音喜多勇吾の異世界転生

高橋

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序章 ヴォリダラン

俺の屋敷

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魔法陣が描かれていた。そう、魔法陣が描かれていたのだ。これは、契約をしたときにしか描かれない。しかも、高度な契約は、人それぞれ紋様が違うのだ。俺の紋章だった。風雷魔獣ジャルラックにも、同じ紋様が描かれているということは、精霊契約か、使い魔契約をしたということになるのだが。
腕の紋様を見せながら話しかける。
「おい、風雷魔獣ジャルラック、なぜ額に魔法陣が描かれている?」
「それの紋様は、我が長年探し続けた紋様・・・・・あなたが私の主でしたか」
「まあ、そういうことになるのだが、仲間になってくれるのか?」
「もちろんだ、それが我の望み。我は空を飛べるゆえ、役に立つと思うぞ」
「じゃあ、よろしく頼んだ。けどなんで、この町を破壊していたんだ」
「それは・・・・・我を操ろうとしていたのだ。信じてもらえぬかもしれないが、地下へ潜ればその痕跡が残っているはず」
なるほど、そういう事だったのか。そして、おれはジャルラックの背にのった。ジャルラックの飛行能力は高く、北城壁まで30分ほどで着いてしまった。時速80kmだ。だが、思っていた通り、周りを兵士に囲まれる。
「なにものだ、まっま、まさかこいつは・・・・風雷魔獣!!」
「おい、基地長をよべ、大至急だ」
俺は、声をかける。
「心配には及びません。分校長を呼んでください。あとこれ、身分証明書です」
「なるほど、怪しいものではないな。だが魔獣はどうやって従えた?」
「使い魔契約を結びました」
嘘になるのだが、本当のことを言ったら怪しまれる。仕方がなかった。風雷魔獣は、一度調査のため軍に預けた。そして、俺は町長の執務室へ呼び出された。
「音喜多勇吾君、君の従えてきた風雷魔獣ジャルラックの件なんだが、現在の調査で、ノルファンが操ろうとしていたのは分かっていので、賠償金などはない。また、懸賞金だが、従えたという事で、9億円が支払われる。しかし、君が望めば、5億円が追加される」
「どういうことですか?」
「有事の際には、魔獣が協力することだ」
なんだ、そんなことか。俺はもちろん協力する。
「こちらこそお願いします」
「あと、国王から、屋敷とジャルラックの格納庫が支給されている。建設予定地へ案内する」
そういって、役所から出た俺は、山の上の平地に案内された。もうすでに建設が始まっている。はやいなぁ。そんなに危険なのか、ジャルラックは。
「まあ、魔法を使うから、1ヶ月ほどで、完了すると思う。それまで寮にいてくれ。私はこれで失礼する。自分の希望を伝えておくといい」
俺の希望か、シアタールームはほしいな。
「すみません、建設のことなんですが、シアタールームをつけてください」
「分かりました。場所はどのあたりにしますか」
そのあと、2時間ほど責任者、俺、シェルパ三人で話し合った。
大体の屋敷の構造が決まった。地上3階、地下1階で内部はアンティーク調で
1階部分が大広間と魔法学院へのテレポーター、客室など
2階部分が調理場、俺とシェルパの食事場、シェルパの寝室(使わないだろうが)
シェルパの私室、倉庫、シアタールームなど
3階部分が俺の私室、俺の寝室、展望室、金庫などだ。
けれども、1ヶ月で家を建てるとは、恐れ入る。魔法はやはりすごい。
「じゃあ俺たちはそろそろ帰ります」
「じゃあテレポーターを使うといい、便利だから最初に建てたんだ」
「ありがとうございます」
俺とシェルパは魔法陣の上に立ち、ボタンを押す。すると、眩い光で目が見えなくなった。気づくと、分院本棟のロビーにいた。いやはや、便利な機能だ。
そのまま、分院長室に赴き、報告をした。
「そうだ、君は、魔法学院南部統括委員の委員に推薦された。君が希望すれば、
委員になることができる」
「それは違う学院に移籍ですか?」
俺はもはや、王都への移籍よりもこの町で暮らしたい。屋敷手に入れたしな。
「いや、所属はこの分院だが、2ヶ月に一回の委員会や、有事の際の臨時会に収集されたときに行くだけだ」
なるほど、それならやろう。
「分かりました、やります」
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