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「まあ、綺麗な赤ちゃんね。女の子みたい。お姉ちゃんとそっくり。姉妹のように見えるわ」
ベータの仲良し夫婦に産まれたのは、一人目の女の子に続いて男の子だった。
色白でかわいい顔であることから、女の子に間違われる事が多く二歳上の女の子とは姉妹のようにそっくりだった。
二人は仲の良い姉妹のように育ち、母は上の子のお古を下の男の子にも着させがちで、より一層姉妹と間違われる事が多かった。
夫婦の先祖にはアルファとオメガの番がいたので、かわいい二人は先祖返りのオメガかも知れないと親族に思われていた。
「藍お姉ちゃん。僕もお人形遊びに入れて」
「茜、男の子なのに良いの?他の子達と外で遊ばないの?」
「うん。お姉ちゃんと遊ぶの楽しい」
「じゃ、一緒に遊ぼう。お城を作ってお姫様ごっこしようね」
「うん。お姉ちゃんがお姫様ね」
「ありがとう。茜は優しいね」
2年遅れて茜が同じ幼稚園に通うようになった。かわいい男の子の茜は、男の子にはからかわれ、女の子には友達が良く出来た。
「お前、男のくせに女とばっかり遊んでんな」
「何よ。良いでしょう?」
「そうよ。茜くんは私たちと遊ぶの」
「自分が相手にされないからっていやね」
優しくて可愛い茜は男の子に何か言われても言い返せない。すると周囲の女の子や活発な姉が守ってくれる。
男の子達も可愛い茜が気になって一緒に過ごしたいのだ。子供らしい反応でつい意地悪が出ているだけだった。
「茜、学校行こう」
「うん。お姉ちゃん」
小学生になると、姉の藍は活発で正義感の強い美人の学級委員長タイプに育った。
茜は、大人しい可憐な美少年で、ふわふわの髪に白い肌、恥ずかしがりやで姉の後ろに隠れる事が多い。しかし、優秀で優しく他の人の気持ちに敏感で友人は多く出来た。
「お姉ちゃん。気を付けて行ってきてね」
目に涙をこらえた茜が、頑張って口角をあげて告げた。今日は藍にとって初めての宿泊行事。校外学習だった。
他の学校と二校で宿泊施設に泊まって、調理や工芸、アスレチック、磯辺で生物の観察をするなど、大がかりな行事である。
「再来年、茜も行くからね。どんなところか私がちゃんと見てくるよ。お土産話を楽しみにしていて」
「うん。お姉ちゃん、元気で帰ってきてね」
「さあ、二人とも登校時間よ。藍の荷物はお母さんが持って一緒に行こうか?」
「大丈夫。自分で持てるから」
「そう?気を付けて。行ってらっしゃい」
藍が居ないと家族で食事をしても何となく静かで寂しかった。藍が楽しく過ごしてくれていると良いね、と話し合った。
母は、藍も大きくなって泊まりに行くようになったなんて、と言う言葉に続けて
「藍が産まれた時は明け方で、産後に部屋の窓から見た空が明け方の綺麗な藍色だったの。茜が産まれたのは夕方で綺麗な茜色の夕焼けを見て、二人の名前に空の色を頂いたんだ」
「お母さんは、どっちが産まれたときも大泣きしていて、お父さんもつられて泣いてしまったんだよ」
「お父さん、先に泣いてたんじゃなかったかしら?」
「そうだったかな?」
「ふふふ。ありがとう。僕、それを聞いてとても嬉しいな。お姉ちゃんにもその話を聞かせたい」
「帰って来たらお姉ちゃんにも伝えるわね」
無事に2泊3日の宿泊が終わって、夕方藍が帰宅した。
「ただいま」
「お姉ちゃん、お帰り」
茜が藍にぎゅっと抱きついた。藍は、優しくとんとん茜の背中をたたく。可愛い弟が、自分を待ちわびていたのが嬉しい。
「良いところだったよ。バーベキューしたり、焼きそば作ったり、ビュッフェの朝食だったり、美味しかった。お部屋もバースの不安な子はユニットバス付きの個室もあるし、アスレチックとか、藍染体験とか色々したの」
「すごいね。楽しそう。お姉ちゃん良かったね」
「うん。見て。藍染絞りのTシャツ、私と茜にお揃いで二枚染めたの。一緒に着ようね。私の名前の藍だよ」
「お姉ちゃん。ありがとう。嬉しい。お姉ちゃんが居ないときに僕達のお名前の話をお母さんとお父さんとしたんだ。お姉ちゃんも聞いて」
「うん。なになに?どんなお話なの?」
「茜、藍は疲れて居るんじゃない?ほどほどにね」
「大丈夫。茜、夕ご飯食べながら沢山話そうね」
「わー。お姉ちゃんありがとう」
仲良しの二人は、両親に愛されて素直に育った。藍はしっかりもので、もしやアルファでは?と言われていたが、中学入学時の検査でベータとわかった。
「ベータだってわかってから、ベータの男の子にすごくもてるようになったんだよね。中学に入ってからは何度も告白されてる。今日も手紙を貰ったの」
「すごいね。さすがお姉ちゃん。これまで美人で近寄りがたいと思われてたんじゃない?」
「そうなのかな?おんなじベータだって、安心するのかな?」
「いいなあ。僕もベータだといいんだけど。その方が何にでもなれたり挑戦出来そう」
「そうなの?うーん…茜は華奢でとっても可愛いくて、オメガっていう感じだけど。どんな性でもやりたいことすれば良いよ。お姉ちゃんは茜を応援するよ」
「ありがとう」
「もうすぐ校外学習でしょう?楽しみだね。部屋は個室希望出した?」
「うん。他の学校と二校だから、色々心配だけど楽しみかも」
