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中等部へ進級
年1の辛い日
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合併症予防の注射
前日の服薬編
「朔、ご飯食べたらこの薬も胃ろうから入れるね。」
朝ご飯を食べていると母さんが、普段見ることのないオレンジ色の粉薬を見せて来た。
「何それ…。」
「…明日受ける注射のための薬。」
「えっ?!明日だっけ…。」
「そうだよ。今年も頑張ろうね。」
毎年1回だけ受けるこの注射は、排泄器官等で頻繁に感染症を起こしてしまう俺が、悪化して合併症にならないようにするための大切な注射だ。
陰茎付近に3箇所打つ物で、言葉では言い表せないくらいに痛くて辛い治療だった。
「明日から入院?!」
「そうだよ。秦先生と相談して自分で日にち決めたんでしょ。辛いのは3日間だけだよ。」
そうは言っても嫌な物は嫌だ。
元々ない食欲が更に落ち早々に食事をやめた。
「朔、もう食わねぇの?」
前に座る浬に声をかけられ頷いた。
浬がバンドを外してくれて、学校に行く準備をする為に部屋に戻った。
母さんが車で学校に送ってくれる車内で、今朝も1人賑やかな聖が話かけて来るけど、いつもみたいに笑ってつっこんでやる気力が湧かない。
「聖、朔が調子悪そうだったら橘先生に伝えてあげて。」
「分かった。今朝だよね?あの薬の日。」
「そう…。気分転換になるから学校には行きたいみたいだから、よろしくね。」
「はーい。」
母さんは、心配だから休ませたいって言ってたけど、家に居るとうじうじと注射の事ばかり考えて憂鬱になるから学校に行きたいって言ったら、橘先生に電話してくれて山本先生も熱がないならおいでって言ってくれたから、いつも通り登校できる事になった。
学校で友達と過ごしている方が気が紛れて良い。
「着いたよ。…朔、少しでも具合い悪いと思ったら先生に言ってよ?すぐ迎えに来るから。」
聖の車椅子を車から降ろしながら、母さんは心配そうに眉を顰めた。
俺の注射の日は毎回、有休を取ってずっと家に居てくれていた。
「うん。分かってる。…行って来ます。」
「行ってらっしゃい。」
いつもより重たい足を引きずり玄関に行くと、橘先生が迎えてくれた。
「朔くん、おはよう。シューズ履き替えようか。」
「…はようございます。」
下駄箱脇にあるベンチに座り、足首を固定する靴のマジックテープを力の入りにくい手で掴み腕の勢いをつけて剥がす。
外履きから内履き用のシューズに履き替え、廊下の手すりに掴まり医務室に向かった。
医務室にいた田渕先生にハート手帳を渡した。
「…なるほどねぇ。今日から入院になるの?」
「…はぃ。たぶん早退すると思います。」
「了解です。少しでも体調悪くなって来たら教えてね。」
「はい…。」
田渕先生と話す時は、まだ少し緊張してしまう。
中等部に上がってからの排泄処置は、まだ橘先生しかして貰った事がないけど、橘先生が居ない時は田渕先生がすると思うと、信頼関係を築けていないからか不安しかない。
教室に行くと聖と丞が、ジョイントマットの上に座り、その傍らに聖の車椅子と丞のクラッチが無造作に床に転がっていた。
「どしたっ?!聖、転けた?」
「転けてないよ。丞が車椅子が倒れた時にどうやって乗ってるかみたいって言うから、実践してたの。」
「…ふぅ~ん、そゆことね。」
「朔?顔色悪くない?」
「…別に、調子悪くない!」
丞に顔色を指摘され、動揺を悟られないように声を荒らげてしまった。
慌てて丞の様子を伺ったが、本人はさほど気にしてなさそうでホッと息をついた。
教室に続々と登校して来たいつものメンバー。
担任の山本先生も来て朝の会が始まり、1日がスタートした。
前日の服薬編
「朔、ご飯食べたらこの薬も胃ろうから入れるね。」
朝ご飯を食べていると母さんが、普段見ることのないオレンジ色の粉薬を見せて来た。
「何それ…。」
「…明日受ける注射のための薬。」
「えっ?!明日だっけ…。」
「そうだよ。今年も頑張ろうね。」
毎年1回だけ受けるこの注射は、排泄器官等で頻繁に感染症を起こしてしまう俺が、悪化して合併症にならないようにするための大切な注射だ。
陰茎付近に3箇所打つ物で、言葉では言い表せないくらいに痛くて辛い治療だった。
「明日から入院?!」
「そうだよ。秦先生と相談して自分で日にち決めたんでしょ。辛いのは3日間だけだよ。」
そうは言っても嫌な物は嫌だ。
元々ない食欲が更に落ち早々に食事をやめた。
「朔、もう食わねぇの?」
前に座る浬に声をかけられ頷いた。
浬がバンドを外してくれて、学校に行く準備をする為に部屋に戻った。
母さんが車で学校に送ってくれる車内で、今朝も1人賑やかな聖が話かけて来るけど、いつもみたいに笑ってつっこんでやる気力が湧かない。
「聖、朔が調子悪そうだったら橘先生に伝えてあげて。」
「分かった。今朝だよね?あの薬の日。」
「そう…。気分転換になるから学校には行きたいみたいだから、よろしくね。」
「はーい。」
母さんは、心配だから休ませたいって言ってたけど、家に居るとうじうじと注射の事ばかり考えて憂鬱になるから学校に行きたいって言ったら、橘先生に電話してくれて山本先生も熱がないならおいでって言ってくれたから、いつも通り登校できる事になった。
学校で友達と過ごしている方が気が紛れて良い。
「着いたよ。…朔、少しでも具合い悪いと思ったら先生に言ってよ?すぐ迎えに来るから。」
聖の車椅子を車から降ろしながら、母さんは心配そうに眉を顰めた。
俺の注射の日は毎回、有休を取ってずっと家に居てくれていた。
「うん。分かってる。…行って来ます。」
「行ってらっしゃい。」
いつもより重たい足を引きずり玄関に行くと、橘先生が迎えてくれた。
「朔くん、おはよう。シューズ履き替えようか。」
「…はようございます。」
下駄箱脇にあるベンチに座り、足首を固定する靴のマジックテープを力の入りにくい手で掴み腕の勢いをつけて剥がす。
外履きから内履き用のシューズに履き替え、廊下の手すりに掴まり医務室に向かった。
医務室にいた田渕先生にハート手帳を渡した。
「…なるほどねぇ。今日から入院になるの?」
「…はぃ。たぶん早退すると思います。」
「了解です。少しでも体調悪くなって来たら教えてね。」
「はい…。」
田渕先生と話す時は、まだ少し緊張してしまう。
中等部に上がってからの排泄処置は、まだ橘先生しかして貰った事がないけど、橘先生が居ない時は田渕先生がすると思うと、信頼関係を築けていないからか不安しかない。
教室に行くと聖と丞が、ジョイントマットの上に座り、その傍らに聖の車椅子と丞のクラッチが無造作に床に転がっていた。
「どしたっ?!聖、転けた?」
「転けてないよ。丞が車椅子が倒れた時にどうやって乗ってるかみたいって言うから、実践してたの。」
「…ふぅ~ん、そゆことね。」
「朔?顔色悪くない?」
「…別に、調子悪くない!」
丞に顔色を指摘され、動揺を悟られないように声を荒らげてしまった。
慌てて丞の様子を伺ったが、本人はさほど気にしてなさそうでホッと息をついた。
教室に続々と登校して来たいつものメンバー。
担任の山本先生も来て朝の会が始まり、1日がスタートした。
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