音喜多勇吾の異世界転生

高橋

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序章 ヴォリダラン

風雷魔獣ジャスラック

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さて、一睡もできなかった俺を待っていたのは、ぐっすりと眠るシェルパだった。シェルパを起こすと、おはようと一言だけいい、調理場へと向かっていった。台所ではなく調理場なのは、広いからである。シェルパが朝食を作っている間、水晶球で、情報を見ていた。更新されている。
『王国陸軍が到着したが、風雷魔獣ジャルラックの結界により、接近は不可』
だめじゃないか、王国陸軍。俺とシェルパで行ってみようかな。
「もしもし、町長ですか。ノルファンへ行きたいんですか、いいですか」
「シェルパもいることだし、よかろう」
と、いうことで俺とシェルパはノルファンへ向かうこととなった。移動手段は学院付属の魔法車。また、風雷魔獣ジャルラックの懸賞金は、9億円らしい。借金を全て返済しても、7億8千万円残る。税金については不安だが、この国の所得税は特殊だ。公共団体指定の懸賞金などの収入、軍人の給与などは、全て免税となっている。つまり、7億8千万円は、すべて俺とシェルパの懐に入る。そんな話をしていたら、シェルパが提案してきた。
「今度飛行船を作りませんか?」
「飛行船?作るのにいくらかかるんだ?」
「私がいるから、風の魔法石がいらない。建造費2億円と年間維持費300万だよ」
それなら作るしかないだろう。格納庫を付けた家も建てればいいことだし。
すると、前方に竜巻と雷が見えてきた。あそこだろうか。サスキアが前方に風の一撃を放つ。竜巻と竜巻が互いに相殺しあって消えた。そこにいたのは、大きさが50mは超える巨大な羽のある黒い獅子だった。思わず俺は、魔法車を走らせる。獅子は、ゆったりとしたスピードであるが、追いかけてきた。俺の作戦はこうだ。機動力は、こちらが有利なので、魔法車で獅子の周りを回りながら走る。正面からでは攻撃がはじかれてしまうので、後ろから攻撃する作戦だ。そのとき、近くで轟音がなった。ジャルラックが電撃を放ってきた。2発目、3発目と明らかに軌道修正している。そして、ついに電撃が車軸を貫いた、と同時に魔法車の制御ができなくなる。外に出ようとして、思いとどまった。この魔法車は、魔法攻撃に耐えることができるので、一番この中が安全だ。だが、徐々に大きな足音が近づいてくる。ついに揺れを感じ始めた。そして、車が破壊され、俺たちは外に出ざるをえなくなってしまった。そして、俺たちとジャルラックの目が合ったとき、ジャルラックが急に怯え始めた。そして、驚愕の事実に気づいた。ジャルラックの額に、シェルパとの精霊契約時の魔法陣が描かれていたのだ・・・・・
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