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妖精解放後
妖精を隷属した元国王デューン 発見される
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早朝、ドロン国で不運な漁師として名高いアークンが、張り切って漁に出てきた。
「よし、まだ誰もいないな。いつも皆に後れを取ってゴミみたいなものしか取れないからな。今日は誰よりも早起きして漁に出て沢山魚を取って帰るんだ。
天気も良好、大量の魚を皆に見せびらかしてやる、もう不運な漁師だなんて呼ばせないぞ。」
気合の入っているアークン、船を出し早速網を放り投げる。アークンは船の上で時間が過ぎるのを静かにじっと待っていた。
港では漁師達が集まって話していた。
「アークン、良い魚が釣れるといいな。」
「そうだな、なんだかいつも変な物ばかり釣って本当に運が悪いんだよな、あいつ。」
「良い奴なんだけどなあ。いっそ俺達から魚を買って魚販売店とか始めたらいいのに。」
「でも漁師が好きなんだから無理だろ、今日の漁で自信をつけてくれるといいな。」
「俺達全員が今日は漁に出なければ、いくらアークンだって大物を釣ってくるだろ。分かってるな皆、帰ってきたら褒めてやるんだぞ。」
仲間思いの漁師達、全員でアークンが戻ってくるまで港で待っている。
皆の思いを知らずにうきうきしているアークン。
「そろそろ良いかな、贅沢言わないから大きな魚を沢山、お願いします。皆が腰を抜かすような魚を。」
来い来い来いと呟きながら網を引き上げたアークン。
「ん、なんかすごい重いぞ。これは来たな。」
喜びいっぱい気合を入れて踏ん張ると、残りの網を一気に船の上に乗せた。大きな黒い物体を嬉しそうにのぞき込んだアークン。それが何か分かった瞬間大声で悲鳴を上げてひっくり返った。
港で待っていた漁師は突然響いてきたアークンの悲鳴に驚くと、皆急いで船を出してアークンの船に向かう。
「どうしたんだ、アークン。大丈夫か、返事をしろ。」
漁師のボスが必死に呼びかけて船を覗き込むと、ひっくり返って気絶したアークンと網に引っかかった遺体を見つけた。
「ああ、アークン。ご遺体を見るのは初めてだったか、なんというか本当に運がないな。」
「可哀想になあ、俺の船にアークンをのせてやるよ。」
ボスはアークンを別の船に乗せると、アークンの船を自分の船と縄で結び港に戻る。
皆が同情してアークンを介抱していると、知らせを受けた兵士がやってきた。
「ご遺体を発見したんだって、状況を説明してくれ。発見者の不運な漁師はどこだ。」
いまだに気絶しているアークンを見ると兵士はため息をついて、起きたらこちらに寄こすようにと言ってご遺体を回収して帰っていった。
兵士から漁師が遺体を発見したと聞きマッキンはオウルを城に呼ぶ。オウルに事情を説明し、トークにご遺体の身元確認を頼むよう依頼した。
「分かりました。私がトーク様に頼んで一緒に確認してきます。ところで牢獄島の罪人達に、今回の処罰に関して伝えないんですか。」
オウルの言葉を聞くとマッキンは苦笑した。
「海が荒れて島には近づけない。船を出せなければ、彼らに犯罪者になった事を知らせに行けないな。
だが、船を出せるようになっても伝えるつもりは無いんだよ。
クイン様達がなあ。元が犯罪者なら図太いが一般人は脆いから。厳しい環境の中で終生を送ると知って、絶望して自殺者が出たらどうするんだと言っていてね。罪人達には出来る限り長生きしてほしいそうなんだよ。」
「ああ、なるほど。」
「だから、私はこの件は彼らには伝えないつもりだ。」
マッキンとの話を終えて宿に戻ったオウル。トークに事情を説明してご遺体確認を頼むとトークは快く応じてくれた。2人で確認に向かうと兵士がすぐに遺体安置所に案内する。
「ご遺体の損傷が激しいので、気持ちを強く持ってくださいね。」
兵士は2人に忠告し、ご遺体を覆っていた布を取る。
ご遺体は右腕は肘から先がなくなり、両足は太腿の辺りから引き千切られている。トーク青ざめた顔で大きくため息をつく。
「彼は私の弟、デューンに間違いありません。彼の手足は魔物に食われたのでしょうか。」
兵士は首を振った。
「分かりませんが、生きたまま巨大な魚に喰いちぎられているようなので魔物かもしれません。デューンについては犯罪者として対応するように言われております。ですので、犯罪者の墓地に埋葬される事になります。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
宿に戻るとトークは皆を部屋に集めてデューンの事を伝えた。話を聞いたバイオレットは俯いたまま冷たい声で言った。
「きっと、あの島に残るなんてデューンには耐えられなかったのね。」
「そうだな、だがデューンにとっては島に残ったほうが良かったかもしれない。デューンは恐怖で顔が歪んでいた。最後は物凄い恐ろしい思いをしたのだろう。
兵士によると生きたまま腕と両足を喰いちぎられたそうだ。
