出てこなかった。


PM 12:00

「おーいススムーご飯いくぞー。」
「ああ、かなで?いこっか?」
後ろから声をかけたが、彼女はこちらを振り返らずに
「あ、、ちょっと今日は調子悪いから、、パス。」
なんだか様子がおかしいので近くに行こうとすると
「かなで、?」
「こないでっっ!本当に大丈夫だから、、そっとしてほしいの。」
いつも柔らかい印象の彼女からは考えられないほどの、強い声に一瞬驚いたが、
彼女の言うことだから、大丈夫なのだろうとそっとしておく事にした。
「わ、わかったよ。」

…………………

PM 5:00

あーーーやっと終わったああああ。
学校疲れるなあ。まあ勉強は苦手なので授業は聞いているが、ノートなどはとっていない。
「かなで?一緒に帰ろ?」
「う、うん。そうだね。帰ろっか笑」
そう言う彼女の表情からはいつもの無邪気な笑顔ではなく、少し悲しそうな、そんな感情が感じれた。

 
 気まずい。別に喧嘩などいざこざなどがあったわけでも無いのに、なぜか空気が重い。
ここは彼氏である僕から話を切り出すべきか、、よし、がんばれ、僕!!
思い立ったら行動にうつすのは簡単だった。
足を止め、思い切って話を切り出した。

「どうしたの?なんだか思いつめているようだし。悲しそうだし。何かあったの?」
話しかけると彼女も足を止めて振り向くことなく話し始めた。
「う、ううん。なんでもないの。心配かけちゃってごめんね。私は大丈夫だから。」
そう言う彼女の肩は震えていた。
「なにもないはずないだろ!こんなに震えてっっ、、、」
勢いよく彼女の手を引いて、振り向かせた。
まず顔を見て目を見て話さないと、、!!!
驚いた。なぜならいつも元気で明るい彼女が

泣いていたから。

「ど、どうしたの?辛いことがあるなら話だけでも、、。」
涙があふれていた目を強く擦りながら
「ご、ごめんねー!目にゴミが入っちゃったみたいでっ!笑」
そう言って彼女は僕に笑って見せた。
しかしどれだけ鈍感な僕にでもわかる。これは彼女の精一杯の強がりであると、
だが僕には気の利いた言葉なんてでてくるはずもなく、でも彼女を助けてあげたくて
そんな事を考えていたが言葉よりも体が先に動いた。

彼女を強く抱きしめた。

「無理すんな。」

すると彼女は僕の腕の中でわんわんと泣き出した。
まるで泣きじゃくる小さな子供のように、

どさっ、、
抱きしめた拍子にかなでの鞄から何かが落ちた。

「ん?、、な、んだよ、、これ。」
僕は鞄から落ちた[ソレ]を見て血の気がひくほど驚いた。
[ソレ]とは、彼女のノートで、

中身はビリビリに破られ
赤や黒のサインペンで沢山の悪行雑言が殴り書きされ
脅迫とも捉えられる言葉すら書いてあり
どれも右上がりの癖もある文字だった。

「あ、あのね。4限目が終わって机の中を見たら、、こんなになってて。。心配かけたくなくて。」
泣いて少し落ち着いたのか、、途切れ途切れだが話てくれた
「こんな、、ひどい。誰が、、」
だれがこんなことを。思い当たるやつがいなさすぎて容疑者すらでてこない。
自分の無能さに嫌気が差す。だが、、
「大丈夫だからな、かなで。僕が、守るから。」
そういって今度は優しく彼女を抱きしめた。

僕は決心した。

この嫌がらせの犯人を絶対に見つけ出すと、

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