転生した新人獣医師オメガは獣人国王に愛される

こたま

文字の大きさ
16 / 20

16

しおりを挟む
「おかあさま、だいすき」
「僕もランちゃんが大好きだよ」
「おとうさまよりも?」
「うーん。べつものだ!比較検討の対象にならないからね」
「ひかく…?」
「ランちゃんが大好き。おとうさまは別の意味で好きなんだ。ランちゃんは命に代えても守りたくて、おとうさまには、ランちゃんを一緒に守ってっていう感じかな?」

 僕を付いて回る可愛いランちゃん。時々癇癪を起こしてライオンになったりアルに対抗心を出してくるのもかわいい。毎日が幸せいっぱいである。

「ハル。貴方は私の唯一の光だ。最愛であるから、息子にも譲らないぞ」
「アルは、最愛の夫。ランちゃんは息子。別の意味での最愛なんだから」

 アルも嫉妬して僕を抱きしめたり、いつも体に触れてキスを繰り返す。愛を感じながらの育児を数年。皆のお陰で無事に育っている。


「お母様、お庭で遊びましょう?」
「いいね。馬獣人さんに乗せて貰おっか?」

 ランちゃんは、ヒトなら4歳なのに10歳過ぎかという知識レベルと体格をしている。すっかりお兄ちゃんだ。

「あー、あっついね。泳ぎたいなあー」
「およぐって何?お母様」
「海で魚さんとか亀さん見ながら泳ぐの。(…昔沖縄でウミガメと熱帯魚と泳いだの、綺麗だったな…)川だと寄生虫とかいるからね。川魚の方が危ない」
「お父様に頼んでみましょう?ぼくも泳ぎたい」

 なんと!海辺の町に遊びに行くことになりました。泳ぎの得意な獣人さんにも同行を願い出て、馬獣人さんに乗せて貰うことになった。
 ライフジャケットも浮き輪も無いから、安全対策が心配だったけど周りを囲んで泳いでくれるそうだ。ランちゃんにも城の外を見せる良い機会。

 荷物を纏めて、いざ出発。海辺の種族の村長宅に泊めて頂くらしい。道中も城の外の景色、農作物、種族…とランちゃんにも僕にも勉強になることばかり。夏休みの自由研究見たいな旅だね。

「陛下、ようこそおいでくださいました。ハルト様、ランバート様お初にお目にかかります。滞在をお楽しみ頂けるよう努めます」
「多忙中申し訳ないが頼んだぞ」
「ハルトです。お手数ですがよろしくお願いいたします」
「はじめまして。ランバートです。お願いします」

 一晩休んで翌朝に海へ行く。城で頂く魚はこのあたりでとれるそうだ。漁港には色とりどりの魚があがっていて、見ているだけでも楽しい。

「さて、泳ごう」
「アルって泳げるの?」
「ああ」

 皆で水に入っていく。とりあえず人型であるが、アルとランちゃんは獣型になると泳ぎやすいかも知れないな。
 久しぶりの海は気持ちいい。海水は僕の知っている海と変わらない。顔を浸けると綺麗な魚。

