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第1章 【side 敦貴】
12.友との秘められたラブホテル ③
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「敦貴、大丈夫か?」
不意に声をかけられたので、驚いて息が止まりそうになった。ゆっくりと起き上がり、皇祐に背を向けて正座する。背筋をピンと伸ばして姿勢を良くした。
「そんな姿勢だと、疲れるだろ」
皇祐の控えめな笑い声が聞こえてくる。振り向けば、彼もバスローブを着ていた。サイズはちょうどいいようだ。湯上りで何だか艶っぽい。相手は友人で男なのに、そんな言葉がぴったりに思えた。
おもむろに、皇祐はベッドにあがってきた。そろりそろりと傍に近づいてきて、座っている敦貴の足の間に入ってくる。あまりの距離の近さに、大きな音を立てている鼓動が聞こえてしまうんじゃないかと心配になった。
「どうしたら……」
緊張で頬が強張り上手く喋られない。手順がわからなくて、うろたえていた。相手が女性の時と変わらないのだろうか。
「どうしたい?」
小さな声で囁くように聞いてくる。恥ずかしくて顔を伏せたいのに、皇祐から視線を逸らすことができなかった。
「あの、いつも、コウちゃんは……」
敦貴が最後まで答える前に、敦貴の頬に皇祐の指先がそっと触れた。
「僕のやり方でいいの?」
指を滑らせるように触れてくる。指先はなぜか冷たかった。
むず痒いような、くすぐったさに目をぎゅっと瞑る。その瞬間、唇に温かいものが触れた。
――柔らかい。
率直な感想だった。彼の唇が自分に触れた驚きよりも唇の感触の方が衝撃的だったのだ。男の唇はもっと硬いのかと、そんな勝手なイメージを持っていた。
触れた唇は、すぐに離れる。
「嫌、じゃない?」
皇祐は怯えるような声を出し、上目使いで見つめてきた。
無意識のうちにゴクリと生唾を飲み込んだ敦貴は、勢いよく首を縦に振る。
すると、安堵したように表情を和らげて両肩に手を乗せた。
そして、やんわりと何度も撫でてくる。
「敦貴の身体はしっかりしてるね。鍛えてるの?」
そう言いながら敦貴のバスローブを肩から外し、肌にも触れてくる。
「……なにも、してないけど」
「そうなんだ」
ひんやりとした手のひらが肩から胸へと撫でていく。むずむずした感じに身体を震えさせれば不安そうな表情を浮かべた。
「気持ち悪くない?」
「大丈夫、なんか、緊張して……」
「続けるね」
胸から腰へと触れていき、堪能するようにさわさわとお腹を撫でてくる。
その手は女性のように柔らかくて、嫌な感じはしなかった。
だけど、くすぐったくて触れられるたびにびくびくと身体を反応させてしまう。
恥ずかしくて止めて欲しかった。
でも、皇祐にさっきのような悲しい顔をさせたくなかったのだ。
「敦貴……」
頬を寄せてきたと思ったら再び口づけされた。
とろんとした瞳でこちらを見つめたまま、ちゅっちゅっと軽いキスを何度もしてくる。その間に、唇をぺろっぺろっと舌で舐められて驚いた。
だが、今度はその舌が唇を割って侵入してくる。
こういうキスは初めてだったから、つい唇を離そうとしてしまった。だが、皇祐が首に腕を絡めてきて深く深く口内を這い回るように舌を動かす。
あむあむと唇を軽く甘噛みしながら、舌が器用に口内を撫で回すのだ。
――なにこれ、気持ちいい。
いつの間にか皇祐の舌に合わせるように敦貴も舌を動かした。お互いの舌を絡め合うたび、淫らな音が漏れる。
敦貴は皇祐の身体に腕を回しそうになり、ぎりぎりのところでその腕を下ろした。それをしてはいけないような気がしたから辛うじて堪えたのだ。
不意に声をかけられたので、驚いて息が止まりそうになった。ゆっくりと起き上がり、皇祐に背を向けて正座する。背筋をピンと伸ばして姿勢を良くした。
「そんな姿勢だと、疲れるだろ」
皇祐の控えめな笑い声が聞こえてくる。振り向けば、彼もバスローブを着ていた。サイズはちょうどいいようだ。湯上りで何だか艶っぽい。相手は友人で男なのに、そんな言葉がぴったりに思えた。
おもむろに、皇祐はベッドにあがってきた。そろりそろりと傍に近づいてきて、座っている敦貴の足の間に入ってくる。あまりの距離の近さに、大きな音を立てている鼓動が聞こえてしまうんじゃないかと心配になった。
「どうしたら……」
緊張で頬が強張り上手く喋られない。手順がわからなくて、うろたえていた。相手が女性の時と変わらないのだろうか。
「どうしたい?」
小さな声で囁くように聞いてくる。恥ずかしくて顔を伏せたいのに、皇祐から視線を逸らすことができなかった。
「あの、いつも、コウちゃんは……」
敦貴が最後まで答える前に、敦貴の頬に皇祐の指先がそっと触れた。
「僕のやり方でいいの?」
指を滑らせるように触れてくる。指先はなぜか冷たかった。
むず痒いような、くすぐったさに目をぎゅっと瞑る。その瞬間、唇に温かいものが触れた。
――柔らかい。
率直な感想だった。彼の唇が自分に触れた驚きよりも唇の感触の方が衝撃的だったのだ。男の唇はもっと硬いのかと、そんな勝手なイメージを持っていた。
触れた唇は、すぐに離れる。
「嫌、じゃない?」
皇祐は怯えるような声を出し、上目使いで見つめてきた。
無意識のうちにゴクリと生唾を飲み込んだ敦貴は、勢いよく首を縦に振る。
すると、安堵したように表情を和らげて両肩に手を乗せた。
そして、やんわりと何度も撫でてくる。
「敦貴の身体はしっかりしてるね。鍛えてるの?」
そう言いながら敦貴のバスローブを肩から外し、肌にも触れてくる。
「……なにも、してないけど」
「そうなんだ」
ひんやりとした手のひらが肩から胸へと撫でていく。むずむずした感じに身体を震えさせれば不安そうな表情を浮かべた。
「気持ち悪くない?」
「大丈夫、なんか、緊張して……」
「続けるね」
胸から腰へと触れていき、堪能するようにさわさわとお腹を撫でてくる。
その手は女性のように柔らかくて、嫌な感じはしなかった。
だけど、くすぐったくて触れられるたびにびくびくと身体を反応させてしまう。
恥ずかしくて止めて欲しかった。
でも、皇祐にさっきのような悲しい顔をさせたくなかったのだ。
「敦貴……」
頬を寄せてきたと思ったら再び口づけされた。
とろんとした瞳でこちらを見つめたまま、ちゅっちゅっと軽いキスを何度もしてくる。その間に、唇をぺろっぺろっと舌で舐められて驚いた。
だが、今度はその舌が唇を割って侵入してくる。
こういうキスは初めてだったから、つい唇を離そうとしてしまった。だが、皇祐が首に腕を絡めてきて深く深く口内を這い回るように舌を動かす。
あむあむと唇を軽く甘噛みしながら、舌が器用に口内を撫で回すのだ。
――なにこれ、気持ちいい。
いつの間にか皇祐の舌に合わせるように敦貴も舌を動かした。お互いの舌を絡め合うたび、淫らな音が漏れる。
敦貴は皇祐の身体に腕を回しそうになり、ぎりぎりのところでその腕を下ろした。それをしてはいけないような気がしたから辛うじて堪えたのだ。
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