26 / 29
現在、そして
3、執務室にて
しおりを挟む
「……あの、彼らはどうでしたか?」
王宮の執務室である。
メアリが問いかければ、キシオンは苦笑で首をすくめてきた。
「どうもこうも無いですね。彼らは彼らでした。反省の素振りなどまるで無し。ただ、脅しつけてはおいたので、妙な振る舞いはしないかと思われます」
メアリは頷きを返す。
それで十分だった。
彼らには今までへの後悔などもはや期待していない。
何もしない以上のことを求めるつもりは無かった。
「しかし、陛下? よろしいですか?」
不思議そうに首をかしげてのキシオンだった。
メアリは家族のことを忘れて、首をかしげ返す。
「はい? あの、何かありましたか?」
「えぇ。不思議と言えば不思議な光景が目の前に。何故、壁際なんです? 何故、そんなところで立ち尽くしておられるので?」
納得の疑問の声だった。
ここは執務室であり、もちろん執務用の机と椅子がある。
しかし、メアリは壁際で控えていた。
その理由はと言えば、
「……えーと、ちょっと身構えてしまうところがありまして」
メアリは執務机を横目にしながらキシオンに苦笑を返す。
彼は一瞬「ん?」と首をかしげた上で、「あぁ」と頷きを見せた。
「そういうことですか。ある種、象徴的に感じたと? そこに座る意味をお考えになったと?」
「……はい。あそこに座るということは、つまりそういうことですから」
女王としてこの国の政務を執る。
そのことを思うと、おいそれとは腰を下ろせなかったのだ。
キシオンは苦笑を見せてきた。
「まぁ、そこに座る意味が分からないよりは、はるかに良いでしょうが……いや、そういうわけにはいかないでしょうとも」
彼は執務机に歩み寄った。
椅子を引けば、ニヤリだ。
メアリに楽しそうに笑みを見せ、椅子を手のひらで指し示して来る。
「では、陛下。陛下の女王としての第一歩。このキシオン・シュラネスが見届けさせていただきましょう」
こうなると、立ち尽くしてはいられなかった。
諦めて椅子に近づく。
革張りのされた、格調高い執務椅子。
王位にある者が座るそこに、メアリはゆっくりと腰を下ろし……思わず苦笑だった。
「何もありませんね?」
なんてことは無い、普通の椅子の感覚だった。
とりたての感慨も無い。
キシオンは「ははは」と楽しげな笑い声を上げてきた。
「それはそうでしょうとも。これ自体はただの椅子ですから」
「ふふ。ですね。本当にそうです」
「はい。女王としての実感は、家臣や国民に女王として向き合ってこそでしょうとも。しかし……本当に良かったです」
メアリは彼を見上げる。
キシオンは優しげな笑みを浮かべていた。
「本当、良かったです。ようやく貴女は、貴女にふさわしい立場を得ることになりました」
メアリはもちろん笑みを返すことになった。
「……ありがとうございます。これが私にふさわしい立場とはちょっと思えませんが」
「ははは。貴女らしい返答ですけど、これで少なくともあのバカ共に悪行を押し付けられることは無くなりましたからね。いやぁ、本当に良かった」
自分のことのようにという表現がこれほど似合う笑顔は無かった。
キシオンは屈託ない笑顔で祝福してくれた。
嬉しかった。
心の底から嬉しかった。
しかし、その一方だ。
彼のおかげでこの状況がある。
そのことを思うと、どうにもメアリは首をかしげざるを得なかった。
「あー、んん? 一体どうしました?」
彼に不思議そうに尋ねられたので、せっかくだった。
胸中の疑問をメアリはキシオンに尋ねることにした。
「……ここまでのこと。かなり大変でしたよね?」
キシオンは不思議そうな表情のままに頷きを見せてくる。
「まぁ、はい。下準備はそれなりに。親父殿に納得して法務卿を譲ってもらうのもけっこう骨が折れましたしね」
「……何故です?」
「はい?」
「何故なんです? なんで、私のためなんかにここまでのことをしてくれたのですか?」
それがはなはだ疑問だったのだ。
別れてからの4年。
その少なくない歳月を彼は自分のためにと費やしてくれた。
それは一体何故なのか?
