ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

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第3章 賑やかし要員

9、豊臣光秀からの誘い

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「ぅぅぅ……」
『ん?大丈夫?』

机でうなだれていると男の声がした。
顔を上げて見ると、豊臣君が心配そうな顔をしていた。

「君、去年吉田と一緒居て倒れてた子だよね。俺、豊臣光秀覚えてる?」
「覚えてます!」
「お、おう。元気っぽいな」

豊臣君が私の前の人の席を占領し、私に身体ごと向けてきた。

「来栖由美さんね、前に名前を聞きそびれてたからさ。よろしく来栖さん」
「よ、よ、よろしくお願いいたします!」

ペコペコ頭を下げた。
豊臣君から私に会話をしてくれた事実が嬉しくてたまらない。
心が浄化されていく。

「吉田に少し聞いてたけど、病弱なんだって?」
「は、はい……。お恥ずかしい限りです……。近々手術する予定です……」
「え?結構ヤバイんじゃ?」
「いやいや、年一くらいでよくあることなんで!平気です!」
「そっか、来栖さんは強いね」

剣道部最強だった人に強いと言われて恥ずかしくて、多分顔が赤くなっている。
まともに、豊臣君の顔が見れない。

「豊臣君は、ケガして部活やめたみたいですけど、何してるんですか?」
「あ、あぁ。恥ずかしいな……、ケガしちゃったの知られてたなんて。ちょっと肩を酷使し過ぎてやっちゃってさー」

包帯こそ巻かれていないが、豊臣君の右腕が肩より上に上がることはもうない。
授業で挙手する時も左腕を使っているくらいだ。

「最近は手品にはまってるんだ。剣の道は閉ざされて腐ってたけど、新しいことやろうって思い付いてさ最近はトランプにはまり中」
「見たい!」
「え?」
「豊臣君のトランプ手品見たいです!」

驚いた顔をする豊臣君。
でも、すぐ後に嬉しそうに笑った。

「じゃ、じゃあさ次の週末とか空いてるかな?カラオケボックスとかで手品見せられるけど」
「行く!」
「は、ははっ。ありがとう来栖さん。じゃあまずはライン交換しよう」

『豊臣光秀』の名前がスマホに現れた。
なにこれ、夢かなんか……?

「これから色々誘って良いかな?」
「誘ってくださいっ!」
「よし、行こう!」

まるで豊臣君が私のこと好きなんじゃないかって妄想が止まらない。

『由美、愛してる』とかなんか、言われたい!

「豊臣君が好き過ぎてヤバイ」
「ハイハイ、好きにしてください」
「最近、美奈子言葉きつくない!?」
「じゃああんたの影響よ」

連絡先をもらった放課後。
部活が休みだった美奈子と一緒に帰宅しながら、豊臣君のことを相談していた。

「1年相談に乗ってあげてるんだから必ず成就させなさいよ。かなり脈ありみたいだし」
「ぅぅぅ……、いざそんなことを言われると死にそう……」
「だから、病弱が死にそう言うな」

しかも、カラオケボックスには美奈子は参加しない。
私だけで豊臣君を相手しないといけない。
よし、がんばるぞ!
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