ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

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第6章 偽りのアイドル

4、津軽和はガチ説教する

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身に覚えしかないゴミクズ発言ばかりで、少し発言を控えめにしようと誓う。
女子の話のシェア率に泣きそうになった……。

「でも姉者ランクミジンコからハムスターまで上げたんですよね?めっちゃ気に入られてるじゃないですか!」
「そうなん?全然わからん……。逆に姉者ランクの最高は何なの?」
「ピ●チュウです」
「ピ●チュウ……」

確かにネズミだけどさ……。
ミジンコランク以外、全然ピンと来ない。

「ピ●チュウわかりますか?初期は丸くて太ってた電気ネズミです」
「スマブラしてるからわかるよ」

もしかしたら津軽の部屋にはピ●チュウのぬいぐるみとか飾られているかもしれない。
もし、そうだとしたら恥ずかしいだろう。
部屋に入れない理由がわかった気がする。

「そうですか。ちょっと秀頼先輩のことで質問良いですか?」
「おう。スリーサイズ以外なんでも答えるぜ」
「興味ないです。そんな事ばっかり言ってるから周りに舐められるんです。もっと札束で顔を叩いたりして相手にわからせると周りからも舐められなくなります」
「君何歳……?どっからそんな言葉教わるの……?」
「年齢は姉者の1つ下です。知識は父から習いました。『女は舐められたら終わりだ。舐める女になれ!』と常々の教えです。だから私は秀頼先輩を舐めてます」
「舐める女……」
「何呟いているんですか?変態ですね……」
「君もだよ」

変な想像をしてしまっていた。
てか津軽父何者……?
確かにゲームの津軽もだいぶ変態だったけど、変態は遺伝だったか……。
原作の下ネタ担当は明智秀頼や津軽円などが名前に上がりやすい。

「クラスメートで、『頼んだらやらせてくれそうな女子ランキング』で津軽和が堂々の1位でした!やりましたよ」
「あぁ、そんなのあったな。…………1位って誇れるのそれ?」

俺はクラスのおしゃべりな子に投票してた気がする。

「それでは質問しますね。秀頼先輩が得意なことはなんですか?」

突然、面接染みた質問をされる。
頭にパッと浮かんだ答えを口にする。

「ギャルゲーと剣道と手品かな」
「真っ先にギャルゲーをあげるのは最低ですが剣道と手品とは、姉者の好みの異性にめっちゃ当てはまるのではないでしょうか!これ押せばハムスターランクからピ●チュウランク行けますね」
「ピ●チュウいける?本質的なところから嫌われてるんだけど……」
「ハムスターランク取れてる時点で本質は好かれてます」
「そうなの!?」

全然津軽からそんな素振りがないんだけど……。
いや、別にピ●チュウランクは目指してないけどさ。

「姉者の理想は高いし、意味不明なんで……」
「あぁ。剣道が強くて、手品が上手な人。挫折しても立ち上がって前向きになれる様な芯が強い人。私だけが意識していると思ってたらお互いが意識していて、私が倒れた時も優しく直行で保健室に駆け込んでくれる人だね」
「ちょっと処女拗らせ過ぎですね」
「オブラートに包もうぜ小学生」

ゲームの世界だからか、小学生でも言うことが大人染みている。
多分、この『悲しみの連鎖を断ち切り』の世界に来てから出会った女の子の中で、1番口が悪い女だ。
津軽姉とか咲夜とかぶっちぎってるよ。

「でも秀頼先輩が姉者のはじめてを破るんですよね?」
「もうやだこの子……。するわけないじゃん」

津軽家の父親の教育が間違っているのは伝わってきた。

「好きな曲はなんですか?」
「『あなたはチャイルド☆』かな」
「あぁ!あれですね!『あなたはチャイルド☆わたしもチャイルド☆』っていうスターチャイルドのデビュー曲」
「わかってるねー」
「私もスタチャ好きですから」

最近は動画サイトでも知名度を上げにきているスターチャイルド。
今はまだまだ無名だけど、これからグッと行くだろうね。

「実は私、スターチャイルドと同い年なんですよ!」
「えぇ!?すげぇっ!」
「でしょー」
「やっぱスターチャイルドがクラスにいると色んな人からジロジロ見られるだろうなぁ。すげぇな同い年。やっぱスタチャって頭良いの?」
「別に私と同い年なだけでスターチャイルドと学校が同じとかではないですよ!?知り合いでもなんでもないし……。同い年に驚くところそんなないでしょ!?秀頼先輩は根本的に頭バカですよね?」

いつかプライベートな時間にスターチャイルドと会ってみたい。
そう思った。

「ところで、秀頼先輩の手品見たいです!」
「じゃあトランプ貸してよ」

津軽妹からトランプを受け取る。
今日は何にしようかな。

「じゃあここに種も仕掛けもないトランプがあります」
「本当だな?本当に種も仕掛けもないんだな?」
「……はい」

種と仕掛けをバレない様にほどこしながら手品を進める。

「ほら、こうすると……じゃーん」
「あわわわ!柄が変わりましたね!」
「てじなーにゃ」
「は?」
「…………」

津軽妹は手品をしていた時は目が輝いていたのに、てじなーにゃをした瞬間ゴミを見る目付きになる。

「秀頼先輩のボケも突っ込みも普段からだだ滑りしてるのに、これ以上滑ってどうするんですか?」
「……はい」
「ちょっと調子乗ったよね?」
「…………乗りました」
「頼むよ」
「……はい」

このまま年下からガチ説教をされた……。
手品は良かったが、それ以降が理解できない。
そんな内容だった。

「お待たせー、お茶入れてきたわよ」

津軽妹の説教が終わる頃、津軽本人がようやく現れた。
小さいお盆にお茶の湯飲み3つに、市販のクッキーが並べてあった。

「あ!姉者、待ってました」
「どう?明智君と仲良くなれた?」
「はい!秀頼先輩に良くしてもらいました!ボケも突っ込みも面白いです!」
「……」

さっきボケも突っ込みもだだ滑りしていると説教していた舌の根も乾かぬ内に姉に良い顔をする。
「良かったね」「はい!」というやり取りを見てちょっとイラっとした。
多分あれだ。
タケルと同じシスコンだろこの妹。

「じゃあ明智君とお話するから、和は私の部屋に行ってて。乙女ゲーでもしてて良いから」
「わーい」

自分のお茶だけ持って、自室から出て行く津軽妹。
返事が『はい』ではなく『わーい』な辺り、乙女ゲーユーザーか。
小学生でエリート過ぎる津軽和である。

「お待たせ、明智君」
「おう、待ってた」

ようやく津軽と2人っきりになれた。
津軽妹は笑顔で毒を吐くので、嫌みな顔で毒を吐く津軽姉の方がまだ安心感はあった。

「じゃあ、打ち合わせをしましょう」

津軽円から、いつもの打ち合わせスタートの合図が届いたのであった。
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