ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

文字の大きさ
1 / 136
第1章 覚醒

1、『人に命令を下せる』能力の覚醒

しおりを挟む
ごく普通の学生だった。
年齢=彼女いない歴の俺は、普通に友人に恵まれ、家族との仲も良好。
ごくごく普通の人生を歩んでいたはずだ。

ちょっと最近仲が良くなってきた異性に、もう1つくらいキッカケがあれば告白とかできそうだなってくらい距離を詰めていた。
甘酸っぱい青春という時期を送っていた。

大好きだったギャルゲーともおさらばして、もう少しでリアル恋愛で人生が変わるんじゃないかとウキウキした夏休みに突入した学校帰り・・・、


あっけなく俺は死んだのであった。



―――――


「ッ……!?」

俺の脳内に変な記憶があふれ出す。
走馬灯というやつだろうか。
淡い古い映像が目を閉じた時、一瞬夢に出てきた。
だが、そんなことに気を取られる隙など与えるものかと、俺の腹に痛みが走る。

「おう、秀頼。お前のお腹は蹴りやすい位置にあってストレス解消にぴったりやわ」

両親が両方亡くなって独りになった俺を引き取った叔父が上げた足を戻しながら嘲笑う。
パチンコに負けて、酔っぱらった叔父が子供の俺に暴力を振るうのが日課になっていた。
おばさんも、この叔父に恐怖して見て見ぬ振りをする始末。
俺の人生は既に灰色だった。
世界が憎かった。

「やめてよ……、痛いよ……」

涙を流して訴える。
でも、叔父はそんな俺を見てもニタニタと笑うだけだった。

「聞こえねーなっ!」
「ガッ……」

もう1発腹に痛みが走る。
胃液が逆流しそうになるのを必死にこらえる。
3日ほど前に吐き出した時、部屋が汚れたとより酷い暴力を襲った記憶が過り、吐き出すまいと胃液を飲み込んだ。

「やめてよ……、【やめてよっ!!】」

不思議な感覚が走った。
『人に命令を下す』、それを強制させる言霊が、今の一言に乗った感覚があった。

「……おう、やめるわ」
「ああ……?」

そのまま叔父は俺に興味を失ったかの様に動きが静止した。
いままでこんなこと1度もなかった。
意味がわからないが、暴力が襲ってこないことに比べたら100倍マシだった。
『人に命令を下す』感覚が叔父を止めたのではないか?という疑問が湧き出て、もう1回叔父に言葉を投げかけた。

「【この、……部屋から出ていって】」

生意気言うなとまた殴られるだろうかと目を瞑って言うも、暴力は襲ってこなかった。
代わりに叔父が俺から遠ざかる足音が聞こえたのであった。

「え……、えっと助かった……?」

なんでこんなことになったのか、俺は思い当たることが1つだけあったのだ。
これが世間で言われているところの『ギフト』と呼ばれる能力ではないかと……。

『ギフト』とは、ざっくり言うと特殊能力を指す言葉である。
神様から人間に与えられた力という意味を込めたネーミングになっている。
とても希少な能力で有名であり、世間的には『マッチ程度の火を操る』能力であったり、『目で捉えた一瞬をまんま写真といった絵柄で紙にスケッチできる』能力だったりと千差万別である。

もしかしたら俺は『人に命令を下せる』能力というものが発言したのではないか?と頭に思い描いた。




このギフトの覚醒こそがすべてのはじまり。
クズでゲスな人間である明智秀頼という悪魔の男が誕生した瞬間であった。










明智秀頼がギフトを使い他者に命令を下す文章の際は【】を使って表記されます。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...