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幼子のように
しおりを挟む「葵~。ご飯たべにいこう~」
私はいつもお昼になったらこの医務室に来る。
最初であったときは大嫌いだった葵も今じゃ大親友。
彼女と一緒にいることが私にとって癒しとなる。
「ちょっと待って。今、データーを打ち込んでしまうから」
何事にも責任感の強い彼女は仕事もきちんとする。
そんな彼女が大好きだった。
「今日もお弁当の日でしょ?私、お茶入れとくね」
彼女が看護師という職業のせいか、いつも私の体を気遣ってくれ
食事のこととか昔に比べたらかなり変わってきた。
外食しまくっていた私も自分でお弁当を作ってくるようになり、
この医務室でご飯を食べるのが日課となってきた。
「今日はねぇ~。柚子茶持ってきたんだ。おいしいんだ~」
彼女がパソコンに向かっている間、私は楽しみにしていたゆず茶をガザゴソと
バックの中から出す。瓶ごと持ってくるのは重かったけど、この時間のためなら苦ではない。
そもそも葵がいろんなお茶をおいしく入れてくれるので私もお茶に興味がでて、
今ではいろんなフレーバーティーを煎れて楽しんでいる。
ついあちこちからお取り寄せしちゃったり遠くまで買いに行ってしまった。
今までの私ならここまでハマるってことはなかったのに、
彼女のおかげで私の世界がどんどん変わっていった。
「ふぅ~。終わった。お待たせしました」
お弁当を持ってテーブルにやってきた。
一緒にいただきますといってお弁当を食べ始めた。
「ねぇ、今日、暇?」
今日はなんだか飲みたい気分だし、報告したいことがあった。
「う~ん、リョウもいるけどいい?」
む、またしてもヤツか。
「しょうがないわね、我慢するわ」
私の言葉にクスクスわらう。
彼女は私とリョウが仲がいいって思っている。
私からすると天敵なのに。
やつのせいで葵との時間が少ないのよ。
ただでさえ、超独占欲の強い彼氏がいるのに。
「あ、でも直様は?」
「今日はおとなしくしてくれるって」
一条グループのトップをいく人間が、
葵には弱いんだよね。
でも、きっと遅くなったら迎えに来るんだろうけど。
「リョウとは何時ぐらいに待ち合わせ?」
「今日はね~。リョウの職場で待ち合わせなんだ」
そういえば、リョウがどんな仕事をしてるのか私は知らない。
「リョウの職場?」
私が不思議そうにしてるとクスクス笑う葵。
「ふっふ~。リョウ、今日は遅番だから7時までなの。
仕事終わったら速攻迎えに行こうね、楽しいよ」
何度聞いてもリョウの仕事を教えてくれなかった。
楽しいってなんだろう。
リョウが仕事を持ってること自体不思議だったけど。
まあ、とにかく今日の仕事は速く終わらせよう。
定時に仕事を終わらせお先にといって葵と合流した。
今は、夏に近いので外はまだ明るい。
これなら明るいうちにリョウの職場に行けるだろうと葵が言った。
数駅電車で移動したところ、とある住宅街。
「ねぇ、ここって住宅街だよね?」
葵はニコニコするだけで、教えてくれない。
と、たどり着いたのが保育園。
保育園?
ゲージの中から子供達の笑い声が聞えた。
「リョウせんせー。これ見て~。」
かわいらしい女の子が花の冠をして見せた。
「あら、かわいいわね。よく似合ってよ」
子どもというか、職場でもその口調かよって突っ込みたいくなったけど、
それが彼らしくっておかしくなる。
「リョウせんせー、こっちきて~」
「はいはい。しょうがないわね」
そういいながらニコニコして子どもに手を引かれるがまま砂場のところへ行く。
リョウのまわりには子どもがいっぱい集まり、それぞれがいろんなことを言い、
取り合いのようになっている。
ちょっと困った顔をしながらも、一人一人にちゃんと答えている。
「リョウらしいでしょ?」
ふふっと笑いながら葵はリョウを眺めていた。
「リョウらしい・・・・か」
リョウって見た目ははっきり言ってモデルなみ。
身長は180センチ以上あって、9頭身?って言いたくなるぐらい小顔で、
髪は短髪にして笑顔は爽やか系。
見た目は本当に芸能人ですか?って言いたいくらいに爽やかな笑顔を振りまいてる。
そんないい男が青空の下でミッフィーの青いエプロンをして子どもと戯れる。
まるで、幼子のように一緒になっている。
笑顔で子供達とあそんでいるリョウを見て、
なんだか胸が苦しくなった。
まぶしくって、せつなくって。
10代の少女のように、ドキドキして。
ありえない。
相手はリョウだよ?
男なんだか、女なんだか、わからないような人なのに。
それに私にはもう恋愛なんか出来ないのに。
してはいけないのだ。
そう、私はもうすぐ結婚するのだ。
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