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第1章 【side 敦貴】
20.友情の迷い道
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15時前に店に戻ってくれば、個室に案内され、そこで待つように言われる。
個室は小さなものだったが思っていたよりも綺麗だ。大きなベッドとテレビにソファ。そして浴室があり、ホテルの一室と変わらなかった。
敦貴はそこでもじっとしていられなくて、そわそわと部屋の中を歩き回る。置いてある時計の針の音がやけに響いて鬱陶しく感じた。
そんな時、部屋の扉を叩く音が聞こえてくる。
「は、はい」
緊張が高まり、声が上擦った。扉が開いて中に入ってきたのは、敦貴がよく知る親友の姿だ。
「こんばんは、コウです」
あまり聞いたことのない、よそいきの声が新鮮だった。
ここで働いていることに間違いはなかった。
敦貴は戸惑いながらも、彼に会えたことが嬉しくて傍に駆け寄る。
「コウちゃん」
声の主の顔を見るなり、皇祐は口を開けて愕然とした。
「あっ……」
そして、みるみるうちに殺気立った表情に変わる。
「……何で、ここがわかった?」
押し殺すような低い声は、彼の怒りが現れていた。
「えーと、ね……」
鋭い目つきで睨まれ、泣きそうになる。こっそり名刺を抜き取ったとは到底言えない雰囲気だった。
「敦貴、どうしてこの店がわかったんだ?」
再度、ゆっくりとした丁寧な口調で理由を問われた。恐ろしくてたじろいでしまう。だが、このまま黙っていることは不可能だ。正直に言うしかなかった。
「ごめんなさい。勝手にコウちゃんの名刺、抜き取りました」
頭を下げて心から謝った。皇祐は、深いため息をついてがっかりしたように言う。
「敦貴が、そんなことする奴だとは思わなかった……」
「違うの!」
「何が違う?」
彼の目には、失望の色が浮かんでいた。
「また、コウちゃんと連絡取れなくなったら嫌だったから」
「だからって、断りもなく奪うのか? 知りたいなら聞けばいいだろ」
「……コウちゃん、聞かれたくないかなって思って」
「勝手に知られる方が嫌だよ」
仕方がないことだった。しばらく会っていなかったせいか、少しだけ皇祐との距離を感じていた。だから、昔のように何でも話したり聞いたりする勇気がなかった。でも、皇祐にとっては裏切られたと感じたはずだ。
「そうだよね、ごめんなさい。もうこんなことしないから、今度はコウちゃんに何でも聞くから許してください」
土下座する勢いで何度もお辞儀して謝れば、皇祐はソファに腰を沈める。
「もう、いいよ」
諦めたように呟いた彼の表情は少し寂しそうに見えた。ゆっくりと彼の傍まで近づいていく。
「許してくれるの?」
「許すよ」
優しい口調で少し口元を緩めたから、敦貴はほっと息をつく。
「良かったー」
それと同時に、皇祐がすっと立ち上がった。
「どうする? 僕が先にシャワーを浴びてもいいか?」
答えを聞く前に浴室に向かおうとしていたので、慌てて手を掴んだ。
個室は小さなものだったが思っていたよりも綺麗だ。大きなベッドとテレビにソファ。そして浴室があり、ホテルの一室と変わらなかった。
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そんな時、部屋の扉を叩く音が聞こえてくる。
「は、はい」
緊張が高まり、声が上擦った。扉が開いて中に入ってきたのは、敦貴がよく知る親友の姿だ。
「こんばんは、コウです」
あまり聞いたことのない、よそいきの声が新鮮だった。
ここで働いていることに間違いはなかった。
敦貴は戸惑いながらも、彼に会えたことが嬉しくて傍に駆け寄る。
「コウちゃん」
声の主の顔を見るなり、皇祐は口を開けて愕然とした。
「あっ……」
そして、みるみるうちに殺気立った表情に変わる。
「……何で、ここがわかった?」
押し殺すような低い声は、彼の怒りが現れていた。
「えーと、ね……」
鋭い目つきで睨まれ、泣きそうになる。こっそり名刺を抜き取ったとは到底言えない雰囲気だった。
「敦貴、どうしてこの店がわかったんだ?」
再度、ゆっくりとした丁寧な口調で理由を問われた。恐ろしくてたじろいでしまう。だが、このまま黙っていることは不可能だ。正直に言うしかなかった。
「ごめんなさい。勝手にコウちゃんの名刺、抜き取りました」
頭を下げて心から謝った。皇祐は、深いため息をついてがっかりしたように言う。
「敦貴が、そんなことする奴だとは思わなかった……」
「違うの!」
「何が違う?」
彼の目には、失望の色が浮かんでいた。
「また、コウちゃんと連絡取れなくなったら嫌だったから」
「だからって、断りもなく奪うのか? 知りたいなら聞けばいいだろ」
「……コウちゃん、聞かれたくないかなって思って」
「勝手に知られる方が嫌だよ」
仕方がないことだった。しばらく会っていなかったせいか、少しだけ皇祐との距離を感じていた。だから、昔のように何でも話したり聞いたりする勇気がなかった。でも、皇祐にとっては裏切られたと感じたはずだ。
「そうだよね、ごめんなさい。もうこんなことしないから、今度はコウちゃんに何でも聞くから許してください」
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「もう、いいよ」
諦めたように呟いた彼の表情は少し寂しそうに見えた。ゆっくりと彼の傍まで近づいていく。
「許してくれるの?」
「許すよ」
優しい口調で少し口元を緩めたから、敦貴はほっと息をつく。
「良かったー」
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「どうする? 僕が先にシャワーを浴びてもいいか?」
答えを聞く前に浴室に向かおうとしていたので、慌てて手を掴んだ。
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