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第2章 禁断の恋愛
5、十文字理沙(ハッピーエンド)
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「この辺り良いだろう、河原で殴り合うとかさ。青春だよなぁ」
俺の家からすぐ近くにある河原へ来た。
春や夏らへんはよくキャンプの利用者で溢れているところだが、現在は11月の末。
そんな寒い時期に河原を利用する者は不在だった。
「ちっ、お前なんなんだよ!俺ら親友だろ!?なんで理沙を傷つけるようなことするんだよ!?」
「親友?お、おもしれえよなお前……」
タケルの小学生の時から変わらない真っすぐさが、年を取るに連れツボにはまる年齢だった。
「笑い殺す気か!」と突っ込んでおく。
「傷つけるわけねーよな?だって俺と理沙ちゃんは相思相愛なんだぜ?いつまでもシスコンはキモイっての兄ちゃんよ?」
「そうよ兄さん、兄さんは邪魔よ」
「な、なんでだよ!?理沙!?兄妹でも一緒に考えようって誓ったじゃないか!」
「うざい、死んで兄さん」
「なっ……!?」
絵美の調査によれば1週間前、タケルと理沙は告白をし合ったらしい。
気持ち悪いよな?
どんな兄妹だよ?ゲームかってんだ、笑う。
「おう絵美。【タケルをずっと拘束しておけ】」
「わかりました」
「は、離せよ佐々木!?」
俺の『命令支配』を受けた絵美がタケルに抱き着き身体を押さえつける。
どうせタケルは女には手を出せない単純野郎だ。
「理沙ちゃん、兄貴の目の前でイチャイチャ見せつけようぜ」
「そうですね」
理沙ちゃんが先に俺のおでこにキスをする。
うん、時間をかけてっていうのが風情があるねえ。
「触れるなよっ!触れるなよクズ野郎!ゲス男っ!」
「うるせーな、じゃあてめえにはその拘束している女を貸してやんよ。キスでもなんでもしていいぜ」
「お前っ!自分の彼女に何させようとしてんだよっ!?佐々木がするわけないだろう!」
「するんだよ、俺は『人を操る』ギフトを持っているんだから。命令すれば絵美だって理沙だって動くんだよ」
「ぎ、ギフト……!?まさか、理沙がこうなっているのも!?」
「そういうことよ」
遅いよなぁ。
10年間、ずっと俺はギフトを使いまくっていたのに気付かないこの無能はよ……。
親友だなんて口だけだよなあ。
「【おい、理沙。靴を舐めろ】」
「はい……」
理沙が這いつくばり、俺の靴に舌を伸ばした。
嫌でもこれで俺がギフト持ちだというのを気付いただろう。
「卑怯者めっ!何がギフトだっ!?クズがっ!?」
「あのなぁ……、それじゃあお前もクズだろ?お前もギフト持ちなんだから」
「そうだけど……、俺自分のギフト能力わからないし……」
「お前は全てのギフトを無効化する力があるんだよ。『アンチギフト』と俺は呼んでるがな。無自覚にお前もギフト使ってんだよバァカ!そこで指加えて愛した妹の末路を見ておくんだな!」
だが、所詮こいつにしかギフトが効かないだけ。
じゃあ周りの奴らをギフトで奴隷化させていけば良いだけ。
俺のプライドをぐっちゃぐちゃにした10年前を俺は今も忘れていねえ。
「離せよ、佐々木っ!?」
「……」
理沙の体勢を起こし上げる。
ゆっくりゆっくりタケルの尊厳を破壊しつくしてやる。
「理沙ぁあああ!理沙ああああ!!」
うぜえったらねえぜ。
ちょっとスピードを速くして終わらせるか。
「理沙ああああああああ!!りさあああああああああああ!!俺は、秀頼なんかに、絶対に屈さねええええええええええ!!!」
涙を浮かべて絶叫しているのが情けない。
情けなさ過ぎて本当に面白い親友だよな。
「っ!?え?」
「は?」
絵美が拘束したタケルの身体をほどいた。
「ちっ、なにやってやがる!?【絵美!タケルを拘束しろ!】」
「は、はいっ!」
急いで絵美がタケルに触れる。
……が。
「え?だ、誰?……どういうこと?」
絵美が状況がわからないとばかりにタケルから手を離す。
……まさか!?
「どうやら、俺のギフトは進化したようだな」
「っ!?」
「俺の身体に触れた奴はてめえのギフトが解けるみたいだ」
あ、ありえねえだろそんなこと!?
