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1話 現代ダンジョン
しおりを挟むダンジョンという存在を聞くと、皆はファンタジーの世界を思い浮かべると思う。俺もそうだった。小説の中で繰り広げられる剣と魔法の世界の中に、ダンジョンという場所が出てくるのがほとんどだ。
その中では多種多様な魔物や罠が出てくる。そしてダンジョンといえば、その中にある素材や宝箱で一攫千金を狙えるという点が魅力的だった。
俺ももし異世界に転移や転生をしたら、絶対にダンジョンに潜って、一山当てて、良い暮らしを送りたいみたいな妄想をしたことも一度や二度では足りないくらいした。俺以外にもそんな妄想をしたことのある男の子は少なくないんじゃないだろうか。
でもこれにはある前提があった。剣と魔法の世界の中にダンジョンが存在するということだ。
例えば今の世界に急にポツンとダンジョンが現れたとしても、それは自分の妄想の通りにはならない。なぜなら、俺達は平和な世の中で生きてきたため、剣の心得なんて持っている人も少ないし、ましてや魔法なんて使える奴なんていないだろう。そんな俺達がどうやって魔物に立ち向かえば良いんだろうか、銃みたいな武器があればいけるだろうか?
だけどそんなの日本じゃありえない。だから俺達がこういった妄想をするときは、とりあえず異世界に行ってから、剣術や魔法を得てから、ダンジョンに挑もう!と考える。普通そうだろう。
だけど西暦2047年の日本には、その前提上想定していない事態が起きていた。
現代にダンジョンが存在するという事だ。
この異常事態が起こったのは13年前に遡る。
何気ない日常を過ごしていた私達を、大きな地震が襲った。それによって起こった津波や火災、建物の倒壊などによって、多くの人や物に被害が出た。
しかもこれは日本だけではなく、普段地震の起こりにくい場所も含め、すべての国で起きた。日本はまだ地震による耐性があるため、被害は世界の中では最小限に抑えることができたが、大きな地震などが起きたことがない国では、尋常ではないほどの被害が出た。ほとんどの家や建物が潰れ、死者も多く出た。
この日を体験した人の多くが口を揃えて言う、あれは世界の終わりのようだったと。
地震が数回起きた後は、ぴたりと止み。その後再度地震が起きることはなかった。そうすると、政府は事態の収束を行うために動き出す。世界でも同様の動きがとられた。死者の数は多く、津波による行方不明者も他に類を見ないほどの数となった。
そして地震によって起きた被害を確認していく上で、ある存在が浮上する。それがダンジョンだった。初めは地震によって、地盤沈下が起き、それによって穴が出来ただけだと多くの人は思った。その為、その穴の周りは立ち入り禁止とされ、人が近寄ることはなかった。
その穴を確かめるよりも先に、人命救助などやることがあったため、その穴の全容を確かめるのを後回しにされるのは当然のことだった。
その穴がダンジョンだと、初めて確認したのは日本だった。地震による対処が早く、数ヶ月で、多くの問題はまだ残っていたが、ある程度事態が落ち着き、穴を確認するという問題が、1番上のタスクとなるのが早かった日本の政府は、自衛隊を用いて、穴の全容を確かめに動いた。その穴は、皇居の前にできた物だった。
その穴がなぜダンジョンだとされたのか、その理由は単純明快に言うと、モンスターや魔物と呼ばれる存在がいたからだ。
1番初めに確認された魔物は、緑色の皮膚を待ち、小学生低学年ほどの身長を持つ、ファンタジーの世界ではゴブリンと呼ばれる存在だった。
ファンタジーの世界では、スライムに並び最弱とされるその存在を倒すのに、日本の自衛隊は2人の死者を出した。
ここで疑問に思った人も多いと思う。なぜゴブリン相手に、戦闘のプロである自衛隊が2人の死者を出してしまったのかと言う点だ。
その理由はいくつかあるが、その一つにゴブリンに銃が効きにくいと言うものがある。後に判明するが、魔力の籠っていない武器では、魔物に致命傷を与えるのは難しいらしい。そのため、ゴブリンという相手に死者を出してしまう事態となった。
とにかく、いくらでも続いていそうな穴と魔物、その2点を繋ぎ、日本の政府が導き出した答えが、現代社会にダンジョンが誕生したという物だった。
そして日本政府はこの事実を国内だけではなく、全世界に発信した。その後の事態はある程度予測できるが、ダンジョン誕生という情報に、全世界に激震が走った。
そして全世界がダンジョンの把握のために、一斉に動き出した瞬間でもあった。そこから13年、全世界は地震によって起きた被害を埋めつつ、ダンジョンの研究を行なってきた。
多くの被害を出しながらも研究を行なった結果、現代ダンジョンについて、多くのことが分かった。
まずダンジョンの中に存在する魔物は、ダンジョンの外に出てくることはないという事だ。この確認は第一にされた。それもそうだろう、魔物がダンジョンの外に出てくるということになれば、ダンジョンの近くに住んでいる人は、安心して夜も眠れない。
そのため、これは第一優先的に確認された。確認した方法としては、中にいる魔物にちょっかいを出し、追いかけてくる魔物を引き連れ、地上に出るというものだ。地上付近にまで魔物は近づいてきたが、その魔物がダンジョンの外に出ようとした瞬間、何か透明な壁に当たったかのように、魔物が中に弾き飛ばされた。
これによって魔物はなんらかの力によって、ダンジョンの中に縛られている存在だということが分かったため、多くの人が安心することとなった。
しかし万が一のこともあるため、現在、ダンジョンの周りにはバリケードが設置されている。これによって、事実だけでなく、見た目的にも、近くに住んでいる人の安心を買うという役目も担っている。
また魔物はダンジョンの外に出れないという事実と並行して、魔物は存在する層から上下の層に移動できないということも分かった。
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