「気を付けて行ってくるんだよ。困ったら先生に言って、救護室もあったから体調不良の時はすぐに行くんだよ」
ベータの仲良し夫婦に産まれたのは、一人目の女の子に続いて男の子だった。
色白でかわいい顔であることから、女の子に間違われる事が多く二歳上の女の子とは姉妹のようにそっくりだった。
二人は仲の良い姉妹のように育ち、母は上の子のお古を下の男の子にも着させがちで、より一層姉妹と間違われる事が多かった。
夫婦の先祖にはアルファとオメガの番がいたので、かわいい二人は先祖返りのオメガかも知れないと親族に思われていた。
「藍お姉ちゃん。僕もお人形遊びに入れて」
「茜、男の子なのに良いの?他の子達と外で遊ばないの?」
「うん。お姉ちゃんと遊ぶの楽しい」
「じゃ、一緒に遊ぼう。お城を作ってお姫様ごっこしようね」
「うん。お姉ちゃんがお姫様ね」
「ありがとう。茜は優しいね」
2年遅れて茜が同じ幼稚園に通うようになった。かわいい男の子の茜は、男の子にはからかわれ、女の子には友達が良く出来た。
「お前、男のくせに女とばっかり遊んでんな」
「何よ。良いでしょう?」
「そうよ。茜くんは私たちと遊ぶの」
「自分が相手にされないからっていやね」
優しくて可愛い茜は男の子に何か言われても言い返せない。すると周囲の女の子や活発な姉が守ってくれる。
男の子達も可愛い茜が気になって一緒に過ごしたいのだ。子供らしい反応でつい意地悪が出ているだけだった。
「茜、学校行こう」
「うん。お姉ちゃん」
小学生になると、姉の藍は活発で正義感の強い美人の学級委員長タイプに育った。
茜は、大人しい可憐な美少年で、ふわふわの髪に白い肌、恥ずかしがりやで姉の後ろに隠れる事が多い。しかし、優秀で優しく他の人の気持ちに敏感で友人は多く出来た。
「お姉ちゃん。気を付けて行ってきてね」
目に涙をこらえた茜が、頑張って口角をあげて告げた。今日は藍にとって初めての宿泊行事。校外学習だった。
他の学校と二校で宿泊施設に泊まって、調理や工芸、アスレチック、磯辺で生物の観察をするなど、大がかりな行事である。
「再来年、茜も行くからね。どんなところか私がちゃんと見てくるよ。お土産話を楽しみにしていて」
「うん。お姉ちゃん、元気で帰ってきてね」
「さあ、二人とも登校時間よ。藍の荷物はお母さんが持って一緒に行こうか?」
「大丈夫。自分で持てるから」
「そう?気を付けて。行ってらっしゃい」
藍が居ないと家族で食事をしても何となく静かで寂しかった。藍が楽しく過ごしてくれていると良いね、と話し合った。
母は、藍も大きくなって泊まりに行くようになったなんて、と言う言葉に続けて
「藍が産まれた時は明け方で、産後に部屋の窓から見た空が明け方の綺麗な藍色だったの。茜が産まれたのは夕方で綺麗な茜色の夕焼けを見て、二人の名前に空の色を頂いたんだ」
「お母さんは、どっちが産まれたときも大泣きしていて、お父さんもつられて泣いてしまったんだよ」
「お父さん、先に泣いてたんじゃなかったかしら?」
「そうだったかな?」
「ふふふ。ありがとう。僕、それを聞いてとても嬉しいな。お姉ちゃんにもその話を聞かせたい」
「帰って来たらお姉ちゃんにも伝えるわね」
無事に2泊3日の宿泊が終わって、夕方藍が帰宅した。
「ただいま」
「お姉ちゃん、お帰り」
茜が藍にぎゅっと抱きついた。藍は、優しくとんとん茜の背中をたたく。可愛い弟が、自分を待ちわびていたのが嬉しい。
「良いところだったよ。バーベキューしたり、焼きそば作ったり、ビュッフェの朝食だったり、美味しかった。お部屋もバースの不安な子はユニットバス付きの個室もあるし、アスレチックとか、藍染体験とか色々したの」
「すごいね。楽しそう。お姉ちゃん良かったね」
「うん。見て。藍染絞りのTシャツ、私と茜にお揃いで二枚染めたの。一緒に着ようね。私の名前の藍だよ」
「お姉ちゃん。ありがとう。嬉しい。お姉ちゃんが居ないときに僕達のお名前の話をお母さんとお父さんとしたんだ。お姉ちゃんも聞いて」
「うん。なになに?どんなお話なの?」
「茜、藍は疲れて居るんじゃない?ほどほどにね」
「大丈夫。茜、夕ご飯食べながら沢山話そうね」
「わー。お姉ちゃんありがとう」
仲良しの二人は、両親に愛されて素直に育った。藍はしっかりもので、もしやアルファでは?と言われていたが、中学入学時の検査でベータとわかった。
「ベータだってわかってから、ベータの男の子にすごくもてるようになったんだよね。中学に入ってからは何度も告白されてる。今日も手紙を貰ったの」
「すごいね。さすがお姉ちゃん。これまで美人で近寄りがたいと思われてたんじゃない?」
「そうなのかな?おんなじベータだって、安心するのかな?」
「いいなあ。僕もベータだといいんだけど。その方が何にでもなれたり挑戦出来そう」
「そうなの?うーん…茜は華奢でとっても可愛いくて、オメガっていう感じだけど。どんな性でもやりたいことすれば良いよ。お姉ちゃんは茜を応援するよ」
「ありがとう」
「もうすぐ校外学習でしょう?楽しみだね。部屋は個室希望出した?」
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