い、今までそんなこと!?
「絵美ぃ!?」
「ひい!?だ、誰ですか!?」
怯えた様子を見せる絵美。
ダメだ、完全に奴隷状態が解けている。
この役立たずの女がああああ!!
「【絵美!!川に飛び込んで死ね!!】」
「なっ!?秀頼、お前っ!?」
「い、いや……、な……、なんでそんなっ……」
絵美の身体が川に身を投げた。
そのまま顔を水面に付けたままだった。
もがくもがくもがく。
しかし、彼女の身体は上がってこない。
「ちっ、てめえに触られたら終いってことか。ギフトが効かなくなるわけじゃねーのか……」
そのまま理沙を連れて逃亡をする。
「させるかよおおおおおお!」
「ガッ!?」
タケルに上からのしかかられてしまう。
こちらの身体が動けなくなる。
「【理沙っ!?タケルを……】」
「死ね!」
「……っ!?」
タケルの暴力が俺の顔面に何回も何回も押し寄せてくる。
何回も、何回も、何回も…………。
★
「もう死んでるよ兄さん……」
「はぁはぁはぁ……」
絵美、そして全てが元凶の秀頼が死んだ……。
「なぁ……、俺ら親友だっただろ……、なんで……。なんでこんなことになるんだよおおおおおおお!!!」
河原一帯に、少年の怒りが木霊した。
後悔の念が、いつまでもいつまでも響くのであった……。
―――――
「はぁ……」
昨晩の夢は原作における理沙ハッピーENDの内容である。
通称・禁断の恋愛ルートである。
あまりにも救いのないエンディングであり、やるせないものである。
「十文字兄妹に会ったせい……かな」
BADENDになると、絵美の死亡後に理沙を連れた秀頼が逃亡をしてしまいタケルが取り逃がしてしまう。
次の日、理沙が遺体となって発見されるという内容である。
まあ、その後日談で秀頼もタケルに殺害されるのであるが……。
「って、やっぱり秀頼のキャラ改めて見返すと本当にやばいってええええええええ!!!!あああああああああああああ!!!!!」
しかも雑に絵美も殺害されてるし。
分岐もせめて絵美が死亡する前でしてやれよとは思う。
変に絵美と関わったことにより、絵美にも感情移入している俺であった……。
俺の家からすぐ近くにある河原へ来た。
春や夏らへんはよくキャンプの利用者で溢れているところだが、現在は11月の末。
そんな寒い時期に河原を利用する者は不在だった。
「ちっ、お前なんなんだよ!俺ら親友だろ!?なんで理沙を傷つけるようなことするんだよ!?」
「親友?お、おもしれえよなお前……」
タケルの小学生の時から変わらない真っすぐさが、年を取るに連れツボにはまる年齢だった。
「笑い殺す気か!」と突っ込んでおく。
「傷つけるわけねーよな?だって俺と理沙ちゃんは相思相愛なんだぜ?いつまでもシスコンはキモイっての兄ちゃんよ?」
「そうよ兄さん、兄さんは邪魔よ」
「な、なんでだよ!?理沙!?兄妹でも一緒に考えようって誓ったじゃないか!」
「うざい、死んで兄さん」
「なっ……!?」
絵美の調査によれば1週間前、タケルと理沙は告白をし合ったらしい。
気持ち悪いよな?
