婚活アプリのテスト版に登録させられたら何故か自社の社長としかマッチング出来ないのですが?

こたま

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「皇成さん。今回も予定どおりなら、三週間後に発情期です。番になりましょう!」
「史、ありがとう。長めに休みを取るつもりだ」
「はい。お願いします。僕はいつもは全部でも6日間位なんです。でも皇成さんと番えば早めに終わるかも?」
「嬉しいよ史。しかし、番う前に話しておかないといけないことがある。私は君に謝らなくては」
「?何ですか?何かあっても僕の決意は変わりません。大丈夫ですよ?」
「ありがとう。あのマッチングアプリのことなんだが。政臣に会って直ぐ私も史も退会して、アプリを消去しただろう?」
「はい。そうでしたね」
「製作会社からあの後、政臣が史に希望を出して他者をブロックしようとしていたらしいと説明を受けたんだ。やはり辰巳家の関連会社が作ったから辰巳家の人間の希望を優先するように権限が強くなっていたようだ。大変申し訳ない。私が浮かれて運用直後に希望を出したことで、君の他の人と出会う選択肢を狭めてしまったかも知れないんだ。私には幸いであったが君の意にそわないことであれば申し訳ない」
「もう、良いんです。そんなこと。僕も皇成さんが一番だってわかっています。番になりたい。皇成さん、好きです」

「史!愛している。ありがとう。君は私に与えられた神の祝福に他ならない。なんと言う幸せだ」
「そんな。大袈裟な」
「大袈裟なものか。私のマンションに必要物品は抜かり無く用意しておくよ。早まったら直ぐに連絡してくれ。迎えに行くから」
「はい。お願いしますね。僕もとても楽しみなんです」

(誰かと過ごす発情期が初めてで、それが番契約であるなんて。僕は幸せだな)

 史は初めて訪れる皇成の自宅マンションも楽しみにしていた。史の家は少し郊外にある一般的な戸建てであり、タワーマンションには足を踏み入れたことがない。
 挨拶をした時に訪れた皇成の実家は戸建てで、こちらは大邸宅であったのでタワーマンションからの眺めを是非見てみたいと思った。

(あれ?予定より一週間早いけど…もしかして発情期が早まったのかな。来そうな感じがする。だんだん暑くなって、頭がモヤモヤし出した。皇成さん、日程大丈夫かなあ。予定より早いけど連絡しても良いかな…)

 皇成の仕事に影響が無いかを心配しつつも、早まったら直ぐに連絡してほしいと言われていた言葉を頼りに、平日夜間であるが電話をかけてみることにした史。

「皇成さん、すみません。今お時間大丈夫ですか?」
「ああ。どうしたの?」
「実は発情期が早まったようです。もうすぐ本格的にはじまりそうで。予定が変わって申し訳ないのですが、ご都合いかがですか?」
「連絡ありがとう。大丈夫。直ぐに迎えに行く」
「そうですか?では宜しくお願いします」
「他人行儀に御礼なんて。喜びでしか無いよ。ちょっと待っていてね。すぐ出るから」
「はい。迎えの来ること、母に伝えておきます」

 史の自宅前にメルセデス・マイバッハ・GLSが停まった。中から普段見せることのないやや慌てた表情の皇成が出ると自宅の呼び鈴を押した。

「夜分にすみません。史さんを迎えに参りました」
「皇成さん、いらっしゃい。史を末長くどうぞお願いします」
「はい。生涯大切に致します」

「史、皇成さんが見えたわ」
「うん。お母さん、行ってきます」
「結婚するまでは、また帰って来るわよね?」
「うん。結婚式まではお母さんとお父さんの子供としてまだお世話になります」

 二人を乗せた車はあっという間に自宅マンションの地下駐車場に吸い込まれる。

「ここから専用エレベーターに乗って最上階に行くよ。もう直ぐだけど、体調は大丈夫?」
「はい。まだ少し暑くてぼーっとしてきたくらいです。でも、車内で皇成さんの香りが濃く感じました。もうすぐピークになりそう」
「うん。史からとても良い香りがする。強くなってきている。私も抑えが効かなくならないように気をつけるよ」

 最上階専用エレベーターがするすると上昇した。到着すると、一つだけの入り口がある。

「おいで。こっちだ」
「玄関だけで、とても広いですね」

 大理石が光るような広い玄関を上がる。廊下の先、ドアを開けると何十畳あるのかという広いリビング。大きな窓からは東京の夜景が一望出来る。

「わぁっ、すごい。綺麗」
「綺麗なのは史だ」

 史の後ろから皇成が腕を回して史を抱き締めた。

「素敵だよ」

 皇成が史のうなじに鼻を寄せて薫りを吸い込むと、史は頬を染めてふるっと身を震わせた。

「あ...」

 史から香りが立ち上ぼり、ほおっと熱い息を吐くのを見た皇成も自身の熱が高まりつつあるのを自覚した。

「行こう。夜景は逃げない。また後日」

 皇成が史をお姫様抱っこで寝室に運んだ。皇成は、飲料、保存食、シーツなどのリネン類、寝具、タオルや避妊薬をも既に十分用意してあった。
 番になっても結婚式や新婚生活を楽しむ時間も欲しい。子供はもう少し先にしたいと思っていた。若い史にはまだ自由な時間も必要だろうと。

 皇成は、史をキングサイズのベッドにそっと下ろすと、額に唇をつけた。

「愛している。ありがとう史」
「ありがとう?」
「産まれてくれて、私を選んでくれてありがとう。好きだ」
「僕も好き…」

 見つめ合うと今度は唇を触れあわせた。何度も軽く触れるだけ、そして深く。甘い史の口内を味わいながら、皇成は史の服を剥いだ。自らも衣服を脱ぎ捨てると、口付けながら史を抱き締めた。

「ああ。幸せだ」
「はい、皇成さん。僕、もうあついです」
「うん。触るよ?」

 皇成は、史を宝物のように優しく触った。柔らかく抱きしめ、キスをしながら全身を撫でさする。
 史の小さな蕾を舐め、指でくすぐるとなめらかな起立を擦り上げる。滴る先走りをまとう指で史を追い上げ、同時に後ろも慎重に解す。

「あ、ああっ」

 先に史が達すると、くたりと力を抜いている間に史をうつ伏せた皇成は、うなじを守る輪に指を掛けた。

「これ、取ってくれる?」
「はい」

 史の震える細い指先がネックガードのロックを操作した。カチ。と音がしてその輪が外れた。

「良い?君の中に。そして噛むよ?」
「はい。皇成さん。好きです」
「史。愛している」

 ゆっくりと皇成が史の奥へ進む。時間をかけて自身を納めると、背後から史を抱きしめた。

「好きだ、ありがとう」
「はい。僕も」

 皇成は、史の項を舐めてから少し牙を当てると、その歯を押し入れながら長い放出の間、目を閉じて感涙を抑えていた。

「あ、あ」

(痛いのは最初の肌を破るときだけだった。二人が一つになるみたい。温かい。気持ち良い。ふわふわする)

「史」
「皇成さん」

「「愛してる」」

 皇成は、これから父の会社を継ぎつつ自分の興した広告代理店も大きくし、本家ともやり合って行かなければならない。
 しかし、史がいればどんな困難でも乗り越えられると思った。史もまた慣れない生活が待っているとしても、皇成となら楽しく生きていけると確信していた。
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