朔の生きる道

ほたる

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身体測定

山本先生に着いて医務室に向かう。
校内探検の初っ端に来た時には置かれてなかった身長計や体重計が入ってすぐに有り、パーテーションの位置が変わって部屋の置くが仕切られていた。

首席番号順に身長と体重を測り、骨密度測定をした後に視力検査と奥のベッドで、病院から来ていた看護師が心電図を測り、最後に医師の診察を受ける流れらしい。

「貝塚くん、こっちの車椅子に移るよ。」

医務室の先生が、聖の腰を持ち上げるように補助し、指された車椅子に移動し車椅子を押されてスロープのようになった体重計に乗った。
初等科の時にも車椅子の子たちは、車椅子ごと体重計に乗り測った体重から車椅子の重さを引いたものが、『私の健康カード』という健診記録の紙に記入されていく。

「瀬咲くん、身長測るよ。」

俺も医務室の先生に誘導されて身長と体重を測り、骨密度測定の場所に移動した。

「瀬咲くん、椅子に腰掛けてね。足の装具今だけ外しちゃうね。」

医務室の先生に左足の装具を外され靴下を脱がされると、くるぶしに冷たいジェルを塗り付けられた。

「この機械に足を入れてね。少し押される感じがするけど動かないでね。」

先生が機械を操作すると、足首を挟み込むように動き始め測定終了の機械音がした。
足首に付けられていたジェルを拭き取られ、靴下と装具を履かされると、橘先生が迎えに来て視力検査の場所まで誘導された。

「朔くん、眼鏡掛けよう。」

俺が手に持つタイプの黒いスプーンのような物を長時間持っていられないからか、橘先生が片方に黒いレンズを入れた眼鏡をかけに来た。
手に麻痺が残ってからは毎回コレを使って検査をしているから分かってはいたけど…。
似合わねぇよなぁ…。

「はじめますね。…コレは?」

「右。」

「次コレね。…少し難しいかな。」

「上。」

「うん。いいですね。コレは?」

前まで見えていたはずなのに目が霞んだようなボヤけるような感覚があって、案の定私の健康カードには、少し落ちた数値が記入された。
やっぱ目悪くなってた。
眼鏡とか似合わねぇから絶対嫌だな。
この時の俺は、コレが新たにできた腫瘍のせいだなんて、これっぽちも想像していなかった。

「次心電図だよ。上の体操服を脱いでシャツだけになってね。」

「はぃ…。」

2床ベッドが並んでいて、順番に2人が心電図を取れるようになっていた。
俺は手に力が入りずらくて、モタモタと体操服を脱いでいると丞が先に心電図を測り終わってしまった。
後から来た周が、服を脱いで準備している俺に話しかけて来た。

「夕陽は心電図パスするんだって。どうせ取っても悪いの分かってるからしなくていいって。」

「そう言ってたの?」

「うん。さっきね。」

医務室を見回すと視力検査をしている夕陽と目が合い手を振られた。

「瀬咲くん、準備できた?ベッドに寝転ぶよ。」

「ぁ…はい。」

ベッドに寝転ぶと胸に電極を貼り付けられ、手首と足首を大きな洗濯バサミのようなもので挟まれた。

「測定中は、ゆっくり呼吸しててね。」

看護師さんに言われなるべくゆっくり呼吸をした。

「はい。いいですよ。次は先生の診察だから、服を着たらパーテーションの前の椅子に座って待っててね。」

「朔くん、足の装具着けるね。」

服を着ていると田渕先生が来て足に装具をはめてくれた。

「このぐらいのキツさで大丈夫?」

「うん。大丈夫。田渕先生、手際いいね。」

「ありがとう。ここの椅子に座っててね。」

パーテーション前の椅子に座っていると朝陽が来た。

「朔に追いついた。」

「順番前後したからね。…俺着替えんのおせぇから。」

「だな。」

「…肯定すんなよ。」

「ははは。それより医師ってどんな人だろうね。」

「たいてい真白病院の医師だろ。」

「まぁ…青葉と提携してるからね。若い人かな。」

「いやぁ…こういう所に診察に来るのはおじさん先生だろ。」

朝陽と話しているとパーテーションが少し開かれ、診察に入っていた周が出てきた。

「瀬咲さんどうぞ。」

中から看護師に呼ばれ、よろよろと椅子から立ち歩き始めた所で、パーテーションの中に居た医師にガシッと腰を抱えられた。

「ぅお……びっくりした。……東雲先生か。」

「おじさんじゃなくて悪いね。それより転けるよ?クラッチは?」

「……学校だと歩行器使ってるけど、今は教室。」

「まぁいいか…。椅子に座って。」

朝陽との会話が聞こえていたようで、呆れた顔をした東雲先生に椅子まで連れて行かれた。

「まさか東雲先生が来てると思わなかった。」

「今日は代理だよ。本当は秦先生が来る予定だったんだけどね。」

「……ふぅーん。」

茶封筒の中の紙を見ながらくるくるペンを回し、私の健診カードを見ている東雲先生。
秦先生は、基本穏やかで落ち着いた雰囲気があるが、東雲先生は仕事ができるイケメン医師ってイメージだ。
ペンを回してるだけで無駄にイケメンオーラを感じる。

「……体重落ちたね。」

「……え?」

「体重。自覚なかった?」

ボーと見とれていたから何を言われたのか全く理解が追いついていなかった。

「……許容範囲。」

「近々定期入院だと思うし、秦先生にしっかり治療してもらって。聴診するよ。」

首にかけていた聴診器を掌で温めするりと服の中に滑り込ませた。

「はい、後ろ。」

傍に控えていた看護師さんに椅子を回転され、背中に聴診器を当てられ、背骨も撫でるように触診された。

「首触るね。……口開けて。」

首筋を触診され、喉も診ると「はい。いいよ。お疲れ様。」と健診終わりを告げられた。
パーテーションの中に橘先生が迎えに来て、一緒に教室まで戻った。


「朔、帰って来た。」

夕陽が真っ先に俺の元へやって来た。

「東雲先生で驚いたよね。」

「うん。秦先生の代理って言ってた。」

「…秦先生が来てくれてたら良かったのに。」

「東雲先生になんか言われた?」

「いや、言われたというか緊張して発作起きるかと思った。」

「それはヤバい。でも病院以外で先生に会うとめっちゃ緊張するよな。」

「そう!心の準備が出来てないのに不意を突かれたっていうか…。」

「だよなぁ。」

夕陽と盛り上がっていると、全員の健診が終わりみんな教室に戻って来た。

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