デューンのした事は許さないし両親やキエトを殺され憎む気持ちもあるが、生きたまま魔物に食われるだなんて複雑な気持ちだ。」
トークの言葉を皆黙って聞いていた。
「よし、まだ誰もいないな。いつも皆に後れを取ってゴミみたいなものしか取れないからな。今日は誰よりも早起きして漁に出て沢山魚を取って帰るんだ。
天気も良好、大量の魚を皆に見せびらかしてやる、もう不運な漁師だなんて呼ばせないぞ。」
気合の入っているアークン、船を出し早速網を放り投げる。アークンは船の上で時間が過ぎるのを静かにじっと待っていた。
港では漁師達が集まって話していた。
「アークン、良い魚が釣れるといいな。」
「そうだな、なんだかいつも変な物ばかり釣って本当に運が悪いんだよな、あいつ。」
「良い奴なんだけどなあ。いっそ俺達から魚を買って魚販売店とか始めたらいいのに。」
「でも漁師が好きなんだから無理だろ、今日の漁で自信をつけてくれるといいな。」
「俺達全員が今日は漁に出なければ、いくらアークンだって大物を釣ってくるだろ。分かってるな皆、帰ってきたら褒めてやるんだぞ。」
仲間思いの漁師達、全員でアークンが戻ってくるまで港で待っている。
皆の思いを知らずにうきうきしているアークン。
「そろそろ良いかな、贅沢言わないから大きな魚を沢山、お願いします。皆が腰を抜かすような魚を。」
来い来い来いと呟きながら網を引き上げたアークン。
「ん、なんかすごい重いぞ。これは来たな。」
喜びいっぱい気合を入れて踏ん張ると、残りの網を一気に船の上に乗せた。大きな黒い物体を嬉しそうにのぞき込んだアークン。それが何か分かった瞬間大声で悲鳴を上げてひっくり返った。
港で待っていた漁師は突然響いてきたアークンの悲鳴に驚くと、皆急いで船を出してアークンの船に向かう。
「どうしたんだ、アークン。大丈夫か、返事をしろ。」
漁師のボスが必死に呼びかけて船を覗き込むと、ひっくり返って気絶したアークンと網に引っかかった遺体を見つけた。
「ああ、アークン。ご遺体を見るのは初めてだったか、なんというか本当に運がないな。」
「可哀想になあ、俺の船にアークンをのせてやるよ。」
ボスはアークンを別の船に乗せると、アークンの船を自分の船と縄で結び港に戻る。
皆が同情してアークンを介抱していると、知らせを受けた兵士がやってきた。
「ご遺体を発見したんだって、状況を説明してくれ。発見者の不運な漁師はどこだ。」
いまだに気絶しているアークンを見ると兵士はため息をついて、起きたらこちらに寄こすようにと言ってご遺体を回収して帰っていった。
兵士から漁師が遺体を発見したと聞きマッキンはオウルを城に呼ぶ。オウルに事情を説明し、トークにご遺体の身元確認を頼むよう依頼した。
「分かりました。私がトーク様に頼んで一緒に確認してきます。ところで牢獄島の罪人達に、今回の処罰に関して伝えないんですか。」
オウルの言葉を聞くとマッキンは苦笑した。
「海が荒れて島には近づけない。船を出せなければ、彼らに犯罪者になった事を知らせに行けないな。
だが、船を出せるようになっても伝えるつもりは無いんだよ。
クイン様達がなあ。元が犯罪者なら図太いが一般人は脆いから。厳しい環境の中で終生を送ると知って、絶望して自殺者が出たらどうするんだと言っていてね。罪人達には出来る限り長生きしてほしいそうなんだよ。」
「ああ、なるほど。」
「だから、私はこの件は彼らには伝えないつもりだ。」
マッキンとの話を終えて宿に戻ったオウル。トークに事情を説明してご遺体確認を頼むとトークは快く応じてくれた。2人で確認に向かうと兵士がすぐに遺体安置所に案内する。
「ご遺体の損傷が激しいので、気持ちを強く持ってくださいね。」
兵士は2人に忠告し、ご遺体を覆っていた布を取る。
ご遺体は右腕は肘から先がなくなり、両足は太腿の辺りから引き千切られている。トーク青ざめた顔で大きくため息をつく。
「彼は私の弟、デューンに間違いありません。彼の手足は魔物に食われたのでしょうか。」
兵士は首を振った。
「分かりませんが、生きたまま巨大な魚に喰いちぎられているようなので魔物かもしれません。デューンについては犯罪者として対応するように言われております。ですので、犯罪者の墓地に埋葬される事になります。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
宿に戻るとトークは皆を部屋に集めてデューンの事を伝えた。話を聞いたバイオレットは俯いたまま冷たい声で言った。
「きっと、あの島に残るなんてデューンには耐えられなかったのね。」
「そうだな、だがデューンにとっては島に残ったほうが良かったかもしれない。デューンは恐怖で顔が歪んでいた。最後は物凄い恐ろしい思いをしたのだろう。
兵士によると生きたまま腕と両足を喰いちぎられたそうだ。
デューンのした事は許さないし両親やキエトを殺され憎む気持ちもあるが、生きたまま魔物に食われるだなんて複雑な気持ちだ。」
トークの言葉を皆黙って聞いていた。
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