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ーEXー 芽依
しおりを挟むー芽依視点ー
私の人生はいつも灰色だった。
私は物心ついた時から何でもできた。運動に勉強、そして色々な賞を貰ったりもした。それに幼い頃から無口で可愛かった私は、周囲の大人にとっては、可愛い存在だったみたいで、とても可愛がられた。
だけど、同年代の子はそうは思わなかったみたい。それもそうだと思う。何事も努力なんてしている様に見えないのに、何だって出来るし、それに可愛く男子にモテる私は、女子からすると、排除したい存在だったと思う。
実際に小学校に上がると、私を標的にするいじめが起きた。でも、色々と頭の働く私は、色んな危険を察知し、私に対して襲いかかる罠を悉く回避した。
更に、私を虐めようとする女子の動きを察知したのか、男の子が虐めの主犯である女の子に文句を言ったことで、更に虐めはヒートアップしていった。
けれど、それも全部回避していった私は、いつしか虐める対象にもならず、ただただ存在をいない様にされた。
構ってくるのは、男子だけ。だけど、その行動全てに下心が透けているのが分かった。
幼い頃から可愛く、発達の良かった私に向けられる下心や下品な視線は、更に私から交友という関係を遠ざけた。
同級だけでなく、年上の人や先生まで、その全ての視線が気持ち悪く、不快なものだった。
そんな私は、来るものを全て拒み続けた。その結果、私の周りには女子だけでなく、男子もいなくなり、とうとう一人になった。
けれど、そこに悲壮感や寂しさなどは一切なかった。むしろ、疲れる要素が無くなった清々しさまであった。
女子からは妬みや嫉妬、悪口や虐めを向けられ、男子からは下心やいやらしい視線を向けられ続けた私は、防衛本能や人の本質を見抜く力が育っていったのか、勘がどんどん鋭くなっていった。
幼い頃から何でもできた私だけど、私に残っているものはなんだろうと考える。
友情や恋愛、情熱や怒り、悲しみ、楽しさ、喜び、そのどれもあまり体験したことのない私は、本当に人間なんだろうかと思う。
親との関係はけっして悪くはないが、無口で人形の様な私をどう扱っていいのか分からないのか、絶妙な距離感を保たれ、共働きで海外の出張も多い親と顔を合わせる機会は月に数度だけ。
(この先も何も感じない人生を送るのかな)
何事もにも意味を見出せない日々が変わる気配がしたのはいつだったのだろう。
自分が何者なのかを知りたくて、ふとした事をきっかけに、冒険者登録試験を受けた。
そしてそこで私は大きな出会いをする。
すたすたと他の冒険者候補と変わらない動きでゴブリンに向かって歩く、私と変わらない男の子。けれど、その立ち振る舞いには、熟練の気配が漂い、その気配を裏付けるかの様に、ゴブリンの命を自然に狩り取る。
私の直感が彼だと告げる。私の生まれてきた意味は彼にあるのだと。生まれてから今まで、変わることのなかった心臓のリズムが変わりだしていく。
私は自分の直感に従い、ダンジョンへと潜っていく彼の後をつける。
(やっぱり他の人と動きが全く違う。それにあの出鱈目な力はなに?)
彼の後をつける事で、彼の出鱈目さがより分かった。狩りをしている姿に目を惹きつけられ、その姿から目が離せなくなっていると、私に対して声がかけられた。
「それで、俺に何か用か?」
最新の注意を払っていたのに気づかれてしまっていた。彼の後をつけていたことがバレたということは、彼に警戒をさせてしまう。
そんなのは嫌だ。彼のことをもっと知りたい。
彼のことになると、知らなかった初めての感情が次々と出てくる。そして、私の口から自然と言葉が出ていた。
「私とパーティーを組んで欲しい」
と、この時のことを思い返せば、よくやった私とたくさん褒めてやりたい。
そこから何とかパーティーを組むことになり、彼、四ノ宮翔の事を少しずつ知ることが出来た。その出鱈目な能力も、そんな力を持っても驕らずひたすら上を見続けているその姿勢も、冷静さを装おうとしているが、感情が外に見え隠れしてしまう可愛さも、私の事を1人の人と接し、下心を隠そうと努力している誠実さも、他の男の人から私の事を隠し、守ってくれる男らしい姿も。
そのどれもが、私の灰色だった世界を、色鮮やかに染めていってくれる。
彼ともっと一緒にいたい。彼と一緒にこの色鮮やかな世界をもっと見ていたいと。そう願っている自分に気づいて、驚いて、だけど、そんな自分が嫌いじゃないなと思えた。
高みを目指す彼の側に、いつまでも、どこまでも側にいられる様に、力が欲しい。
だけど、彼にその事を伝えるにはまだ恥ずかしくて、違う理由としてお金が沢山欲しいと咄嗟に答えてしまった。
彼にお金にがめつい女だと思われていないかが心配だ。
自分の容姿に特別、興味など持ったことなんてないけど、周りが可愛いと言うくらいだ、私の容姿は悪くないはず。なら、この容姿を存分に使って、彼との距離を詰めよう、彼はどんな反応をしてくれるかな?今から楽しみ
そうだ、外交をしている親なら、男の子の落とし方も知っているかもしれない。
男の子の落とし方を聞いた時、親は一瞬何とも言えない顔をしていたが、その顔は優しく、嬉しそうにしていた。そしてその顔は私の事を愛してくれている人の顔だった。
こんなことにも気づけなかったんだ。
(え?そんな恥ずかしい事をするの?むぅ、彼が喜んでくれるなら、我慢する。うん、頑張れ私。ふふ、あんなに顔を真っ赤にして、頑張った甲斐があった)
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