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柚月の疑問をよそに難無く駐車した俊輔は、柚月に続いてアパートに歩いた。
「あ、大家さん」
「牧原君、良かった。探していたのよ。電話にも出ないし」
そう。結局借りた充電器では充電出来ていなかったのだ。携帯は切れたままである。
アパートは、持ち主の家と同じ敷地内で二つの建物は壁が繋がっている。二つとも古く、大家のお婆さんも随分高齢だ。
「何か御用ですか?」
「それが、大変。申し訳ないけど直ぐに退去して頂戴」
「えっ!退去?どうしてですか?」
「この擁壁が古くて、直すのも考えてたんだけど、つい先日悪化しているって言われて。このままではいずれ使用が認められない事になるって。そうしたら偶然この土地を買ってくれる人が出たの。丁度今は入居者の人も少なかったし、みんな他に部屋が見つかったから残りは牧原君だけ。私も老人ホームを決めたわ」
「ええ?そんなぁ…」
「元々古くて敷金礼金も無しだったから。申し訳ないけど引っ越し代としてこれだけ受け取ってね」
「退去期限はいつまでですか?」
「直ぐよ。期限は今日までだったの。私も明日引っ越しだから」
「もう少し何とかなりませんか?新しい所を見つけないと。僕、保証人見つけるのも大変ですし、バイト先も無くなって、本当に困ります」
「仕方ないのよ、もう売ってしまったの。直すお金はないし、あまり入居者も入らない物件だったから、ごめんなさいね」
大家さんは、申し訳なさそうに頭を下げて家に戻って行った。確かにアパートには空き室も多い。というか、殆ど入居者がいなかった。だから身寄りと収入のない大学生の柚月でも貸して貰えだのだ。
「はぁ、どうしよう」
「このまま、柚月の荷物を持ってうちに運ぼうよ」
「え?」
「うちの部屋を使って欲しいんだ。行くところの目処はないんでしょう?」
「目処はありませんが、でも」
「部屋はどこ?」
「2階の角です」
「入っても良い?」
「ええ、それは大丈夫ですが」
トントンと俊輔が階段を上がった。柚月が続き、部屋の鍵を開けた。
とても古い四畳半程度の和室。家具も布団一組と勉強にも食事にも使う一人用の中古のコタツだけしかない。教科書は段ボール箱を横にして、本棚代わりに使っていた。食器も衣類も殆どない。
「これなら、俺一人で運べる」
「いえ、そんなご迷惑ですから、どこかネットカフェとか、友人宅とか、探します」
「携帯も切れて、夕方で、すぐ泊まれる所は見つからないよ。ネカフェなんて無用心だ」
「そうかも知れませんけど、何とか」
「大丈夫。うちにいて?それでゆっくり部屋を探せば良いよ。丁度段ボールがあるんだね。このまま詰めよう」
さっさと段ボールに教科書、少ない衣服を詰めた。さらに空いている段ボールを見つけて組み立てると、布団と衣類、食器と小鍋、ヤカンを詰めた。
「2回くらいで済むね」
そう言うとパッと箱を運んで車に向かった俊輔。
「あ、待ってください」
「柚月は待っていて大丈夫だよ」
あっという間に少ない荷物を車のトランクに詰め終えてしまった。
「じゃあ、出ようか。携帯の充電器は鞄に持った?」
「はい」
「さっきの大家さん、まだいるかな?鍵を返せば退去終了だ」
大家さんの家で呼び鈴を鳴らす。鍵を返せば、とても喜んでいた。老婆の手にした売買契約書。古家付きの難有る土地を即決で購入した取引相手はTKC。轟建設企画株式会社であり、彼女が入居する老人ホームもまた轟グループの関連事業である。
俊輔の運転する車に乗って、もと来た道のりを戻っていく柚月。
「本当に、お世話になって良いんですか?」
「もちろん。居て欲しいから言ってるんだよ」
「すみません。またお世話になります」
「こちらこそ。部屋を使ってくれてありがとう。きっと家も喜んでる」
柚月の荷物は、二人で一箱ずつ持って部屋に運んだ。呆気ない仮の引っ越しだ。柚月は大家さんに貰った引っ越し代を俊輔に渡そうとしたが
「持っていたら良いよ。お金はあって困るものじゃない。引っ越しにもならないくらいだったんだ。水道と電気、ガスの中止連絡は一応いれておくんだよ?多分大家さんが引っ越しの時一緒に伝えるだろうけど」
「あ。そうか。開始したんだった。中止も必要なんですね」
「うん。初めてだったんだ、わからないことばかりだよね」
「俊輔さんは一人暮らしの経験があるんですか?」
「大学院と、留学中には一人だったよ」
「そうなんですか。留学。すごいですね」
「一応ね。じゃあ、引っ越し祝いにどこか食べに行こうか。必要なものも、今日明日で買い揃えようね」
