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14、元の体

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 自らの『元の体』。

 それをアザリアが見つけ出すのは、自由の身となった今では難しいことでは無かった。
 日に何度もメリルは屋敷の外に出かけていたのだが、その後を辿ればすぐだったのだ。

 屋敷の裏の森、その中にある離れと思わしき一軒だ。
 窓はカーテンで仕切られていたが、天井の明かり窓から内部はうかがえる。
 そうして見つけたのだ。
 瀟洒しょうしゃなベッドの上にである。
 自分がいた。
 普段鏡越しにしか目の当たりにしたことがない自分が、そこに静かに寝かされていた。

 見下ろしつつ実感する。
 寝かされている彼女は間違いなく自分自身であること。
 そして、この距離、視界に収めている状態であれば、いつでも戻ることが出来ること。

 ただ……そのつもりにはなれなかった。

 寝台の自らから目を離すと、アザリアはすぐにその場を飛び立った。

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