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翌日、朝食の席を囲んでいる時ヴァレリオが笑顔で話し出した。
「ニコラ、すごいよ。昨日の石だけど、アメジストだった。隣国では産出されているが我が国では見つかっていなかったものだ」
「そうなんですか?」
「ああ。素晴らしい。この領地にとっては大変な幸運だ。ありがとう」
貴石があればますますこの領地は栄えるだろう。男爵家に続いて鉱物資源が見つかったことで領地経営はより安定する。夫人もにこやかに
「ジョナさんとニコラさんのお陰ね。二人は我が家に幸運を運んできてくれたわ。ありがとう」
夫人がにこやかに礼を言う。ヴァレリオからジョナとニコラに向かって
「本当にありがとう。今日は、町に出かけましょう。こちらにも、少ないがいくつか美味しい飲食店や洋品店、雑貨店などもあるんですよ」
「「はい。是非。楽しみです」」
侯爵家の城下町は、小さなかわいらしい町並みだった。狭い通りに小さな店が並んでいる。王都のような自動車が行き交う混雑した町ではなく、男爵領の町よりはやや大きめである。
「素敵ですね。かわいらしくて整然としていて、丁度良い町並みに感じます」
「そうですね。私も王都より実家の領地が落ち着きます。愛着がありますし、騒がし過ぎなくて好きです」
ジョナの感想にヴァレリオが答えた。
「ジョナさんもそう感じてくださっているのはとても嬉しいです」
斜め後ろをついて歩くニコラも、町並みや穏やかな人々の様子に好ましい印象を覚えた。
「こちらに入ってみましょう?」
ヴァレリオが誘ったのは宝飾品店で
「領主様、いらっしゃいませ」
「頼んでいたものは、できましたか?」
「はい。こちらに」
店主が出してきた宝飾品は、繊細なネックレス、イヤリング。それをとったヴァレリオが
「これはジョナさんにお贈りしたいと頼んでいました。受け取っていただけませんか?」
「え?そんな素敵なお品を…」
返事を待たずにそっとジョナを飾ると
「お似合いです。ジョナさんの美しさが引き立ちますね。是非このまま着けていらしてください」
「大変お似合いです。丹精込めてお作りしました。領主様、指輪のサイズもこの折りに測らせて頂ければ」
「そうだった。ジョナさん、いずれ婚約指輪を贈る機会を得られる時のために、指を測らせてください」
「あ...ありがとうございます。素敵な贈り物。軽くて綺麗な装飾。指輪。…かしこまりました。お願いします」
ジョナの顔には、喜びと指輪を受け取る事への決意も浮かんでいた。白い細い指を差し出すと、店主が婚約、そして結婚指輪を嵌める事になるその指を測定した。
「領主様のサイズも再度念のため測定させて頂いて宜しいですか?」
「ああ。お願いする」
頬をやや赤らめ、幸せそうな笑顔を浮かべたジョナと、こちらも笑顔のヴァレリオが店を後にした。ヴァレリオは、ジョナの腰に手を添えて愛しそうな表情だ。宰相として厳めしい顔ばかりを作っていたヴァレリオの珍しい様子に、町の住民達が目を疑う。
「次には、美味しいと評判の店がありますから行きましょう。予約してあります」
次に訪れたのは、かわいい造りのカフェだった。食事と甘味が評判のようで女性の客が多い。
個室に通され、三人で着席するとメニューが運ばれてきた。
「何でも好きなものを頼んでください。どれも美味しくて評判だとメイド達が言っていました。特にオススメはケーキだそうですが」
「わあっ、美味しそうですね」
「はい。僕もデザートまで全部頂きたいです」
「では食事を少なめのコースにして、デザートもつけて貰いましょう。残されてもかまいません。気になるなら私が残りを頂きます」
貴族らしからぬフランクな様子。ジョナとニコラが残しても食べてくれるという発言には、二人とも驚いた。もう家族と思ってくれているよだ。
食事を楽しんでからは、また町の散策をした。洋品店ではジョナとニコラに似合いそうだと服を幾つも購入したヴァレリオ。
「そんなに沢山頂くと申し訳ありません」
遠慮するジョナに
「いや。城に届けて貰いますから。このままこちらに置いておかれれば、引っ越ししてこられる時に荷物が減りますよ。私としては、是非早く結婚して頂きたいと思っております。私は心からあなたを愛しています」
「もし、このままご結婚頂く決心がつかれましたら、男爵家にお帰りの際男爵に婚姻のお申し込みをさせてください」
「はい。こちらにお伺いして決心がつきました。私もヴァレリオ様が好きです。お言葉に甘えてこの衣装も頂きますね」
「わ、良かった。お母様おめでとうございます。ヴァレリオ様、お母様をどうか大事にしてくださいませ」
「もちろんです。ニコラさんも一緒にここで暮らしてください。私を父親と認めていただけますか?」
「はい。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」
