ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

文字の大きさ
23 / 136
第3章 賑やかし要員

5、地雷

しおりを挟む
「なるほど、なるほど……」
「お互いに同じ世界からこのゲームの住人になったみたいね」
「俺だけこの世界に来たのか、とも思ったがもしかしたら俺ら以外にも、元メタフィクションの住人の奴も存在の可能性はあるな」
「そうね。関係ないけど急に『メタフィクションの住人』とかいう単語が出て驚いたわ」
「じゃあ横文字NGだね」

川を眺めながらの情報交換は終わった。
お互いに惨劇回避という目的のために考察などを時間をかけてする必要がありそうだ。
……というか、あれ?
なんか似た会話をどっかでしたことあるな?

「私たち以外の元メタフィクションの住人を見つけたらお互いに報告し合いましょう」
「わかった。関係ないけど急に『メタフィクションの住人』とかいう単語が出て驚いたぜ」
「じゃあ横文字NGですね!それでは、またお話をしましょう」
「そうだな」

気にくわない女だが、重要な存在であることは間違いなさそうだ。
お互い様であるが。
というか、やっぱり聞き覚えのある会話な気がする。
んー、多分かなり前。

「そういえば、ずっと気になっていたことがある」
「何かしら?」
「元の世界でも女なんだよな?」
「そうですよ」
「……『悲しみの連鎖を断ち切り』って萌えゲーだけど全部したんだな……」
「…………」

女の子とイチャイチャワイワイするギャルゲー『悲しみの連鎖を断ち切り』シリーズ(言うほどイチャイチャしてかな?)。
俺の知り合いの中でもこのゲームをプレイしている女子とか聞いたことなかったので結構驚いている。

「どうでも良いでしょ!同盟は組んだけど、私の中身にまでは干渉しないで!」
「え?ど、どうしてキレたんだよ……?」
「そんなこと言ったらあんたは萌えゲーしていたオタってことよね?」
「はぁ、それは否定しないが……」

それ以外何者でもないが……。

「さよなら、デリカシー無さすぎて最悪。さぞモテないキモオタ人生だったんでしょうね!」
「否定はしないが……」
「ポジティブムカつく!帰る!」
「?」

急にヒステリーを起こして走り去っていく津軽。
あんなにキレる意味がわからん。
オタ同士なら語り合いたかっただけなんだが……。

「嫌われたな……」

なんかヤバイ地雷を踏んでしまったらしい。
オタク隠してた系女子なのかもしれない。
原作の魅力について語り合える仲間が増えたと思ったのに残念だ。

「帰るか……」

1人で河原で黄昏るのも良いが、時間の無駄なので帰ることにする。
川を抜け出し家に向かっていると帰宅途中の絵美を発見した。

「おーい、絵美!」
「あっ、秀頼君」

気付いた絵美は足を止めて、俺は走って絵美のところへたどり着く。

「もう、なんで今日は一緒に帰ってくれなかったのー?」
「朝に、テレビで河原にツチノコが出たとかニュースになってたから探してた」
「もしかしてツチノコ見つかった!?」
「いや、ツチノコは見付からなかったけど学校でドラゴンは見付けた」
「ドラゴン!?凄い!見たい、見たい!」
「じゃあ明日だな」

明日俺が出会ったシスコンドラゴンでも紹介してやろうと思った。
というか、ツチノコもドラゴンも疑わない純粋さが眩しい。

「本当に絵美は可愛いなぁ」
「えへへへ」

絵美の頭を撫でながら、この子を悲劇に巻き込ませるものかという想いが溢れ出す。
いつの間にか、絵美という存在も俺にとって妹みたいな存在になっていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...