女三人 何でも屋始める

小梅カリカリ

文字の大きさ
1 / 24

出会ってすぐ意気投合、勢いと乗りで探偵屋始める ①

しおりを挟む
 東京のレストランの一室、、今日は某探偵ゲームの女性限定オフ会が開かれていた。
探偵ゲームのオフ会だけあって、参加者は探偵が大好きな女性だけ、初対面でも話題は尽きずに盛り上がっている。
 そんな中少し周囲とは違う話題で盛り上がっている3人のテーブルがあった。
彼女達はワインやカクテルを飲んで、気分良く酔っぱらっていながら話していた。
 最初は探偵ゲームや探偵小説の話で盛り上がっていた彼女達は、実際に探偵をやってみたいと話しだす。以外にも意見が一致した3人、意気投合して話し込んでいた。
 オフ会は解散になったが、気が合った3人はこのまま解散なんてつまらないという事で2次会へと向かう。居酒屋は煩いし、深夜もやっている喫茶店に向かった。

 静かな店内に入ると、改めてお互いの自己紹介が始まった。

 小柄で髪を編み込みにした、目つきは鋭いが全体的には優しそうな雰囲気の女性。彼女が最初に自己紹介を始める。
「佐々木 香です。都内で看護師をしていてます。個人病院勤務でシフト制の週4日出勤なんです。だからお休みは不定期になってます。
 好きな物は探偵ゲームや小説、ストレス解消と趣味を兼ねて、ボクシングダイエットをしています。よろしくお願いします。」

「じゃあ、次は私ね。鈴木 花 派遣事務員です。都内の叔父のマンションに住んでいるんだけど、手取りが安いので管理人業務をやる代わりに家賃他、ただにして貰っています。
 佐々木さんはボクシングでしたけど、私はダイエットと実益を兼ねて従兄のお姉さんに空手を習っています。よろしくお願いします。」
 ぱっちりとした目と童顔の顔に軽くパーマをかけたロングの髪、可愛らしい人だった。メイクも服も清楚系コンサバで統一されている。

 最後に、黒髪ショートカットでニットとジーンズというカジュアルな服を着た、優しそうな女性が話し出した。
「菊池 雪です。都内の実家で暮らしています。今は短期で仕事をしています、料理が好きで料理のブログをやっています。よろしくお願いします。」

 ゲームや小説の話は散々していた3人。落ち着いた雰囲気の喫茶店という事もあり、話は興味のあった実際に探偵をやる話になってくる。
 花が今の日本の探偵に対してのイメージを話している。
「でも、探偵なんて怪しいイメージしかないです。実際にホームズとかポワロみたいな人がいたらいいのに。そしたら探偵がもっと人気になると思うんです。」
「テレビや映画で探偵も人気になっていると思うけれど、現実となるとどうなんだろうね。
花さんは、海外の探偵が好きなんだ。私はちょっとお間抜けで偶然解決しちゃうような人が好きなんだ。探偵というより軽いエンタメのような空気がある話かな。」
「なるほど、私は花さんや雪さんみたいに特にこれって決まってなくて、なんか心にぐっとくるものが好きなんだー。でも現実で探偵が推理で事件を解決とかってなさそうだよね。あくまでイメージだけど、私も探偵って聞くと怪しいって思っちゃう。」

 皆、探偵怪しい発言をした後に、自分が良いと思う理想の探偵について話し出す。
「そういうの怪しいのじゃなくて。もっと気軽に相談できるような、身近な雰囲気の探偵事務所をやってみたいですね。あったら面白そうじゃないですか。町に溶け込んでいる探偵事務所。」
 嬉しそうに笑いながら話す花に頷きながら返事をする香。
「花さんが言ってるのって、猫を探すとか幽霊屋敷の探索とかそういう感じのものかな。そういうの楽しそうで良いよね。私、やってみたいな。」
「そう、それの事です、香さん。楽しそうですよね、町の中で色々事件を解決するっていう感じで。危険もないし喜ばれるし。普通にメインにするには厳しいだろうけど、副業とかだったらありかなって思います。」
「確かに面白そう。町の便利屋さん、というより相談所みたいな感じになりそうだね。でも住民のたまり場っぽくなりそうな気もする。」
「それはちょっと、依頼人が入れなくなりそうですね。」
「うん、人に聞かれたくないかもしれないもんね。探偵を頼む様な相談って大っぴらにするって事なくない。」
「ないですね。アパートやビルの部屋なら、周囲から隠れた雰囲気は出るけれど怪しいですよね。」
「そうね、変な怪しい依頼が来そう。ビルでも1階なら平気じゃない、明るくて開放的なら入りやすそう。」
 だんだん、話が現実味を帯びてきたことに気付く3人だが、盛り上がっている為止まらない。
「都内かあ、部屋を借りて開いても依頼が来ないと赤字になるよね。」
 だが家賃等のお金の話になると、皆の話しの勢いが止まった。

