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11、エメルダとクレイン
「何をと言われましても。陛下に養子として……いや、違いますね。陛下に婿養子として迎えていただくことになりました」
再びの「ん?」だった。
エメルダは眉間にシワを寄せてクレインを見つめることになる。
「……は? 今なんて言ったの?」
「ですから、婿養子と」
「……一体、誰の婿よ?」
「それはもう、エメルダ様。陛下の婿養子となれば、貴女以外の相手がいらっしゃいますか?」
それはその通りだった。
しかし、エメルダは眉間を揉んで黙り込むことになった。
まったくもって分からない。
全てのことが脳に染みて来ない。
「……間抜けに繰り返すけどいい? つまり、貴女が私の婿ってこと?」
「左様で」
「婿として、次の王位を継ぐって?」
「自然の流れとしては」
「……ふーん」
なんとなく理解は及んできた。
であれば、当然のことだ。
エメルダは大きく息を吐き、その分だけ肺に息を貯めこむ。
これで準備は十分だった。
「あ、貴方ねっ!! なんなのよ、それ!? こんな年増の行き遅れの悪女を妻っ!? それで養子っ!? 重臣たちが黙っているわけがないでしょ!! 貴方、本当に何してるのよっ!!」
貯めた分だけを怒声としてぶつける。
ただ、クレインだ。
平然として応じてくる。
「では、まず後者から失礼しましょうか。エメルダ様のお言葉は金言でした。学院というものはまったく素晴らしい所でしてね。人脈を作るのに、あれほど適当な場所はありませんでした」
一体コイツは何が言いたいのか。
エメルダは肩で息をしながらに首をかしげる。
「は、はぁ? それはそうでしょうけど……それが何?」
「4年かかりましたが、シェリナの重臣たちと繋がることも叶いましてね。ご心配なく。すでに同意は得ています。間をおかずして、彼らからは祝辞が届くことになるでしょう」
エメルダの懸念した問題は解決されている。
そう彼は言いたいようだった。
クレインは停滞することなく言葉を続けてくる。
「そして、前者についてです。まぁ、確かに貴女は私より年上ですけどね。ただ、そんなことをは今さらです。8年前からずっと、私は貴女に恋い焦がれてきたのであれば」
そうして、だ。
彼はにこりとほほ笑みを向けてきた。
「いかがでしょうか? 私はまだ、貴女の中では可愛いクレインくんですか? 貴女の苦しみを共に背負うには足りないように見えますか?」
エメルダはクレインを見つめることになった。
立派な青年だった。
余裕と気品とさらに知性。
それらを持ち合わせて、なおかつだ。
彼は理解者だった。
8年前と変わらない、自らの理解者だった。
(わ、私は……)
悪女だった。
本物になりつつある、もはや醜い悪女だ。
クレインにはふさわしくない。
そんな確信はあった。
だが、それでもだった。
「……1つ聞いておくけど、良い?」
「はい。なんなりと」
「王女の婿となれば、簡単に離縁とはいかないわ。そこにどんな困難が待ち受けていてもそう。私の思いもよらないような醜さを目の当たりにしてもそう。貴方にはその覚悟はある?」
彼は笑みを消した。
翡翠の双眸には、深い光が湛えられている。
「……貴女と共にある。それが私の望みの全てです。どんな困難であれ、貴女のためとあれば」
エメルダは彼に歩み寄る。
間近になればひかえめな笑みと共にクレインを見上げた。
「そう。だったら……私を助けてちょうだい」
思えば初めてかもしれなかった。
自分がこうして人に甘えるというのは。
返事は無かった。
代わりに、クレインはそっと顔を近づけてくる。
拒否する選択肢などは無い。
唇が重なる。
暖かいとエメルダは思った。
再びの「ん?」だった。
エメルダは眉間にシワを寄せてクレインを見つめることになる。
「……は? 今なんて言ったの?」
「ですから、婿養子と」
「……一体、誰の婿よ?」
「それはもう、エメルダ様。陛下の婿養子となれば、貴女以外の相手がいらっしゃいますか?」
それはその通りだった。
しかし、エメルダは眉間を揉んで黙り込むことになった。
まったくもって分からない。
全てのことが脳に染みて来ない。
「……間抜けに繰り返すけどいい? つまり、貴女が私の婿ってこと?」
「左様で」
「婿として、次の王位を継ぐって?」
「自然の流れとしては」
「……ふーん」
なんとなく理解は及んできた。
であれば、当然のことだ。
エメルダは大きく息を吐き、その分だけ肺に息を貯めこむ。
これで準備は十分だった。
「あ、貴方ねっ!! なんなのよ、それ!? こんな年増の行き遅れの悪女を妻っ!? それで養子っ!? 重臣たちが黙っているわけがないでしょ!! 貴方、本当に何してるのよっ!!」
貯めた分だけを怒声としてぶつける。
ただ、クレインだ。
平然として応じてくる。
「では、まず後者から失礼しましょうか。エメルダ様のお言葉は金言でした。学院というものはまったく素晴らしい所でしてね。人脈を作るのに、あれほど適当な場所はありませんでした」
一体コイツは何が言いたいのか。
エメルダは肩で息をしながらに首をかしげる。
「は、はぁ? それはそうでしょうけど……それが何?」
「4年かかりましたが、シェリナの重臣たちと繋がることも叶いましてね。ご心配なく。すでに同意は得ています。間をおかずして、彼らからは祝辞が届くことになるでしょう」
エメルダの懸念した問題は解決されている。
そう彼は言いたいようだった。
クレインは停滞することなく言葉を続けてくる。
「そして、前者についてです。まぁ、確かに貴女は私より年上ですけどね。ただ、そんなことをは今さらです。8年前からずっと、私は貴女に恋い焦がれてきたのであれば」
そうして、だ。
彼はにこりとほほ笑みを向けてきた。
「いかがでしょうか? 私はまだ、貴女の中では可愛いクレインくんですか? 貴女の苦しみを共に背負うには足りないように見えますか?」
エメルダはクレインを見つめることになった。
立派な青年だった。
余裕と気品とさらに知性。
それらを持ち合わせて、なおかつだ。
彼は理解者だった。
8年前と変わらない、自らの理解者だった。
(わ、私は……)
悪女だった。
本物になりつつある、もはや醜い悪女だ。
クレインにはふさわしくない。
そんな確信はあった。
だが、それでもだった。
「……1つ聞いておくけど、良い?」
「はい。なんなりと」
「王女の婿となれば、簡単に離縁とはいかないわ。そこにどんな困難が待ち受けていてもそう。私の思いもよらないような醜さを目の当たりにしてもそう。貴方にはその覚悟はある?」
彼は笑みを消した。
翡翠の双眸には、深い光が湛えられている。
「……貴女と共にある。それが私の望みの全てです。どんな困難であれ、貴女のためとあれば」
エメルダは彼に歩み寄る。
間近になればひかえめな笑みと共にクレインを見上げた。
「そう。だったら……私を助けてちょうだい」
思えば初めてかもしれなかった。
自分がこうして人に甘えるというのは。
返事は無かった。
代わりに、クレインはそっと顔を近づけてくる。
拒否する選択肢などは無い。
唇が重なる。
暖かいとエメルダは思った。
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感想ありがとうございます!
エメルダのこの感じは、私自身けっこう好きだったので評価いただき非常に嬉しいです!
他の作品もということで、そのことも本当に嬉しいです。
婚約者ちゃん投げっぱなしとしても?学校入っている間に何とかしたんでしょう。人脈作りは成功したようですし・・・。
可愛いハッピーエンドで良かったです。私はほっこりしました。
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