にわかに返答は無かった。
彼は大きく目を丸くしていた。
その表情のまま、頭を左にゆらり、右にゆらりとして、さらにはアゴをさすって、考えこむように天井を見上げ、
「……え?」
そんな呟きを漏らし、彼は真顔でメアリを見つめてきた。
「……あの、本気ですか? え、本気でおっしゃってます? 俺が何故貴女を助けたかとか本気で疑問に思っていらっしゃいます? え、本気で察しもついていない感じです?」
その問いかけには妙な迫力があった。
メアリはのけぞりながらに頷きを見せることになる。
「は、はい。ほ、本気の疑問ですが」
「……ほぉ」
キシオンは何故か力なく目元を手のひらで覆った。
「……そうでしたか。言葉よりも行動派の俺ですが、そうか。これだけやっても伝わらないことはあったか。そうか、なるほど。そうかぁ……」
キシオンは不思議な嘆きを見せてきたが、とにかくそうなのだ。
疑問でしかないのだ。
メアリはあらためて彼に尋ねかける。
「どうしてなのですか? 10年前に声をかけてもらった時から不思議だったのです。どうして私のことなんかを気にしてくれたのですか?」
キシオンは顔から手を下ろせば、「まぁ」と頷きを見せてきた。
王宮の執務室である。
メアリが問いかければ、キシオンは苦笑で首をすくめてきた。
「どうもこうも無いですね。彼らは彼らでした。反省の素振りなどまるで無し。ただ、脅しつけてはおいたので、妙な振る舞いはしないかと思われます」
メアリは頷きを返す。
それで十分だった。
彼らには今までへの後悔などもはや期待していない。
何もしない以上のことを求めるつもりは無かった。
「しかし、陛下? よろしいですか?」
不思議そうに首をかしげてのキシオンだった。
メアリは家族のことを忘れて、首をかしげ返す。
「はい? あの、何かありましたか?」
「えぇ。不思議と言えば不思議な光景が目の前に。何故、壁際なんです? 何故、そんなところで立ち尽くしておられるので?」
納得の疑問の声だった。
ここは執務室であり、もちろん執務用の机と椅子がある。
しかし、メアリは壁際で控えていた。
その理由はと言えば、
「……えーと、ちょっと身構えてしまうところがありまして」
メアリは執務机を横目にしながらキシオンに苦笑を返す。
彼は一瞬「ん?」と首をかしげた上で、「あぁ」と頷きを見せた。
「そういうことですか。ある種、象徴的に感じたと? そこに座る意味をお考えになったと?」
「……はい。あそこに座るということは、つまりそういうことですから」
女王としてこの国の政務を執る。
そのことを思うと、おいそれとは腰を下ろせなかったのだ。
キシオンは苦笑を見せてきた。
「まぁ、そこに座る意味が分からないよりは、はるかに良いでしょうが……いや、そういうわけにはいかないでしょうとも」
彼は執務机に歩み寄った。
椅子を引けば、ニヤリだ。
メアリに楽しそうに笑みを見せ、椅子を手のひらで指し示して来る。
「では、陛下。陛下の女王としての第一歩。このキシオン・シュラネスが見届けさせていただきましょう」
こうなると、立ち尽くしてはいられなかった。
諦めて椅子に近づく。
革張りのされた、格調高い執務椅子。
王位にある者が座るそこに、メアリはゆっくりと腰を下ろし……思わず苦笑だった。
「何もありませんね?」
なんてことは無い、普通の椅子の感覚だった。
とりたての感慨も無い。
キシオンは「ははは」と楽しげな笑い声を上げてきた。
「それはそうでしょうとも。これ自体はただの椅子ですから」
「ふふ。ですね。本当にそうです」
「はい。女王としての実感は、家臣や国民に女王として向き合ってこそでしょうとも。しかし……本当に良かったです」
メアリは彼を見上げる。
キシオンは優しげな笑みを浮かべていた。
「本当、良かったです。ようやく貴女は、貴女にふさわしい立場を得ることになりました」
メアリはもちろん笑みを返すことになった。
「……ありがとうございます。これが私にふさわしい立場とはちょっと思えませんが」
「ははは。貴女らしい返答ですけど、これで少なくともあのバカ共に悪行を押し付けられることは無くなりましたからね。いやぁ、本当に良かった」
自分のことのようにという表現がこれほど似合う笑顔は無かった。
キシオンは屈託ない笑顔で祝福してくれた。
嬉しかった。
心の底から嬉しかった。
しかし、その一方だ。
彼のおかげでこの状況がある。
そのことを思うと、どうにもメアリは首をかしげざるを得なかった。
「あー、んん? 一体どうしました?」
彼に不思議そうに尋ねられたので、せっかくだった。
胸中の疑問をメアリはキシオンに尋ねることにした。
「……ここまでのこと。かなり大変でしたよね?」
キシオンは不思議そうな表情のままに頷きを見せてくる。
「まぁ、はい。下準備はそれなりに。親父殿に納得して法務卿を譲ってもらうのもけっこう骨が折れましたしね」
「……何故です?」
「はい?」
「何故なんです? なんで、私のためなんかにここまでのことをしてくれたのですか?」
それがはなはだ疑問だったのだ。
別れてからの4年。
その少なくない歳月を彼は自分のためにと費やしてくれた。
それは一体何故なのか?