 雪と香がため息をついた時、花が解決策を投下する。
「都内から少し遠いけれど、叔父の使ってない店舗のような倉庫のようなものならあるんです。
 定期的に風通しをしに行かなきゃいけなくて面倒なんですよ。人に貸すにも借り手を調べたり、近隣住民と上手くやっていける人物かどうか人柄を見たりとか、気苦労ばっかり多くて面倒で貸してないんです。
 掃除をしたり管理ができるなら、叔父達も貸してくれるかもしれないですね。」

 うわー、と歓声を上げて一気に盛り上がる雪と香。
「まあ、叔父様が良いといって下さったら、探偵業始めちゃう? 庶民的探偵、依頼は猫探し等応相談。なんか、良いわね。楽しそう、猫と追っかけこしてついでに動画も撮って、流してお金儲けとか出来たらさらに最高じゃない。あ、人様の猫だから駄目か。」
 妄想を始める雪に対して、現実的な香。
「やるとしたら月何回開けられるのかを調整して、もし依頼が来たら何件受けるかあらかじめ決めておかないとね。最初は、断れないから多くても仕方ないけれど、成功率の高い依頼と近隣住民からの依頼を最優先。後、大事なのは探偵屋の方向性よ。浮気調査はドロドロしてそうだから嫌。やばそうな依頼もね。」
「ドロドロって、私もそれ系の嫌だって思ってた。」
 香と雪の話に同意して頷く花。なんだか初対面で意見がスパスパ一致するのが楽しくて3人で爆笑する。笑い終わると、真面目な顔で話を続ける雪。
「そうね、危険に巻き込まれたら大変だもの。やる時は近隣住民の方か皆の知り合いの依頼が良いと思う。それなら身元確認調査も楽そうじゃない。実名と住所は必要よね。」

 そうですね、今日はもう遅いから、明日にでも叔父に聞いてみます。
「女性だけの探偵事務所だと舐められるから、せめて部屋はシックな仕事場が強調された感じが良いと思うんです。」
「そうだね、でも出来るなら、奥に皆から見えない場所があるといいな。休憩スペースを作って人が来ない時はそこで3人で美味しい物を食べて探偵話をするのも楽しそう。」
「良いですね、それ。美味しいご飯やデザートを持ち寄っても良いし。素敵。依頼来なくてもそれだけでも良いです。」
「そうね、同じ趣味の者同士の集まりっていう感じでいいかもしれない。それならメインの仕事に負担を与える事も少なそう。依頼が来ても月に1回受けるとかの方が良いかも。」
「香さん、それいいですね。月に1度は集まって依頼は来なくても楽しく過ごす。商店街にも美味しいお店が沢山あるんですよ。」
 
「わあ、楽しみだわ。それじゃあ、花さんの叔父様が了承して下さったら、探偵業を始めるという事でいいのかな。」
 賛成と声を上げた雪と花。花がおじさんに会う約束を取り付けて、皆でお願いに行くことにした。

 全員、もう探偵業を始めるつもりになっている。ゲームでやったり小説を読んで、一度はやってみたかった探偵。皆わくわくしている。その日は、連絡先を交換して花の叔父と会う前に相談する日にちを決めると足取り軽く帰っていった。

 家に着いた雪は顔を綻ばせて嬉しそうだった。
「2人と話も合って、凄く楽しかったな。仕事の事言おうか迷ったけれど、次に会うかどうか分からない人達なんだしって思って、正直に話してよかった。
 人によって短期の仕事と言うと、とたんに態度が変わる人がいるもんね。まあ、色々な価値観があるから、そういう人とは会わなければすむ話なんだけどね。いちいちそんな事気にするような事でもないし。
 あの2人と、良い付き合いができるといいな。」
 香も家に着くと育てている花に水をかけながら話している。
「今日の集まり言って正解だったわ。久しぶりに笑いまくっちゃったし過ごしていて気持ちのいい人達だったな。雪さんはあまり仕事の話をしたくなさそうだから、そこには触れないように気を付けなくちゃ。
 花さんのおじ様が貸してくださると良いんだけれど。駄目でも月一回どこかでお茶会やりたいわね。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

疑惑のタッセル

翠月 瑠々奈
恋愛
今、未婚の貴族の令嬢・令息の中で、王国の騎士たちにタッセルを渡すことが流行っていた。 目当ての相手に渡すタッセル。「房飾り」とも呼ばれ、糸や紐を束ねて作られた装飾品。様々な色やデザインで形作られている。 それは、騎士団炎の隊の隊長であるフリージアの剣にもついていた。 でもそれは──?

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...