ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

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第5章 鳥籠の少女

45、明智秀頼に対する周囲の好感度

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アイリーンなんとかさんの元から猛ダッシュしてデパートの水着売り場へ戻って来た。
既に全員集まっていて騒ぎになる直前だった。

「おい、秀頼?お前どこ行ってたんだよ?」
「はぁ、はぁ、はぁ、……はぁでもはぁい……」
「その息切れでなんでもないことないだろ!?」

はぁはぁと息切れしながら呼吸を整える。

「はぁれは、飲み物……くれ……」
「あっ、はい!秀頼さん」
「ありがとう」

そのままタケルからペットボトルの飲み物を受け取りそのまま口にする。
中身は緑茶だったので、とても飲みやすかった。

「あわわ……」

誰かの慌てた声がする。
どうかしたのかな?
またひったくりでも来たのかと警戒するが、そんな事は起きていなかった。

「はぁ……。旨かった……。ごめんタケル全部飲んじゃった。口付けちゃったけど、許してくれ」

口付けて間接キスをしてしまい本当に申し訳ない。

「は?俺のお茶じゃねーぞ?」
「え?じゃあ誰……のっ!?」

永遠ちゃんが赤い顔をしていた。
ペットボトルをよく見る。
350ミリリットルのやや小さいサイズだ。
タケルは基本500ミリリットルの飲み物しか買わない奴だ。
息切れしていた際とは違う汗が背中から流れる。

「エイエンちゃん!本当にごめんなさい!」
「いえ、あの……」
「ジュース奢ります!なんなら10本買います」
「あら?エイエンちゃんの間接キスは1000円程度?」

津軽からの一言に衝撃が走る。
永遠ちゃんの間接キスが1000円?
そんなに安い筈じゃない。

「俺の人生をあげます。要らないなら臓器を売ってお金にしてください」
「あの……、いえ……、大丈夫です……。間接……口を付けて飲まれる可能性を忘れて条件反射で渡した私が悪いんです……」
「……」

永遠ちゃんは俺の顔を見てなかった。
これ、あれだ……。
こないだの絵美パターンだ……。

また俺は嫌われてしまった……。

「ドンマイ、秀頼」
「咲夜……」
「ウチの缶コーヒーもいる?」
「やめてくれ……」

俺をそんな目で見ないでくれ……。
チクショウ、アイリーンなんとかめ……。
次会ったら絶対に許さない……。

責任転嫁しないとやっていけないぜ……。

「大丈夫ですか?永遠さん?」
「だ、大丈夫です!理沙も気にしないで」

理沙が永遠ちゃんに駆け寄っている。
目の前で慰められているところを見るとよけい凹む。

「恥ずかしいだけで、……嫌じゃないです……」

俺を見てなんかボソッと呟いた永遠ちゃん。
そして同時にゴミクズって思われている目を向けられた……。
本当に驚くくらいに強すぎるゲームの強制力よ……。
タケルに都合良く動くなら、秀頼は地獄に突き落とすという世界の意思を感じる。

「……」

絵美がじっと俺を見ている。
それが気になって俺も絵美を見ている。

「勘違いしてますよ」
「え?」
「でも絶対指摘しない」
「悪魔かよお前……」
「だってライバルだもん」

最近素っ気ない絵美の心境が全然わからない。
ライバルってなんの話?

「もう1回死んだら?」
「津軽……。俺を一生罵ってくれ」
「それは普通にキモい」
「…………」

本当に秀頼の好感度って平均0なんだなってのがよくわかるわ……。
デパート来てから、俺心が死にそう。

「秀頼、ガンバ」
「他人事だな」
「他人事だもん」

このタケルの言葉が1番優しい。
本当に、俺はタケルに惚れそう。
原作では無能とかタイミング最悪男とかネタにしていたのを謝りたくなるほどに良い奴だ。

俺が消えていたことが、俺のやらかしによって既に忘れられていた。
ひったくり犯が刀みたいな物を盗んでいたという話は俺たちの日常からかけ離れている出来事なので危険から遠ざけたと考えれば、俺のやらかしにも価値が出るはずだ。
そう思い込む。
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