「ニコラ、すごいよ。昨日の石だけど、アメジストだった。隣国では産出されているが我が国では見つかっていなかったものだ」
「そうなんですか?」
「ああ。素晴らしい。この領地にとっては大変な幸運だ。ありがとう」
貴石があればますますこの領地は栄えるだろう。男爵家に続いて鉱物資源が見つかったことで領地経営はより安定する。夫人もにこやかに
「ジョナさんとニコラさんのお陰ね。二人は我が家に幸運を運んできてくれたわ。ありがとう」
夫人がにこやかに礼を言う。ヴァレリオからジョナとニコラに向かって
「本当にありがとう。今日は、町に出かけましょう。こちらにも、少ないがいくつか美味しい飲食店や洋品店、雑貨店などもあるんですよ」
「「はい。是非。楽しみです」」
侯爵家の城下町は、小さなかわいらしい町並みだった。狭い通りに小さな店が並んでいる。王都のような自動車が行き交う混雑した町ではなく、男爵領の町よりはやや大きめである。
「素敵ですね。かわいらしくて整然としていて、丁度良い町並みに感じます」
「そうですね。私も王都より実家の領地が落ち着きます。愛着がありますし、騒がし過ぎなくて好きです」
ジョナの感想にヴァレリオが答えた。
「ジョナさんもそう感じてくださっているのはとても嬉しいです」
斜め後ろをついて歩くニコラも、町並みや穏やかな人々の様子に好ましい印象を覚えた。
「こちらに入ってみましょう?」
ヴァレリオが誘ったのは宝飾品店で
「領主様、いらっしゃいませ」
「頼んでいたものは、できましたか?」
「はい。こちらに」
店主が出してきた宝飾品は、繊細なネックレス、イヤリング。それをとったヴァレリオが
「これはジョナさんにお贈りしたいと頼んでいました。受け取っていただけませんか?」
「え?そんな素敵なお品を…」
返事を待たずにそっとジョナを飾ると
「お似合いです。ジョナさんの美しさが引き立ちますね。是非このまま着けていらしてください」
「大変お似合いです。丹精込めてお作りしました。領主様、指輪のサイズもこの折りに測らせて頂ければ」
「そうだった。ジョナさん、いずれ婚約指輪を贈る機会を得られる時のために、指を測らせてください」
「あ...ありがとうございます。素敵な贈り物。軽くて綺麗な装飾。指輪。…かしこまりました。お願いします」
ジョナの顔には、喜びと指輪を受け取る事への決意も浮かんでいた。白い細い指を差し出すと、店主が婚約、そして結婚指輪を嵌める事になるその指を測定した。
「領主様のサイズも再度念のため測定させて頂いて宜しいですか?」
「ああ。お願いする」
頬をやや赤らめ、幸せそうな笑顔を浮かべたジョナと、こちらも笑顔のヴァレリオが店を後にした。ヴァレリオは、ジョナの腰に手を添えて愛しそうな表情だ。宰相として厳めしい顔ばかりを作っていたヴァレリオの珍しい様子に、町の住民達が目を疑う。
「次には、美味しいと評判の店がありますから行きましょう。予約してあります」
次に訪れたのは、かわいい造りのカフェだった。食事と甘味が評判のようで女性の客が多い。
個室に通され、三人で着席するとメニューが運ばれてきた。
「何でも好きなものを頼んでください。どれも美味しくて評判だとメイド達が言っていました。特にオススメはケーキだそうですが」
「わあっ、美味しそうですね」
「はい。僕もデザートまで全部頂きたいです」
「では食事を少なめのコースにして、デザートもつけて貰いましょう。残されてもかまいません。気になるなら私が残りを頂きます」
貴族らしからぬフランクな様子。ジョナとニコラが残しても食べてくれるという発言には、二人とも驚いた。もう家族と思ってくれているよだ。
食事を楽しんでからは、また町の散策をした。洋品店ではジョナとニコラに似合いそうだと服を幾つも購入したヴァレリオ。
「そんなに沢山頂くと申し訳ありません」
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「いや。城に届けて貰いますから。このままこちらに置いておかれれば、引っ越ししてこられる時に荷物が減りますよ。私としては、是非早く結婚して頂きたいと思っております。私は心からあなたを愛しています」
「もし、このままご結婚頂く決心がつかれましたら、男爵家にお帰りの際男爵に婚姻のお申し込みをさせてください」
「はい。こちらにお伺いして決心がつきました。私もヴァレリオ様が好きです。お言葉に甘えてこの衣装も頂きますね」
「わ、良かった。お母様おめでとうございます。ヴァレリオ様、お母様をどうか大事にしてくださいませ」
「もちろんです。ニコラさんも一緒にここで暮らしてください。私を父親と認めていただけますか?」
「はい。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」
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