「ランちゃん、可愛い魚いるよ」
「どこ?」
「あの珊瑚のあたり」

 南の島の海のようなサンゴ礁があり、熱帯魚みたいな魚がいる。ウミガメ居るのかな?また顔をつける。

「ウミガメ居ないな」
「ウミガメ?」
「大きな亀さん」
「見たこと無いぞ」
「居ないのか…」

「あっ!ワカメとか昆布とか海藻ない?ダシ取りたい」
「ん?」

 地元の人に聞いたら海藻を食べる習慣があるとの事。海藻を買って帰ろう。

「ランちゃん、泳ぎの練習しようね」

 ランちゃんは初めての海水なのに臆さずに顔をつけたり泳ぐ練習が出来ている。多分この子はアルファだとアルが言っているが、こんなところを見るとそうだろうと納得する。

「上手い!足が強いね。すごい、ランちゃん」
「お母様、ぼく上手?」
「すごく上手!」

 ニコニコ顔を見られて良かった。村長宅で体を洗い、着替えてお買い物をしに行く。

「お母様、この貝殻綺麗。ネックレス作ってあげる」
「ええ?ありがとう。かわいいねランちゃん」
「お母様、貝殻似合う。もっと綺麗だよ」
「ふふっ。ランちゃんもアルに似てお世辞うまいね。それより自分のお土産買って良いんだよ」
「お世辞ではないぞ。他に欲しい物は無いのか?」
「アルまで…。じゃあ海藻買って。干してダシを取りたいんだ」
「それも買うけれども。この真珠の飾りはどうだ?耳にも髪にも似合う。店主、これも包んでくれ」
「かしこまりました」
「もったいないなあ」

 夏休みの思い出を連れて城に帰った。料理長と海藻のダシを研究した。お吸い物が昔の味に近づいた。パエリアみたいな料理も開発出来てお腹も満足な良い旅になった。
 ランちゃんが選んだ貝殻は、髪飾りに加工して、アルのくれた真珠は耳飾りにして毎日着けている。二人とも喜んで褒めてくれて良かった。
 ランちゃんとは、沢山拾った貝殻やサンゴで小物を作って飾ったり、小学生の自由研究みたいに楽しい旅の纏めも出来た。

 そういえばうちのお兄ちゃんも結婚したかな?子供もいるだろうか?子供時代に両親が連れて行ってくれた様々な場所やイベントを思い出す。愛されていた子供時代だった。お父さんお母さんお兄ちゃん。ありがとうございます。僕もランちゃんに同じだけ返していこう!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】家族に虐げられた高雅な銀狼Ωと慈愛に満ちた美形αが出会い愛を知る *挿絵入れました*

亜沙美多郎
BL
銀狼アシェルは、一週間続いた高熱で突然変異を起こしオメガとなった。代々アルファしか産まれたことのない銀狼の家系で唯一の……。 それでも医者の家に長男として生まれ、父の病院を受け継ぐためにアルファと偽りアルファ専門の学校へ通っている。 そんなある日、定期的にやってくる発情期に備え、家から離れた別宅に移動していると突然ヒートが始まってしまう。 予定外のヒートにいつもよりも症状が酷い。足がガクガクと震え、蹲ったまま倒れてしまった。 そこに現れたのが雪豹のフォーリア。フォーリアは母とお茶屋さんを営んでいる。でもそれは表向きで、本当は様々なハーブを調合して質の良いオメガ専用抑制剤を作っているのだった。 発情したアシェルを見つけ、介抱したことから二人の秘密の時間が始まった。 アルファに戻りたいオメガのアシェル。オメガになりたかったアルファのフォーリア。真実を知るたびに惹かれ合う2人の運命は……。 *フォーリア8歳、アシェル18歳スタート。 *オメガバースの独自設定があります。 *性描写のあるストーリーには★マークを付けます。

【完結】黒兎は、狼くんから逃げられない。

N2O
BL
狼の獣人(異世界転移者)×兎の獣人(童顔の魔法士団団長) お互いのことが出会ってすぐ大好きになっちゃう話。 待てが出来ない狼くんです。 ※独自設定、ご都合主義です ※予告なくいちゃいちゃシーン入ります 主人公イラストを『しき』様(https://twitter.com/a20wa2fu12ji)に描いていただき、表紙にさせていただきました。 美しい・・・!

僕の事を嫌いな騎士の一途すぎる最愛は…

BL
記憶喪失の中目覚めると、知らない騎士の家で寝ていた。だけど騎士は受けを酷く嫌っているらしい。 騎士×???

私の番がスパダリだった件について惚気てもいいですか?

バナナマヨネーズ
BL
この世界の最強種である【バイパー】の青年ファイは、番から逃げるために自らに封印魔術を施した。 時は流れ、生きているうちに封印が解けたことを知ったファイは愕然とする間もなく番の存在に気が付くのだ。番を守るためにファイがとった行動は「どうか、貴方様の僕にしてください。ご主人様!!」という、とんでもないものだったが、何故かファイは僕として受け入れられてしまう。更には、番であるクロスにキスやそれ以上を求められてしまって? ※独自バース設定あり 全17話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

処理中です...