「いえいえ。そんな、申し訳ありません」
「いつも外食なんだ。一人だと寂しいし、色々頼めないだろう?柚月が一緒に食べてくれたらとても楽しいよ」
「わかりました。そう言ってくださってありがとうございます」
気付けばすでに夕食の頃合いだった。俊輔は、柚月と二人の色味を合わせた服装を提案した。メガネに度が入っていないと知ると一旦外して置いていくように促し、柚月の髪を顔が見えるように軽くセットした。歩いて近くの隠れ家フレンチに行くと
「いらっしゃいませ。轟様。いつもありがとうございます。今日は可愛い方をお連れですね」
「はい。これからは二人でお世話になりますので、宜しくお願いします」
お洒落な店の作りに臆したが、個室で二人だけだから、あまり気にしないようにと気遣われた。少しずつ運ばれてくる見目美しいコース料理。テーブルマナーを習いながら、丁寧に食事をする柚月を優しい眼差しで見つめる俊輔。
これまで誰も連れてきたことのない轟の若社長が恋人を連れてきたと、レストランのオーナーシェフとマダムはにこやかにサーブするのだった。
帰りがけにコンビニに寄った。簡単なインナーや洗面用具を買い足す。といっても部屋に元々あったものでも充分に暮らせるくらいだ。あまり買うものはない。
「朝食用の食材はどうされてますか?」
「配達で届くものが少し冷蔵庫に入ってる。けどあまり朝食は食べないから。サラダとかパンとか卵を買っておこうか」
「はい。健康のためには、朝食大事ですよね」
「ありがとう。柚月のお陰で良い習慣が出来そうだ」
「あれ?充電出来てない?」
「どうしたの?」
「いえ、夕食に出る前に携帯を充電器にさして行ったんですが、全く電源が入りません」
「そう?他のコンセントで試してみようか?」
「はい」
柚月の部屋から、リビングに移した。そこで他の機器が使えているコンセントにさして一晩置いてみることにした。
「今日はこっちのお風呂に入ってみる?窓から外が見えるんだ。露天風呂みたいで気持ちいいよ」
大きな浴室には、浴槽につかると低い位置で横長の窓から中庭の景色が見られる作りになっていた。
中庭は仕切られて、もちろん外から浴室は覗かれる心配もない。広い浴室と浴槽。ジャグジーがついており、身体にあたる心地よい泡が、この数日の目まぐるしい事態でたまった柚月の疲れを流していった。
「あ、大家さん」
「牧原君、良かった。探していたのよ。電話にも出ないし」
そう。結局借りた充電器では充電出来ていなかったのだ。携帯は切れたままである。
アパートは、持ち主の家と同じ敷地内で二つの建物は壁が繋がっている。二つとも古く、大家のお婆さんも随分高齢だ。
「何か御用ですか?」
「それが、大変。申し訳ないけど直ぐに退去して頂戴」
「えっ!退去?どうしてですか?」
「この擁壁が古くて、直すのも考えてたんだけど、つい先日悪化しているって言われて。このままではいずれ使用が認められない事になるって。そうしたら偶然この土地を買ってくれる人が出たの。丁度今は入居者の人も少なかったし、みんな他に部屋が見つかったから残りは牧原君だけ。私も老人ホームを決めたわ」
「ええ?そんなぁ…」
「元々古くて敷金礼金も無しだったから。申し訳ないけど引っ越し代としてこれだけ受け取ってね」
「退去期限はいつまでですか?」
「直ぐよ。期限は今日までだったの。私も明日引っ越しだから」
「もう少し何とかなりませんか?新しい所を見つけないと。僕、保証人見つけるのも大変ですし、バイト先も無くなって、本当に困ります」
「仕方ないのよ、もう売ってしまったの。直すお金はないし、あまり入居者も入らない物件だったから、ごめんなさいね」
大家さんは、申し訳なさそうに頭を下げて家に戻って行った。確かにアパートには空き室も多い。というか、殆ど入居者がいなかった。だから身寄りと収入のない大学生の柚月でも貸して貰えだのだ。
「はぁ、どうしよう」
「このまま、柚月の荷物を持ってうちに運ぼうよ」
「え?」
「うちの部屋を使って欲しいんだ。行くところの目処はないんでしょう?」
「目処はありませんが、でも」
「部屋はどこ?」
「2階の角です」
「入っても良い?」
「ええ、それは大丈夫ですが」
トントンと俊輔が階段を上がった。柚月が続き、部屋の鍵を開けた。
とても古い四畳半程度の和室。家具も布団一組と勉強にも食事にも使う一人用の中古のコタツだけしかない。教科書は段ボール箱を横にして、本棚代わりに使っていた。食器も衣類も殆どない。
「これなら、俺一人で運べる」
「いえ、そんなご迷惑ですから、どこかネットカフェとか、友人宅とか、探します」
