ロボット製作するよ

高橋

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浜松勝

15話 体育祭

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翌日8時
集合された時刻に学校へ向かうと、蒲原以下十数名が学校に来ていた。ほとんどの人が、運動部に所属していない生徒ばかりだ。蒲原がこちらへ近づいてきて、話しかけてきた。
「更衣室でこれに着替えてきてくれ」
そういって袋に入ったジャージのような服を渡してきた。これに着替えろという事らしい。俺は礼を言って着替えるために更衣室へと向かった。手早く着替えを済ませると、第一体育館へと向かう。第一と付く通り、この国立科学技術高等学校には幾つかの大型施設がある。第一体育館・第二体育館・アリーナ・第一実験場・第二実験場などだ。そのうちⅠ-Ⅳは第一体育館を借りていた。
「浜松君。サイズは、・・・大丈夫の様だね。それじゃあみんな、始めよう」
準備運動やストレッチなどを終え、まずリレーの練習から始める。今いる人間だけで一度走ったが、結果は酷いありさまだった。部活に入って日頃運動している生徒ならまだしも、ここにいる人は普段運動をしない。科によっても運動能力の違いが編著に出ている。機械科や建築家などは、学習の過程で動くことも多いのだが、情報科はほとんど動かない。そのため特に運動ができていない。蒲原からこれからできるだけ運動をするようにと言われた。例えば、エレベーターを使わずに階段を使う。自転車ではなく歩くなど、俺は高齢者かよと反論しようかと思ったが、それはできなかった。だって、事実だから。そんな文句を言っても仕方が無いのでトレーニングルールで鍛え、さっさと部屋に帰ろうとした。そのとき、蒲原に声をかけられる。
「会計の件で話しておきたいことがあるんだ」
「わかった。じゃあ今から俺の部屋へ来てくれ」
その後、二人で俺の部屋へ行き、ソファーへ座って話すことにした。蒲原はテーブルの上にファイルをいくつか置く。
「これがⅠ-Ⅳの会計簿なんだが、これの管理を頼まれてくれないか?」
「まあ・・・やってもいいけど、特にやることは無いだろ?」
「普段は無いが、コンクール前の予算の決定等はお願いしたいと思っている」
予算の管理か・・・・・。仕事自体は簡単なんだが、決めることの責任が大変なんだよな。
「分かった。力不足かもしれないがやるよ」
「ありがとう。感謝している」
そういって席を立ち、自分の部屋へと帰っていく。俺は、ファイルの内容を全てエクセルへと打ち込んだ。


東京都千代田区霞ヶ関  国立科学技術高等学校機構本部  
霞ヶ関の国立科学技術高等学校機構本部のとある会議室ではある会議が行われていた。
「えー、では、国立科学技術機構定例幹部会議を始めます」
「今回の議題は今年の新入生についてです。一人目の特筆人物はこちら」
司会がノートパソコンを操作する。すると、スクリーンに名簿が映る。
「浜松勝。国立情報技術高等学校の出身で、Ⅰ-Ⅳ所属。新しいアイデアに長けており、直感操作ロボットアームの考案者です」
「この生徒があの、例のロボットアームを開発したと…」
現在、幹部たちは浜松勝についての話し合いをしている。この話し合いは、学校生活に大きく響くことになる。
「この生徒は非常に技術が高いのですが、やる気があまり無く、その点が問題です」
「やる気を出させるんだ、分かったかね?千代田生徒会長」
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