72 / 136
第5章 鳥籠の少女
28、果たされないイベント
しおりを挟む
「おはようございます、明智さん!」
「おはよう、え……宮村さん」
土曜日、駅前の待ち合わせ場所で立っていると、永遠ちゃんから挨拶をされる。
ナチュラルに心の中で勝手に呼んでいる永遠ちゃんと呼んでしまいそうになる。
デート本を再現するように早めに着いて、永遠ちゃんを待っていた。
伸ばした薄紫の髪にリボンを巻き、清楚系なワンピースに身を包んだ服装に、制服にはない魅力がぐっと上がる。
オシャレなペンダントも身に付けており、美しい。
ありがとう『悲しみの連鎖を断ち切り』。
こんなクズゲスな悪役親友にこんなイベントを揃えてくれるなんて夢みたいです。
「とても、宮村さんに似合ってるね。イメージピッタリで驚いたよ。とても美人だね」
「え、えぇっ!?そ、そんな私なんて全然美人とか言われるほどじゃないですぅ……」
顔を赤くして、俺の身体を恥ずかしそうに揺らして上目遣いで見てくる永遠ちゃん。
こんなのデートじゃん!
付き合ってるとか勘違いしちゃうじゃん!
じゃん!じゃん!じゃん!
「明智さんの私服姿も格好良いです。私を守ってくれそうで素敵ですよ」
「そ、そうかな……」
素敵いただきました!
神様、ありがとうございます!
俺にギフトを配った黒幕の神様は殺すつもりですが、それでも神様ありがとう!
「宮村さん、マジ天使っす」
「ふふっ、明智さんって面白いよね」
面白いのニュアンスが『変な人だよね?』という意味にも聞こえるが、良い意味で都合解釈しちゃいます。
「ところで明智さん?」
「はい」
「わ、私も絵美とか十文字さんみたいに明智さんを下の名前で呼んでも良いですかね……?その、もっと仲良くなりたいです」
最初は絵美を佐々木さんと呼んでいたが、すぐに打ち解けて名前で呼び合うようになっていた永遠ちゃん。
絵美も、永遠と呼び捨てで呼んでいるみたいだ。
「好きに呼んでください。秀頼でも明智でもゴミクズでも好きにどうぞ」
「じゃあ秀頼さんでよろしくお願いします。ふふっ、秀頼さんって面白いよね」
秀頼って……!
秀頼って呼んでくれた!
原作では終始、明智さんかゴミクズ呼ばわりだった永遠ちゃんが明智秀頼を秀頼って呼んだ!
俺がゲームのプレイヤーなら『は?秀頼死ね』とか言ってディスク叩き割るところだが、俺が明智秀頼なら別。
悪くない体験じゃないか。
「わ、……私も好きに呼んで良いですよ?な、名前とかで呼んでくれたらなー、なんて……」
「エイエンちゃんを名前で呼んで良いの!?」
「え……エイエンちゃん……?」
「あ……」
やべっ、心で永遠ちゃんと呼んでいたのがつい口に出てしまう。
変な目で見られるから訂正しないと!
「永遠って名前なのはわかってるよ!?エイエンちゃんっていうのはあだなみたいなものでー、名前間違ったとかバカにしてるとかは一切なくてね……えーっと……、あの」
宮村永遠のファンの愛称でなんて説明はできない。
発売前のユーザーがトワじゃなくてエイエンと呼び間違えている人も多く、公式側でも1回間違ってしまいOP映像で読み仮名を『えいえん』と表記ミスしたせいで、一気に『永遠ちゃん』の名前が浸透する出来事があった。
愛のある通称なのである。
「良いですよ」
「え?」
「秀頼さんからオリジナルのあだななんて嬉しい!エイエンって呼んでください」
「う、うん。ありがとう、エイエンちゃん……」
「ふふっ、秀頼さんって面白いよね」
永遠ちゃん……、めっちゃ失礼な感じに捉えても良いはずなのに笑って許可までしてくれた。
夢なのか、夢じゃないのか本気でわからなくなる。
「じゃあ、秀頼さん!街を案内して欲しいな」
「OK、やっていこう。最初はどんなとこ行きたい?」
「服買える店とか行きたいなー。秀頼さん、案内よろしくね」
「エイエンちゃん、マジ天使」
「ふふっ、秀頼さんって面白いよね」
俺がリードしながら絵美や理沙がよく行くお気に入りの店に案内していく。
服屋に案内する度にちょっと中に入って、物色して店を出るという形になっていた。
「本当に穴場っぽい店多いですね」
「ちょっとこの辺道多いからね。エイエンちゃんがまた場所わからないなら何回でも案内するよ」
「い、良いんですか!?」
「もちろん、大丈夫だよ」
「秀頼さん、マジ仏様」
「ははっ、エイエンちゃんって面白いよね」
俺の真似までして明るく笑ってくれるのが嬉しかった。
やっぱりヒロインの風格は凄いよ。
理沙もヒロインだけど、やっぱりタケルLOVEという色眼鏡があり、あんまりドキドキしない。
けど、永遠ちゃんはこんな底辺ゴミクズに対してもきちんと向き合ってくれてる感じがして嬉しいんだ。
