学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま

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僕達の宝物

 番になった発情期からもうすぐ2ヶ月になるという頃、夏樹は毎日を苦しく過ごしていた。

「おぇ…」
「夏樹、大丈夫?」
「う…水を…」

「う、えぇ」
「うわっ、血だ、救急車!」


「吐き続けて、その圧力で食道がちょっと切れたんでしょう。マロリーワイス症候群ではないかと。出血は極少量とのことですので、点滴して休まれれば大丈夫だと思います」
「夏樹と赤ちゃんは、大丈夫ですか?」
「はい。ご心配なく。ご主人がしっかり支えて下さいね」


 夏樹は、妊娠初期とわかったが、悪阻が非常に重かった。食べられずに痩せてしまった。調子が良いときに食べても、時には吐いてしまった。

 颯介は何も出来ることがなく、背中をさすりながらオロオロするばかりだった。

 大事を取って入院し、点滴をする夏樹。

「赤ちゃん、ちゃんと育ってくれるかな?吐いてばっかりで食べられなくて、母親として申し訳ないよ」
「先生は、大丈夫だって言っていたよ」

 不安に思う夏樹。自分のせいで栄養が足りないなんてことになったら、取り返しがつかないと、己を責めるばかりだった。

「夏樹ちゃん!」「夏樹さん」
「お義兄さん」

 そこに来てくれたのは、颯介の兄とその息子である。

「大丈夫?辛いよね。僕も悪阻がとても酷かったんだ。食べられなくて点滴していたから、気持ちはわかるよ」
「お義兄さん。ありがとうございます。僕、不安です。赤ちゃんがちゃんと育ってくれるか、僕のせいで何かあったらって」
「大丈夫、今の時期はそんなに栄養必要ないよ。悪阻が落ち着いたら食べられるから。気を確かにね」
「うっ…ありがとうございます」

 涙の夏樹。甥っ子も夏樹にかけより

「僕のいとこがいるんでしょう?きっと大丈夫だよ。うちの家系はみんな強いって、おじいさまが言ってたよ」
「ありがとう。無事に産まれたら一緒に遊んでね」

 二人の訪問で少し元気が出た。

 しばらくの入院中、颯介は朝と就業後にお見舞いを欠かさず、メッセージも通話も頻回に入れた。

 次第に点滴のお陰か元気を取り戻すと、

「やった。食べられるようになってきたよ。もう退院できそう」
「良かったよ…夏樹。一人の家は寂しくて、広くて暗かったよ。嬉しい」
「うん。でも、これまで出来ていた家事が不安」
「そうだよね。家政婦さんをお願いしよう。実家と同じところに頼んでおく」
「うん。お願いね」

 自宅療養で落ち着いたら後は少しだけ復職したが、すぐに産休になってしまう。

「皆さんにはご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございません」
「良いのよ。お互い様です。また戻って来て下さいね」


「颯介。会社にも申し訳ないし、大丈夫かな?僕迷惑じゃない?」
「夏樹がいてくれるだけで幸せだ。子供より、君が大事。産まれてくれたら大満足なんだよ。兄の気持ちがわかった。アルファは無力だ」

 夏樹にすがる颯介。アルファの矜持より何より夏樹に跪いて無事を祈った。そして

「おぎゃぁ、ふにゃぁ」

 二人の天使が無事に産まれた。甘いミルクの香りをまとう小さな生命。

「僕がいないと生きて生けないんだよ。この子は、僕の全てだ」
「うん、一番は子供に譲る。夏樹と子供の幸せのために頑張るね」
「颯介、ありがとう。これからも宜しくね。家族皆で、幸せになろうね」

 子供の名付けで両家のバトルがあったり、僕達の希望を通したり。赤ちゃんの乳児湿疹にアレルギーと、産後のトラブル多発でワタワタと過ごしたけれど

「いつも、夏樹が一番だ。幸せに過ごして欲しい」
「僕も。颯介と子供を幸せにしたい。そこには絶対颯介が必要なんだよ?」
「ありがとう。出会ってくれてありがとう」

 いつか、夏樹の希望していたアレルギーやバースに対応できる宿を実現しよう。兄や甥っ子も、皆が幸せでいっぱいになれるように。颯介は誓うのだった。

「颯介。この子、颯介に似てる。きっと強く優しく、優秀に育つよ」
「そうだね。夏樹みたいに芯の強い子供になる」
「アルファかな?オメガかな?もしかしてベータ?」
「どんなバースでも、アレルギーがあっても宝物には変わりない」
「僕達の宝物。産まれてくれてありがとう」

 三人はきゅっと抱きしめ合った。
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