どんな兄妹だよ?ゲームかってんだ、笑う。
「おう絵美。【タケルをずっと拘束しておけ】」
「わかりました」
「は、離せよ佐々木!?」
俺の『命令支配』を受けた絵美がタケルに抱き着き身体を押さえつける。
どうせタケルは女には手を出せない単純野郎だ。
「理沙ちゃん、兄貴の目の前でイチャイチャ見せつけようぜ」
「そうですね」
理沙ちゃんが先に俺のおでこにキスをする。
うん、時間をかけてっていうのが風情があるねえ。
「触れるなよっ!触れるなよクズ野郎!ゲス男っ!」
「うるせーな、じゃあてめえにはその拘束している女を貸してやんよ。キスでもなんでもしていいぜ」
「お前っ!自分の彼女に何させようとしてんだよっ!?佐々木がするわけないだろう!」
「するんだよ、俺は『人を操る』ギフトを持っているんだから。命令すれば絵美だって理沙だって動くんだよ」
「ぎ、ギフト……!?まさか、理沙がこうなっているのも!?」
「そういうことよ」
遅いよなぁ。
10年間、ずっと俺はギフトを使いまくっていたのに気付かないこの無能はよ……。
親友だなんて口だけだよなあ。
「【おい、理沙。靴を舐めろ】」
「はい……」
理沙が這いつくばり、俺の靴に舌を伸ばした。
嫌でもこれで俺がギフト持ちだというのを気付いただろう。
「卑怯者めっ!何がギフトだっ!?クズがっ!?」
「あのなぁ……、それじゃあお前もクズだろ?お前もギフト持ちなんだから」
「そうだけど……、俺自分のギフト能力わからないし……」
「お前は全てのギフトを無効化する力があるんだよ。『アンチギフト』と俺は呼んでるがな。無自覚にお前もギフト使ってんだよバァカ!そこで指加えて愛した妹の末路を見ておくんだな!」
だが、所詮こいつにしかギフトが効かないだけ。
じゃあ周りの奴らをギフトで奴隷化させていけば良いだけ。
俺のプライドをぐっちゃぐちゃにした10年前を俺は今も忘れていねえ。
「離せよ、佐々木っ!?」
「……」
理沙の体勢を起こし上げる。
ゆっくりゆっくりタケルの尊厳を破壊しつくしてやる。
「理沙ぁあああ!理沙ああああ!!」
うぜえったらねえぜ。
ちょっとスピードを速くして終わらせるか。
「理沙ああああああああ!!りさあああああああああああ!!俺は、秀頼なんかに、絶対に屈さねええええええええええ!!!」
涙を浮かべて絶叫しているのが情けない。
情けなさ過ぎて本当に面白い親友だよな。
「っ!?え?」
「は?」
絵美が拘束したタケルの身体をほどいた。
「ちっ、なにやってやがる!?【絵美!タケルを拘束しろ!】」
「は、はいっ!」
急いで絵美がタケルに触れる。
……が。
「え?だ、誰?……どういうこと?」
絵美が状況がわからないとばかりにタケルから手を離す。
……まさか!?
「どうやら、俺のギフトは進化したようだな」
「っ!?」
「俺の身体に触れた奴はてめえのギフトが解けるみたいだ」
あ、ありえねえだろそんなこと!?
い、今までそんなこと!?
「絵美ぃ!?」
「ひい!?だ、誰ですか!?」
怯えた様子を見せる絵美。
ダメだ、完全に奴隷状態が解けている。
この役立たずの女がああああ!!
「【絵美!!川に飛び込んで死ね!!】」
「なっ!?秀頼、お前っ!?」
「い、いや……、な……、なんでそんなっ……」
絵美の身体が川に身を投げた。
そのまま顔を水面に付けたままだった。
もがくもがくもがく。
しかし、彼女の身体は上がってこない。
「ちっ、てめえに触られたら終いってことか。ギフトが効かなくなるわけじゃねーのか……」
そのまま理沙を連れて逃亡をする。
「させるかよおおおおおお!」
「ガッ!?」
タケルに上からのしかかられてしまう。
こちらの身体が動けなくなる。
「【理沙っ!?タケルを……】」
「死ね!」
「……っ!?」
タケルの暴力が俺の顔面に何回も何回も押し寄せてくる。
何回も、何回も、何回も…………。
★
「もう死んでるよ兄さん……」
「はぁはぁはぁ……」
絵美、そして全てが元凶の秀頼が死んだ……。
「なぁ……、俺ら親友だっただろ……、なんで……。なんでこんなことになるんだよおおおおおおお!!!」
河原一帯に、少年の怒りが木霊した。
後悔の念が、いつまでもいつまでも響くのであった……。
―――――
「はぁ……」
昨晩の夢は原作における理沙ハッピーENDの内容である。
通称・禁断の恋愛ルートである。
あまりにも救いのないエンディングであり、やるせないものである。
「十文字兄妹に会ったせい……かな」
BADENDになると、絵美の死亡後に理沙を連れた秀頼が逃亡をしてしまいタケルが取り逃がしてしまう。
次の日、理沙が遺体となって発見されるという内容である。
まあ、その後日談で秀頼もタケルに殺害されるのであるが……。
「って、やっぱり秀頼のキャラ改めて見返すと本当にやばいってええええええええ!!!!あああああああああああああ!!!!!」
しかも雑に絵美も殺害されてるし。
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