バッドエンドを回避したい。これは予知夢かタイムリープか。

こたま

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 大方の予想通り、その発情期でジョナは懐妊。周囲の支えとヴァレリオの愛情に包まれながら無事に妊娠期間を過ごした。

 待ちに待った孫の誕生を前に、ヴァレリオの両親はこれでもかと体制を整えていた。そして

「オギャア」

「わぁっ。産まれましたね」
「良かったわ」

 出産の時、部屋の外で今か今かと待っていたニコラと義祖母。二人手を取り合って喜んだ。
 義祖母によると、かわいい男児は、ヴァレリオの産まれた時の姿にとても良く似ているそうだ。そのヴァレリオは

「ジョナ。本当にありがとう」
「嬉しい。良かった」

 涙を浮かべてジョナに感謝し、赤子を抱くジョナをそっと抱き寄せた。


 ジョナとヴァレリオの二人は大変仲睦まじく過ごした。そして、産後また発情期が再開するともう一度懐妊した。

 その子もまたヴァレリオに似た男児であり、城は一層賑やかになった。


「ヴァレリオ、そろそろニコラが13歳になります。神殿に行かなければなりませんね」
「うん。判定を受ける時期だな。ジョナは産後で、かつ王都では喘息になる可能性があるだろう?乳児もいるから神官様をこちらに御呼びする事にした」
「え?御呼び出来るんですか?」
「ああ。それなりに寄進したら、了解された」
「それは…すみません。散財させてしまいましたね」
「散財ではない。有益なことだ。何も心配は要らないよ」
「ありがとうございます」

 
 王都から神官長様が自動車に乗って訪れて下さった。応接間で家族全員揃って判定を見守った。

「ニコラ様は大変高位のオメガであると判定されました。きっと素晴らしいアルファのかたとご縁を得られ、お子様に恵まれることでしょう」

(あ!聞き覚えがある!)

 あの悪夢は随分前のことで、ニコラの記憶から遠ざかっていた。幸せな日々があれを夢だと思わせていた。

 でも。今聞いた言葉には覚えがある。オメガであることはかわりない。しかし、自分は全く違う状況で同じ言葉を聞いているのだ。

「「「ありがとうございました」」」

 皆で神官様にお礼を申しあげた。ニコラは、あの悪夢か、時間が戻ったのか、いずれにせよ勝ったのだと思った。自分は勝利を得た。終わったと思ったこれからの人生が、いままさにはじまる。輝かしい未来を手に入れるぞ。ニコラは晴れやかに笑って、王都に帰られる神官様を見送ったのだった。

「おめでとうニコラ。今後はどうしたい?」
「お母様。やっぱり僕は王都の学園に通います。多く学び、沢山の人と出会い、唯一愛する人と巡り合いたいのです」
「そうだね。でもオメガで、知り合いのいない寮生活は心配」

「王都の侯爵家のタウンハウスから通えば良いよ」

 ヴァレリオが言う。

「そうね。侯爵家のタウンハウスであれば安全よ」

 義祖母もすすめた。

「宜しいのですか?」
「もちろんだとも。知り合いがいたら安心だろう。男爵家からセバスチャンに同行して貰ったらどうだい?彼なら王都にも慣れている」
「ヴァレリオ。ありがとうございます」
「お義父様、ありがとうございます」

 ジョナは、家を出て離れる息子を抱きしめて言った。

「ニコラ。オメガは大事にされる存在なんだよ。発情期があって休む時もあるけど、誰にも粗末にされるような事は許されない。お母様がこれだけ愛している可愛い息子。きっと大事にしてくれる人に出会えるよ」

「はい。きっと沢山の経験をして学んで、僕を大事にしてくれる、愛する人を見つけて幸せになります」



お読み頂きありがとうございます。次回からニコラのパートになります。ニコラのハッピーエンドまでお付き合いいただけると幸いです。
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