「次はデパートを紹介するよ。服もたくさんあるし、食料品や本屋とか楽器とかたくさんあるからめっちゃ便利だよ」
「ありがとう、秀頼さん」
なにもかもを新鮮な反応を返してくれるので、色々なことまで紹介してしまう。
その横で、彼女の鳥籠問題をどうすれば解決できるのかを考えても答えが見付からない。
「…………」
「どうかしましたか?秀頼さん?」
「いや、なんでもないよ。ごめん考え事してた。あっ、そうだ!この道通ると絶対ティッシュ配りしてるからティッシュ欲しい時にオススメなんだ」
「本当だ、これは地味に便利ですね」
永遠ちゃんの問題を解決する手段が俺にはない。
やっぱり、俺は主人公なんかじゃない悪役だ。
ヒロインの手助けになんか、なれるわけがないんだ……。
永遠ちゃんの横顔を見ながら考える。
そうだ、タケルじゃないと問題は解決できない。
そういうシナリオになっているんだ。
デパートに入り、目をワクワクと輝かせる永遠ちゃん。
守りたいこの笑顔。
俺には、彼女の手助けになれることすらできない……。
両親を殺害しなかったとしても、勉強を強制される父親の存在。
それが介入してきて、永遠ちゃんは鳥籠へ押し付けられる。
もう、おそらく時間がない。
友達に飢えている永遠ちゃん。
ようやく永遠ちゃんも絵美やタケルなどの友達が増えたんだ。
孤独にさせないには、俺はどうしたら良い?
俺の家の叔父さんみたいに、ギフトを使い意思をねじ曲げるしか方法がないのだろうか?
気乗りしねぇ……。
使う気はサラサラ無いけど、使う選択肢しかないならそうするしかない。
でも、それじゃあ真の意味で解決とは言えない。
永遠ちゃんもそんなインチキな結末を望むとは思えない。
ギフトの使用について考えていると、永遠ちゃんが足が止まる。
「ん?エイエンちゃん?どうしたの?」
「……水着」
「水着?」
デパートの水着が売られた一室で立ち止まっている。
そこには、マネキンが女性の水着を装着していて男の俺は目のやり場に困り、上の天井を見ていた。
「うん。どうしてだろう……?秀頼さんや絵美たちと揃ってプールに行きたいなって……」
「エイエンちゃん、泣いてるよ」
「え?なんで……」
永遠ちゃんにハンカチを渡すと、目元の涙を拭いていく。
その様子を黙って見ていた。
「どうして、こんなにみんなでプールに行きたいって思うんだろう……?おかしいな……。1回もプールに行こうなんて話なんかしたことないのに後悔だけが残ってる……。あの約束、どこに消えたのかな……?」
「…………」
原作の記憶がある、のか……?
津軽円らに連れられてみんなと水着を買いに行く永遠ちゃん本編前のエピソード。
しかし、父親の介入により水着は破かれる。
それを悲しんだ弱みに秀頼が付け入り彼女の両親を殺害する。
結局果たされないプールイベント。
ユーザーからも、『ギャルゲーのクセして永遠ちゃん水着CGないとかバカにしてんの?』『店舗特典で水着着てるからセーフ』とか色々言われていたから俺も印象にある。
結局、永遠ルートでは1回もプールへ行くイベントがないのだから。
「ごめんね、秀頼さん。変な姿見せちゃった。行こっ」
「……あぁ」
「…………」
永遠ちゃんはそそくさと水着売り場から離れて行く。
俺も彼女に着いて行く。
楽しかったデートも、いつの間にかギクシャクしはじめてきた。
†
永遠と書いてトワとかエイエンが入り交じっているので解説。
秀頼目線の地の文では永遠ちゃんと表記されていますが、実際には心の中でもエイエンちゃんと呼んでます。
口に出す時はエイエン、地の文では永遠表記。
秀頼以外のキャラクターが永遠と描いてある際は、トワ呼びをしてます。
現在のところ、エイエンちゃん呼びをするのは秀頼のみ。
「おはよう、え……宮村さん」
土曜日、駅前の待ち合わせ場所で立っていると、永遠ちゃんから挨拶をされる。
ナチュラルに心の中で勝手に呼んでいる永遠ちゃんと呼んでしまいそうになる。
デート本を再現するように早めに着いて、永遠ちゃんを待っていた。
伸ばした薄紫の髪にリボンを巻き、清楚系なワンピースに身を包んだ服装に、制服にはない魅力がぐっと上がる。
オシャレなペンダントも身に付けており、美しい。
ありがとう『悲しみの連鎖を断ち切り』。
こんなクズゲスな悪役親友にこんなイベントを揃えてくれるなんて夢みたいです。
「とても、宮村さんに似合ってるね。イメージピッタリで驚いたよ。とても美人だね」
「え、えぇっ!?そ、そんな私なんて全然美人とか言われるほどじゃないですぅ……」
顔を赤くして、俺の身体を恥ずかしそうに揺らして上目遣いで見てくる永遠ちゃん。
こんなのデートじゃん!
