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第2章 【side 皇祐】

04. 絡み合う瞬間 ③ ※

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 敦貴の長い指が、押し入るようにゆっくりと中に入ってきた。電気が走ったように、背筋がぞくぞくする。
 静かに息を吐いて、落ち着かせようとしたが、それも無駄に終わる。

「……んぁっ」

 奥へと侵入した指が、内壁を擦り上げたのだ。眉間に皺を寄せて、声を漏らせば、敦貴の心配そうな声が聞こえてくる。

「ごめん、痛い?」
「いや……そのまま、続けて」
「でも、辛そうだよ?」

 深く入り込んでいた指が、引き抜かれそうになり、また声が零れてしまう。

「うぁ……」
「やめた方がいい?」

 ふるふると首を振って、否定を示した。敦貴は恐々と続ける。
 自分で解すのとは、わけが違う。他人にしてもらうことは、今までにも何度もあったが、嫌悪感の方が先立ってしまい、苦手だった。

 それなのに、敦貴の場合は違う。彼の指が自分の中に入っているというだけで、快感で足が震え、今にも崩れ落ちそうになっていた。

「ん…ふっ……」

 敦貴にしがみつきながら、出そうになる喘ぎ声を必死で堪えていた。

「だいぶ柔らかくなってきたけど……もう一本、入れてみるね」

 皇祐の様子を窺いながら、丁寧に動作を行う。入れる指を増やして、中を押し広げるようにゆるやかに掻き回した。淫らな音が辺りに響く。

「はぁっ、あぁ……っ」

 激しい物ではないが、次々と快楽が押し寄せてきた。もっとそれを味わいたくて、自ら腰を揺らしてしまう。

「んう、ふぁっ……」

 蕩けるような感覚に、皇祐はびくびくと背を仰け反らせた。性器はすっかり勃ちあがっていて、先端から汁を垂らす。

「コウちゃん、気持ちいいの? どっち?」

 敦貴の不安そうな顔が視界に入った。この状況を見れば、どう考えても気持ちがいいとわかるはずなのに。彼は天然なのか、小悪魔なのか。

 その間も、敦貴の指は皇祐の中を掻き乱す。我慢するのが辛くなっていた。このままだと、挿れられる前に果ててしまいそうだった。

「も、いい、早く、挿れて……」

 追い詰められていたが、なるべくそれを表に出さないように、言葉にした。

「……うん」

 敦貴は、皇祐の言うことを素直に従い、指を静かに引き抜く。

「んんっ……」

 その刺激にも、敏感に反応し、腰を震えさせた。

 敦貴が下着を脱いで もたもたと自身にコンドームをつけている。それすらも焦れったく感じた。下半身が疼いて仕方がない。早くどうにかして欲しくて、呼吸が荒くなる。

 皇祐を仰向けに寝かせた敦貴は、両太ももを押し上げてきた。
 股の間から、腹につくくらい勃ち上がっている敦貴の陰茎が見えた。思わず、ごくりと唾を呑み込む。

 何度も受け入れているのに、あれが自分の中に入ってくると思ったら気分が高揚した。

 後ろの窄みが、早く欲しいとひくついているのが自分でもわかるほどだ。
 そこに、敦貴の硬くなった熱いものがあてがわれた。欲情を抑えられなくて、尻を振るような動きをしてしまう。
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