「携帯も切れて、夕方で、すぐ泊まれる所は見つからないよ。ネカフェなんて無用心だ」
「そうかも知れませんけど、何とか」
「大丈夫。うちにいて?それでゆっくり部屋を探せば良いよ。丁度段ボールがあるんだね。このまま詰めよう」
さっさと段ボールに教科書、少ない衣服を詰めた。さらに空いている段ボールを見つけて組み立てると、布団と衣類、食器と小鍋、ヤカンを詰めた。
「2回くらいで済むね」
そう言うとパッと箱を運んで車に向かった俊輔。
「あ、待ってください」
「柚月は待っていて大丈夫だよ」
あっという間に少ない荷物を車のトランクに詰め終えてしまった。
「じゃあ、出ようか。携帯の充電器は鞄に持った?」
「はい」
「さっきの大家さん、まだいるかな?鍵を返せば退去終了だ」
大家さんの家で呼び鈴を鳴らす。鍵を返せば、とても喜んでいた。老婆の手にした売買契約書。古家付きの難有る土地を即決で購入した取引相手はTKC。轟建設企画株式会社であり、彼女が入居する老人ホームもまた轟グループの関連事業である。
俊輔の運転する車に乗って、もと来た道のりを戻っていく柚月。
「本当に、お世話になって良いんですか?」
「もちろん。居て欲しいから言ってるんだよ」
「すみません。またお世話になります」
「こちらこそ。部屋を使ってくれてありがとう。きっと家も喜んでる」
柚月の荷物は、二人で一箱ずつ持って部屋に運んだ。呆気ない仮の引っ越しだ。柚月は大家さんに貰った引っ越し代を俊輔に渡そうとしたが
「持っていたら良いよ。お金はあって困るものじゃない。引っ越しにもならないくらいだったんだ。水道と電気、ガスの中止連絡は一応いれておくんだよ?多分大家さんが引っ越しの時一緒に伝えるだろうけど」
「あ。そうか。開始したんだった。中止も必要なんですね」
「うん。初めてだったんだ、わからないことばかりだよね」
「俊輔さんは一人暮らしの経験があるんですか?」
「大学院と、留学中には一人だったよ」
「そうなんですか。留学。すごいですね」
「一応ね。じゃあ、引っ越し祝いにどこか食べに行こうか。必要なものも、今日明日で買い揃えようね」
「いえいえ。そんな、申し訳ありません」
「いつも外食なんだ。一人だと寂しいし、色々頼めないだろう?柚月が一緒に食べてくれたらとても楽しいよ」
「わかりました。そう言ってくださってありがとうございます」
気付けばすでに夕食の頃合いだった。俊輔は、柚月と二人の色味を合わせた服装を提案した。メガネに度が入っていないと知ると一旦外して置いていくように促し、柚月の髪を顔が見えるように軽くセットした。歩いて近くの隠れ家フレンチに行くと
「いらっしゃいませ。轟様。いつもありがとうございます。今日は可愛い方をお連れですね」
「はい。これからは二人でお世話になりますので、宜しくお願いします」
お洒落な店の作りに臆したが、個室で二人だけだから、あまり気にしないようにと気遣われた。少しずつ運ばれてくる見目美しいコース料理。テーブルマナーを習いながら、丁寧に食事をする柚月を優しい眼差しで見つめる俊輔。
これまで誰も連れてきたことのない轟の若社長が恋人を連れてきたと、レストランのオーナーシェフとマダムはにこやかにサーブするのだった。
帰りがけにコンビニに寄った。簡単なインナーや洗面用具を買い足す。といっても部屋に元々あったものでも充分に暮らせるくらいだ。あまり買うものはない。
「朝食用の食材はどうされてますか?」
「配達で届くものが少し冷蔵庫に入ってる。けどあまり朝食は食べないから。サラダとかパンとか卵を買っておこうか」
「はい。健康のためには、朝食大事ですよね」
「ありがとう。柚月のお陰で良い習慣が出来そうだ」
「あれ?充電出来てない?」
「どうしたの?」
「いえ、夕食に出る前に携帯を充電器にさして行ったんですが、全く電源が入りません」
「そう?他のコンセントで試してみようか?」
「はい」
柚月の部屋から、リビングに移した。そこで他の機器が使えているコンセントにさして一晩置いてみることにした。
「今日はこっちのお風呂に入ってみる?窓から外が見えるんだ。露天風呂みたいで気持ちいいよ」
大きな浴室には、浴槽につかると低い位置で横長の窓から中庭の景色が見られる作りになっていた。
中庭は仕切られて、もちろん外から浴室は覗かれる心配もない。広い浴室と浴槽。ジャグジーがついており、身体にあたる心地よい泡が、この数日の目まぐるしい事態でたまった柚月の疲れを流していった。
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