付き合ってるとか勘違いしちゃうじゃん!
じゃん!じゃん!じゃん!
「明智さんの私服姿も格好良いです。私を守ってくれそうで素敵ですよ」
「そ、そうかな……」
素敵いただきました!
神様、ありがとうございます!
俺にギフトを配った黒幕の神様は殺すつもりですが、それでも神様ありがとう!
「宮村さん、マジ天使っす」
「ふふっ、明智さんって面白いよね」
面白いのニュアンスが『変な人だよね?』という意味にも聞こえるが、良い意味で都合解釈しちゃいます。
「ところで明智さん?」
「はい」
「わ、私も絵美とか十文字さんみたいに明智さんを下の名前で呼んでも良いですかね……?その、もっと仲良くなりたいです」
最初は絵美を佐々木さんと呼んでいたが、すぐに打ち解けて名前で呼び合うようになっていた永遠ちゃん。
絵美も、永遠と呼び捨てで呼んでいるみたいだ。
「好きに呼んでください。秀頼でも明智でもゴミクズでも好きにどうぞ」
「じゃあ秀頼さんでよろしくお願いします。ふふっ、秀頼さんって面白いよね」
秀頼って……!
秀頼って呼んでくれた!
原作では終始、明智さんかゴミクズ呼ばわりだった永遠ちゃんが明智秀頼を秀頼って呼んだ!
俺がゲームのプレイヤーなら『は?秀頼死ね』とか言ってディスク叩き割るところだが、俺が明智秀頼なら別。
悪くない体験じゃないか。
「わ、……私も好きに呼んで良いですよ?な、名前とかで呼んでくれたらなー、なんて……」
「エイエンちゃんを名前で呼んで良いの!?」
「え……エイエンちゃん……?」
「あ……」
やべっ、心で永遠ちゃんと呼んでいたのがつい口に出てしまう。
変な目で見られるから訂正しないと!
「永遠って名前なのはわかってるよ!?エイエンちゃんっていうのはあだなみたいなものでー、名前間違ったとかバカにしてるとかは一切なくてね……えーっと……、あの」
宮村永遠のファンの愛称でなんて説明はできない。
発売前のユーザーがトワじゃなくてエイエンと呼び間違えている人も多く、公式側でも1回間違ってしまいOP映像で読み仮名を『えいえん』と表記ミスしたせいで、一気に『永遠ちゃん』の名前が浸透する出来事があった。
愛のある通称なのである。
「良いですよ」
「え?」
「秀頼さんからオリジナルのあだななんて嬉しい!エイエンって呼んでください」
「う、うん。ありがとう、エイエンちゃん……」
「ふふっ、秀頼さんって面白いよね」
永遠ちゃん……、めっちゃ失礼な感じに捉えても良いはずなのに笑って許可までしてくれた。
夢なのか、夢じゃないのか本気でわからなくなる。
「じゃあ、秀頼さん!街を案内して欲しいな」
「OK、やっていこう。最初はどんなとこ行きたい?」
「服買える店とか行きたいなー。秀頼さん、案内よろしくね」
「エイエンちゃん、マジ天使」
「ふふっ、秀頼さんって面白いよね」
俺がリードしながら絵美や理沙がよく行くお気に入りの店に案内していく。
服屋に案内する度にちょっと中に入って、物色して店を出るという形になっていた。
「本当に穴場っぽい店多いですね」
「ちょっとこの辺道多いからね。エイエンちゃんがまた場所わからないなら何回でも案内するよ」
「い、良いんですか!?」
「もちろん、大丈夫だよ」
「秀頼さん、マジ仏様」
「ははっ、エイエンちゃんって面白いよね」
俺の真似までして明るく笑ってくれるのが嬉しかった。
やっぱりヒロインの風格は凄いよ。
理沙もヒロインだけど、やっぱりタケルLOVEという色眼鏡があり、あんまりドキドキしない。
けど、永遠ちゃんはこんな底辺ゴミクズに対してもきちんと向き合ってくれてる感じがして嬉しいんだ。
「次はデパートを紹介するよ。服もたくさんあるし、食料品や本屋とか楽器とかたくさんあるからめっちゃ便利だよ」
「ありがとう、秀頼さん」
なにもかもを新鮮な反応を返してくれるので、色々なことまで紹介してしまう。
その横で、彼女の鳥籠問題をどうすれば解決できるのかを考えても答えが見付からない。
「…………」
「どうかしましたか?秀頼さん?」
「いや、なんでもないよ。ごめん考え事してた。あっ、そうだ!この道通ると絶対ティッシュ配りしてるからティッシュ欲しい時にオススメなんだ」
「本当だ、これは地味に便利ですね」
永遠ちゃんの問題を解決する手段が俺にはない。
やっぱり、俺は主人公なんかじゃない悪役だ。
ヒロインの手助けになんか、なれるわけがないんだ……。
永遠ちゃんの横顔を見ながら考える。
そうだ、タケルじゃないと問題は解決できない。
そういうシナリオになっているんだ。
デパートに入り、目をワクワクと輝かせる永遠ちゃん。
守りたいこの笑顔。
俺には、彼女の手助けになれることすらできない……。
両親を殺害しなかったとしても、勉強を強制される父親の存在。
それが介入してきて、永遠ちゃんは鳥籠へ押し付けられる。
もう、おそらく時間がない。
友達に飢えている永遠ちゃん。
ようやく永遠ちゃんも絵美やタケルなどの友達が増えたんだ。
孤独にさせないには、俺はどうしたら良い?
俺の家の叔父さんみたいに、ギフトを使い意思をねじ曲げるしか方法がないのだろうか?
気乗りしねぇ……。
使う気はサラサラ無いけど、使う選択肢しかないならそうするしかない。
でも、それじゃあ真の意味で解決とは言えない。
永遠ちゃんもそんなインチキな結末を望むとは思えない。
ギフトの使用について考えていると、永遠ちゃんが足が止まる。
「ん?エイエンちゃん?どうしたの?」
「……水着」
「水着?」
デパートの水着が売られた一室で立ち止まっている。
そこには、マネキンが女性の水着を装着していて男の俺は目のやり場に困り、上の天井を見ていた。
「うん。どうしてだろう……?秀頼さんや絵美たちと揃ってプールに行きたいなって……」
「エイエンちゃん、泣いてるよ」
「え?なんで……」
永遠ちゃんにハンカチを渡すと、目元の涙を拭いていく。
その様子を黙って見ていた。
「どうして、こんなにみんなでプールに行きたいって思うんだろう……?おかしいな……。1回もプールに行こうなんて話なんかしたことないのに後悔だけが残ってる……。あの約束、どこに消えたのかな……?」
「…………」
原作の記憶がある、のか……?
津軽円らに連れられてみんなと水着を買いに行く永遠ちゃん本編前のエピソード。
しかし、父親の介入により水着は破かれる。
それを悲しんだ弱みに秀頼が付け入り彼女の両親を殺害する。
結局果たされないプールイベント。
ユーザーからも、『ギャルゲーのクセして永遠ちゃん水着CGないとかバカにしてんの?』『店舗特典で水着着てるからセーフ』とか色々言われていたから俺も印象にある。
結局、永遠ルートでは1回もプールへ行くイベントがないのだから。
「ごめんね、秀頼さん。変な姿見せちゃった。行こっ」
「……あぁ」
「…………」
永遠ちゃんはそそくさと水着売り場から離れて行く。
俺も彼女に着いて行く。
楽しかったデートも、いつの間にかギクシャクしはじめてきた。
†
永遠と書いてトワとかエイエンが入り交じっているので解説。
秀頼目線の地の文では永遠ちゃんと表記されていますが、実際には心の中でもエイエンちゃんと呼んでます。
口に出す時はエイエン、地の文では永遠表記。
秀頼以外のキャラクターが永遠と描いてある際は、トワ呼びをしてます。
現在のところ、エイエンちゃん呼びをするのは秀頼のみ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる