ロボット製作するよ

高橋

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浜松勝

6話 こんな装備で勝てるわけ無い

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次の日、教室へと入るとクラスで揉め事が発生していた。なんでも、機械班の引佐と細江が攻撃方法にケチをつけてきたらしい。攻撃方法がもっといいものがあるとかそういうものだ。前々から思っていたが、引佐と細江はいわゆる不良だ。もちろんクラスメイトから好かれているはずがない。軽い口論になっていた。
構図は三保詩織・塩見達也VS引佐・細江だ。
「なんっであんた達に文句を言われなきゃいけないわけ?」
「ほんとそうだよ。何かこれ以上の案があんのか?言ってみろってんだ」
なんでこんなに喧嘩口調なのだろうか?
「文句ならあるよ。何でこんなに弱い兵装なんだ。予算はあるんだろ」
「そうだ、飛び道具はだめだが火炎放射器は搭載できるはずだろ!」
なにを言っているんだと思ったが、面倒くさいので黙って見守ることにした。
「お前らバカだな。そんな重い装備載っけて動けると思うのか?」
「なんだと。お前今が場にしただろ。ちょっとこっちこい」
ほら、喧嘩が始まったよ。そのとき、我らが学級委員長、蒲原君が入ってきた。予想通り、喧嘩を止めに入る。
「やめろよ、今は喧嘩している場合じゃないだろ。皆で協力しないと」
「分かったよ。しかし俺はあの弱い装備で勝てるとは思わない」
「それについては今日、皆で話し合おう」
今日の議題は装備についてになりそう。俺と島田は装備の制御については一切関わっていないので、今日は黙って聞いているだけになりそうだ。会議室のホワイトボードには機体の図などが貼られている。現在の装備は、右腕に回転歯、左腕に盾。それだけしか装備していない。話し合いが始まった。
「じゃあまず、どんな装備を搭載したいのか、二人の意見を聞かせて欲しい」
そうなのだ、この二人は良かれと思って意見を述べたのだ。それが正しいかは置いておくとして。
「どんなのとは言わないが・・・まずこの回転歯では致命傷を与えられないと思う。実際この盾で防御できたんだろ?」
そういって資料の図を爪で叩く。確かに、引佐の意見も一理ある。実際、回転歯の威力はそこまで高くない。今度は細江が意見を出す。
「俺は、こんなものを考えたんだ。これを見てくれ」
そういってスクリーンに映し出されたものは、強化型爆竹だった。発射方法は、肩に爆竹束を取り付け、爆竹束をバネで弾き出し爆発させるというものだった。これだと飛び道具にはならない。
「どうだ、これならば重さはそこまでないだろう」
ここで、塩見が文句を吐く。
「威力がないじゃないか。爆竹の威力などたいした事ないだろ」
「一応この機体の盾なら貫通できる威力だ。化学班と協力すれば、もっと威力の上昇は望める」
なるほどな、この二人も考えなしに発言した訳じゃないという事か。火炎放射器は無いがな。俺は気になったことがあった。
「これなら、防御にも使えないか?」
「それは便利だ。皆、この案は承認しても言いと思うか?」
異議を唱えるものはいない。蒲原が指示を出す。
「二人は、この仕組みを作ってくれ。来週までには作ってくれると助かる」


1週間後の会議の時間
「引佐君と細江君。先週の装備はできた?」
「ああ、完成した。もう第二実験室に準備してある。今から見に行こうじゃないか」
そういって、会議室を後にする。二人が作った装備の完成系は、両肩に1つずつ装備できるタイプのもので、爆竹束が5つの筒に分けられて入っている。今はコントローラーは別になっている。
「じゃあこれから実際に動かす。特に三保と塩見。良く見てろ」
そう言い捨てると引佐がコントローラーを握る。中央にある”ロック”と書かれたボタンを押すと、10個のボタンが赤く光る。引佐が1と描かれたボタンを押した瞬間、左端の筒から爆竹が飛び出し、5mほど進んで爆発した。成功のようだ。「これで終わりだと思うな。全弾発射する機能もついている」
ALLと描かれたボタンを押すと残りの9個が全て飛ばされた。
「「おおっ」」
皆から歓声が上がる。確かにこの機能は役に立ちそうだ。
「あとは爆竹の改良を行うだけだ」
「それもあと少しで完成する。情報班、制御頼むよ」
あれ、こいつらこんな良い奴だっけ?いや、俺の勘違い。
「じゃあ後の下校までに時間はそれぞれの作業を進めよう」
「「了解」」
俺と島田は、パソコン室で作業をすることにした。扱うデータ量が膨大だしな。
まずは、コントローラーの製作から始めることにした。コントローラーは3つ製作することにした。
総合コントローラー・・・移動・左腕の操作・ライトなどを担当
攻撃コントローラー・・・右腕の操作・爆竹の起爆・その他の装備を担当
回路コントローラー・・・電圧調整や、排熱などを担当。コンピューターを搭載
まずは、回路コントローラーから始めることにした。電気班から回路図を送ってもらい、実際に水窪にもアドバイスをもらった。一日を使って回路コントローラーの設計が終わったので、製作担当の機械班に送信した。
「やっと一つ終わったわね。浜松君」
「しかし、あとの二つは操作手と一緒に作るからさらに大変だな」
「そうだ、今日あなた私の家に来ない?」
これは、誘われた???


島田朱里の部屋は、家具の部屋がそこまで多いというわけではない。一人掛けソファーと二人掛けソファーが2つずつとテーブルが一つ。机などは無い。もちろん寝室は見せてもらえなかった。
「前言ったコーヒーの淹れかたを教えてもらえないかしら?」
確かに前そんなこと言っていたな。まあこれから仕事も忙しくなるし。教えてあげてもいいか。俺はキッチンへと向かう。そこには、エプロンをつけた島田が立っていた。普段も可愛いのだが、これもなかなか良い。
「はやくして、お湯が沸いたから教えて」
「えっと・・・まずコーヒー豆の中央にお湯を少し注ぐんだ。そしたら25秒待つ。”の”字型にお湯を注いだら完成だ」
「それが難しいの・・・。手をつかんでもいいから教えてもらえない?」
そんな可愛い顔で頼まれて断れるほど俺の精神力は強くないのだが。結局手取り足取り教えることになった。初めて近づいたから分かったのだが、島田はとても良い匂いがする。ても綺麗で触り心地が良い。そんな事を考えているあいだにコーヒーは完成した。
「島田。完成したぞ」
島田は突然俺の袖を握ってくる。こいつはたまに可愛いことをしてくるから困る。
「2人きりのときは朱里って呼んで欲しい」
「わかったよ。朱里、コーヒー一緒に飲もう」
「うん」
可愛い。朱里は俺の萌えポイントを的確に狙ってくる。
「勝君。明日も頑張ろう」
自分の部屋へと帰ってきた俺は、良い気分のまま眠りにつくことができた。
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