ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

文字の大きさ
80 / 136
第5章 鳥籠の少女

36、明智秀頼らは何もしない

しおりを挟む
数日後。
秀頼さんへ空いている日程を教えた当日。

私の元に3人が集まった。
絵美、咲夜、津軽さん。
これが秀頼さんが揃えたメンバーらしい。

「…………秀頼さんは?」
「いえ、今回は要らないので秀頼君は十文字君と理沙ちゃんで帰りました。永遠の事情は大体秀頼君に聞きました」
「秀頼の頼み、永遠のため。ウチ頑張る」
「……まぁ、私は果たす義理はないけど明智君と利害は一致してるから」

津軽さんは、喫茶店の顔合わせで全然絡みがなかった。
わりと秀頼さんに辛辣だった覚えはある。
そのイメージが強くて苦手意識が若干芽生えていた。
でも彼女の言葉を聞くと、秀頼さんに頼まれたから来たのを伺えるが、どんな仲なんだろう……。

秀頼さんも津軽さんに対してはちょっとトゲがあるように見えたので、絵美や咲夜などの仲良しという彼女らとはちょっと違うカテゴリーに入っていそうだ。
考察の域は出ないけど。

「なるほど、あなたが今回のヒロインなわけね」
「ひ、ヒロイン?どういうことですか?」
「気にしないで。私達と違ってヒロインみたいに華があると褒めているの。理沙もヒロインみたいでしょ?」
「い、言ってる意味がよくわかりませんけど……」
「つまり、エイエンちゃん可愛いぃぃぃ!尊い……。女神!天使!…………、そういうことよ」
「どんなテンションなんですか……。サラッとエイエンちゃん呼びしないでください」
「あら、これ明智君専用あだななんだ。宮村さんも意外と独占欲強いのね」

クスクス笑う津軽さん。
その態度と図星を付かれたことでちょっとムッっとする。

「な、なんでこんな胸ぱつんぱつんなの?なんでこんなに肌キレイなの?…………やっぱりヒロインはチート過ぎる。明智君が推しなのわかるわぁ」
「あ、あはは……。ちょっと変なところあるけど円も悪い人じゃないから、仲良くしてね」

絵美がフォローにまわってくれた。
なんとなく悪友な感じの人間関係が見えてきた。

「……ちょっと」
「円?」

そのまま津軽さんは後ろを向き、絵美の耳に顔を近付け、コソコソと耳打ちしていた。

『ぬるいこと言ってると明智君取られるわよ』
『っ!?』

絵美の身体がプルプル震えている。
そして、数秒溜めて爆発させた。

「余計なお世話ですよっ!!」

何を言われたのか、何を言ったら絵美をこんなに感情を揺さぶれるのかわからない。
あの絵美が大声で津軽さんに爆発させた声を出していた。

「お、落ち着け絵美!そういう時は秀頼がなんかしてくれる」
「もう帰ったんだってば!」

咲夜がフォローしようと頑張ったが、大失敗していた。
本当にこの3人で大丈夫なの、秀頼さん……?


ーーーーー


「宮村の悩みを佐々木たちが解決させるみたいなことしてるんだろ?」
「あぁ、絵美らがなんとかしてくれる」
「俺とか秀頼は何もしなくて良いのか?」
「別に何も……。果報は寝て待てと言うし気長に待つさ」

絵美に仕事を丸投げし、俺たちは帰路の道を辿る。
男連中は邪魔だからと言われて、しょげた作戦であったが、津軽という協力者を無理矢理ねじ込んだので、ある程度都合の良い様には動かしてくれるはずだ。

「ところで明智君、聞きたいことがあるの」
「どうした理沙?」

俺の右を歩いていた理沙がウズウズとした顔でこちらの顔色を伺っていた。
そして、俺の左を歩くタケル、真ん中の俺という順番で目を合わせて、口を開いた。

「…………なんで、女子で私だけこっち側なの?」
「気付いてしまったか……」

とある事情があり、男子は今回役に立たない。
しかし、理沙だけが唯一女子なのに、こちらの役立たず枠のメンバーのリストに加えられてしまっていた。

「そんなにたくさん人居てもエイエンちゃんの家に迷惑だろうし……。ぶっちゃけ咲夜か津軽の片方は要らなかったんじゃないかとも今更思う」
「絵美さんたちは何する気なのよ?」
「媚び売り」
「は……?」

俺だけでは思い浮かばなかった案を理沙とタケルにもわかる様にだけ説明をしておく。

「女という武器を生かして、媚びまくっていただきます」
「最低ね……」
「絵美が立案した作戦に、俺の知恵をプラスした。彼女らには頑張っていただきます」
「むしろ、理沙はこちら側で良かったんじゃないか?」
「うん。私もそう思った」
「ゲーセン寄るか?」
「「行く!」」

ハモった返事を見せるタケルと理沙。
兄妹へゲーセンを振ったらノリノリで誘いに乗ってくれたのでこれからゲーセンタイムへと流れていくのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...