にわかに返答は無かった。
彼は大きく目を丸くしていた。
その表情のまま、頭を左にゆらり、右にゆらりとして、さらにはアゴをさすって、考えこむように天井を見上げ、
「……え?」
そんな呟きを漏らし、彼は真顔でメアリを見つめてきた。
「……あの、本気ですか? え、本気でおっしゃってます? 俺が何故貴女を助けたかとか本気で疑問に思っていらっしゃいます? え、本気で察しもついていない感じです?」
その問いかけには妙な迫力があった。
メアリはのけぞりながらに頷きを見せることになる。
「は、はい。ほ、本気の疑問ですが」
「……ほぉ」
キシオンは何故か力なく目元を手のひらで覆った。
「……そうでしたか。言葉よりも行動派の俺ですが、そうか。これだけやっても伝わらないことはあったか。そうか、なるほど。そうかぁ……」
キシオンは不思議な嘆きを見せてきたが、とにかくそうなのだ。
疑問でしかないのだ。
メアリはあらためて彼に尋ねかける。
「どうしてなのですか? 10年前に声をかけてもらった時から不思議だったのです。どうして私のことなんかを気にしてくれたのですか?」
キシオンは顔から手を下ろせば、「まぁ」と頷きを見せてきた。
53
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
婚約破棄?結構ですわ。公爵令嬢は今日も優雅に生きております
鍛高譚
恋愛
婚約破棄された直後、階段から転げ落ちて前世の記憶が蘇った公爵令嬢レイラ・フォン・アーデルハイド。
彼女の前世は、ブラック企業で心身をすり減らして働いていたOLだった。――けれど、今は違う!
「復讐? 見返す? そんな面倒くさいこと、やってられませんわ」
「婚約破棄? そんなの大したことじゃありません。むしろ、自由になって最高ですわ!」
貴族の婚姻は家同士の結びつき――つまりビジネス。恋愛感情など二の次なのだから、破談になったところで何のダメージもなし。
それよりも、レイラにはやりたいことがたくさんある。ぶどう園の品種改良、ワインの販路拡大、新商品の開発、そして優雅なティータイム!
そう、彼女はただ「貴族令嬢としての特権をフル活用して、人生を楽しむ」ことを決めたのだ。
ところが、彼女の自由気ままな行動が、なぜか周囲をざわつかせていく。
婚約破棄した王太子はなぜか複雑な顔をし、貴族たちは彼女の事業に注目し始める。
そして、彼女が手がけた最高級ワインはプレミア化し、ついには王室から直々に取引の申し出が……!?
「はぁ……復讐しないのに、勝手に“ざまぁ”になってしまいましたわ」
復讐も愛憎劇も不要!
ただひたすらに自分の幸せを追求するだけの公爵令嬢が、気づけば最強の貴族になっていた!?
優雅で自由気ままな貴族ライフ、ここに開幕!
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
心を病んでいるという嘘をつかれ追放された私、調香の才能で見返したら調香が社交界追放されました
er
恋愛
心を病んだと濡れ衣を着せられ、夫アンドレに離縁されたセリーヌ。愛人と結婚したかった夫の陰謀だったが、誰も信じてくれない。失意の中、亡き母から受け継いだ調香の才能に目覚めた彼女は、東の別邸で香水作りに没頭する。やがて「春風の工房」として王都で評判になり、冷酷な北方公爵マグナスの目に留まる。マグナスの支援で宮廷調香師に推薦された矢先、元夫が妨害工作を仕掛けてきたのだが?
断罪された私ですが、気づけば辺境の村で「パン屋の奥さん」扱いされていて、旦那様(公爵)が店番してます
さら
恋愛
王都の社交界で冤罪を着せられ、断罪とともに婚約破棄・追放を言い渡された元公爵令嬢リディア。行き場を失い、辺境の村で倒れた彼女を救ったのは、素性を隠してパン屋を営む寡黙な男・カイだった。
パン作りを手伝ううちに、村人たちは自然とリディアを「パン屋の奥さん」と呼び始める。戸惑いながらも、村人の笑顔や子どもたちの無邪気な声に触れ、リディアの心は少しずつほどけていく。だが、かつての知り合いが王都から現れ、彼女を嘲ることで再び過去の影が迫る。
そのときカイは、ためらうことなく「彼女は俺の妻だ」と庇い立てる。さらに村を襲う盗賊を二人で退けたことで、リディアは初めて「ここにいる意味」を実感する。断罪された悪女ではなく、パンを焼き、笑顔を届ける“私”として。
そして、カイの真実の想いが告げられる。辺境を守り続けた公爵である彼が選んだのは、過去を失った令嬢ではなく、今を生きるリディアその人。村人に祝福され、二人は本当の「パン屋の夫婦」となり、温かな香りに包まれた新しい日々を歩み始めるのだった。
『婚約破棄された公爵令嬢は、王と交わらない道を選ぶ』
ふわふわ
恋愛
婚約者である王太子アルベルトから、一方的に婚約破棄を告げられた公爵令嬢エレノア。
だが彼女は、涙も復讐も選ばなかった。
「婚約は、役目でしたもの。終わったのなら、それで結構ですわ」
王宮を去ったエレノアは、領地に戻り、
干渉しない・依存しない・無理をしない
ただそれだけを軸に、静かに領地運営を始める。
一方、王となったアルベルトもまた、
彼女に頼らないことを選び、
「一人の判断に依存しない国」を作るための統治に身を投じていた。
復縁もしない。
恋にすがらない。
それでも、二人の選択は確かに国を安定へと導いていく。
これは、
交わらないことを選んだ二人が、
それぞれの場所で“続けられる世界”を完成させる物語。
派手なざまぁも、甘い溺愛もない。
けれど、静かに積み重なる判断と選択が、
やがて「誰にも壊せない秩序」へと変わっていく――。
婚約破棄から始まる、
大人のための静かなざまぁ恋愛ファンタジー
本物聖女の力は無力でした ――見世物レベルの聖女のおかげで婚約破棄されました――**
鷹 綾
恋愛
魔法が存在しないと信じられていた世界に、
突如として現れた「本物の聖女」。
空中浮遊、瞬間移動、念動力――
奇跡を披露した平民の少女は、たちまち市民の熱狂を集め、
王太子はその力に目を奪われる。
その結果、
王太子の婚約者だった公爵令嬢アストリアは、
一方的に婚約を破棄されてしまった。
だが、聖女の力は――
・空中浮遊は、地上三十センチ
・瞬間移動は、秒速一メートル
・念動力は、手で持てる重さまで
派手ではあるが、実用性は乏しい。
聖女の力は、見世物レベル。
少なくとも、誰もがそう判断していた。
それでも人々は喝采し、
権威は少女を縛り、
「聖女」という立場だけが一人歩きしていく。
そんな中、婚約破棄された公爵令嬢アストリアは、
ある違和感に気づき始める。
――奇跡よりも、奪われているものがあることに。
派手な復讐はない。
怒鳴り返しもしない。
けれど静かに、確実に、
“正しさ”は明らかになっていく。
見世物にされた奇跡と、
尊厳を取り戻す少女たちの物語。
---
短編 一人目の婚約者を姉に、二人目の婚約者を妹に取られたので、猫と余生を過ごすことに決めました
朝陽千早
恋愛
二度の婚約破棄を経験し、すべてに疲れ果てた貴族令嬢ミゼリアは、山奥の屋敷に一人籠もることを決める。唯一の話し相手は、偶然出会った傷ついた猫・シエラル。静かな日々の中で、ミゼリアの凍った心は少しずつほぐれていった。
ある日、負傷した青年・セスを屋敷に迎え入れたことから、彼女の生活は少しずつ変化していく。過去に傷ついた二人と一匹の、不器用で温かな共同生活。しかし、セスはある日、何も告げず姿を消す──
「また、大切な人に置いていかれた」
残された手紙と金貨。揺れる感情と決意の中、ミゼリアはもう一度、失ったものを取り戻すため立ち上がる。
これは、孤独と再生、そして静かな愛を描いた物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる