ロボット製作するよ

高橋

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浜松勝

16話Ⅰ学年

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体育祭も終わり、初めて教室へと入る。改装が終わった教室はとても綺麗になっていた。椅子、机は座りやすいものに変わり、黒板は電子黒板へと変わる。教室ではスリッパに履きかえるようだった。絨毯が敷かれているのだ。さて、席へつくと朱里が話しかけてくる。
「随分と豪華ね。会計長さん」
「なんか俺のせいのような言い草だね朱里ちゃん。だが、俺が就任する前に決まったことだよ」
「なっ、なんであなたにちゃん付けで呼ばれなくてはならないわけっ。島田でいいわよ」
なんてことを顔を赤らめながら言ってくるとは可愛いものだ。だが、朱里の言うとおり確かに豪華かもしれない。そこへ、静岡先生が入ってくる。
「みんな、おはよう。昨日の体育祭は2位で残念だったな。だが、悲しんでは居られない。次のイベントは、1学年全員で協力してもらう。詳細はこの資料と電子黒板をみてくれ」
先生はそういうと、教卓上のタブレットをいじると、電子黒板に資料を表示する。そこにはこう書かれていた。
[対外海上試合実施要項
実施日   10月31日
実施場所  鹿島沖30kmの太平洋上10km×10kmのエリア
ルール   互いに3隻までの船で戦う。2隻以下でも可。
      船に人が乗り込むことは不可。
      予算は主催者が捻出する]
「見ての通り、今回のコンクールは対外試合となっている。よって、1学年全員で協力してもらう。相手の高校は、日本工業院大学付属艦艇技術高等学校だ」   つまり、日本工業院大学の下請けのような高校だが侮れない。海上戦闘においてはトップレベルと言われているからだ。
「また、人は乗り込めないため通信操縦となる。難しいと思うが頑張ってくれ」
艦艇戦となると機体は大型化する。それを無人で動かせと言うのは無理があるようにも感じるがやるしかない。早速他クラスとの会議が始まった。まず、全クラスが大会議室へと集まる。Ⅰ-Ⅰのリーダー格と思われる男子生徒が説明をしている。『今回、全クラスで協力することになったわけでが、クラスごとの縄張り争いのようなものは無くしていきたい。それが、支障に繋がるからだ。また、組み立ては海上で行うため、納期は厳守で頼む。最後に、これから大枠を決めるための会議、そのあと科ごとに話し合いをする」
男子生徒のその一言を合図に、会議が始まった。椅子と長机が並べられ、クラスごとに座る。前方のスクリーンにはプロジェクターで文書が映されている。
「まず、各クラスから3名、人を集める。その集まった生徒で、臨時に作戦科を増設します。この作戦科は、機体の操縦や、スケジュール管理などを行います。では、各クラスから3名選出してください」
男子生徒から指示が出されると、それぞれのクラスが話し合いを始める。Ⅰ-Ⅳからは案の定、蒲原、三保、水窪が選ばれた。3人はスクリーンの前の作戦科席へと座る。他のクラスも決まったようで、続々と席に着く。作戦科の話し合いで、作戦科長は、Ⅰ-Ⅰの二条という生徒に決まった。二条がマイクを握る。
「今度のコンクールは初の対外試合とあって緊張していると思う。だが、精一杯努力し、勝ちに行こう。化学科は主に動力や弾薬などを、機械科は装備を、情報科は操縦設備を、電気科は回路関係を、建築科は設計と組み立てを行うように。何か不明な点があれば、電話で作戦科へと連絡してほしい。では科ごとに話し合いを進めてくれ」
解散の指示が出されると生徒はノートパソコンやファイルを持ってそれぞれの場所へと向かう。情報科が指示された場所は、小会議室だった。小会議室では他クラスの生徒がすでに携帯番号などを交換している。俺も、数名の人と交換していたら、会議が始まった。情報科に就いた先生は静岡先生だった。
「えーまず、情報科に配属された静岡だ。よろしく頼む。まず、この中から、情報科長を出してくれ。立候補で頼む」
立候補などと先生は言うが、挙手する生徒はいないと思った。だが、いたのだ。島田朱里だった。
「島田か。他にはいないか。いないのなら島田で決定するぞ」
先生がそういうと、あちらこちらからまばらな拍手がおこった。朱里が情報科長になったのだ。そのまま朱里は、情報科長の席へと座り、会議を進める。
「まず、操縦ソフトについてですが、何か良い案がありましたら挙手して発表して下さい」
手がいくつか挙がる
「はい。本当の艦橋のように作ればいいんじゃないでしょうか?」
「いくら予算がもらえるからといってもそれは無理です」
「はい、ゲームのコントローラーを流用すれば?」
「それは良い案ですね」
朱里がキーボードをカタカタと叩く。そのまま、1時間ほど時間が経過する。
「これで、今日の会議は終了します。私は、最後に焦って徹夜で終わらせたくはないので、予定を前倒しでできるよう頑張りましょう」
いかにも朱里らしい目標を掲げた。生徒は私物をもち帰路につく。資料などは明日も使うため、長机の上に乱雑に置かれている。朱里が話しかけてきた。
「この通り情報科長になったから協力よろしくね!!」
ものすごく可愛い笑顔で上目遣いに頼んでくるのだがもはや脅迫にしか聞こえない。怖くなったので言葉を濁し寮へと戻ることにした。朱里はまだ仕事が残っているようだ。寮へと戻ると、風呂へ入り、食事をし、ベッドに入る。デスクトップパソコンから何かの通知音が聞こえたが、気にすることなく寝た。
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