絶対お兄ちゃん主義!

桜祭

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1章

口説きのイリュージョニスト

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「実は」そんな事を言って影太は彼女いらない俺と彼女持ちの星丸にナンパをする理由を説明してくれるらしい。

「年下の彼女欲しいです!マジ全力で欲しいです!お前ら2人は頷いたり『うんうん』とか相槌うってくれるだけで良いからさ!今日なら行ける気がするんだ!口説きのイリュージョニストのナンパテクを見せてやるからさ!頼む!」

プライドを捨てた土下座だった。
常識のプライドを生贄にした漢のプライドをぶつけてきた。
負のオーラがキラキラに輝いていた。

「えー、どうする達裄?」

星丸のスタンスは俺が行くなら行くと言う他人任せな判断だった。
なんで俺に押し付ける。

「行かないわ」
「頼むよ」
「うーん。行かない」
「なぁ」
「わかったよ、うるせーな。お前のしつこさには参るよ。でも断る」
「頼むってさ!」

なんかRPGの強制イベントみたいに10回以上このやり取りしても終わらなかったので俺が諦めた。
逃げない辺り俺もお人よしだな。


―――――


「いや~迷うなぁ~」

影太が中学生や小学生を眺めてニヤニヤしている。
気持ち悪かったんで3メートルぐらい離れて職質されたら知らんぷりで逃げ出す準備をしていた。

「よし、決まったわ!マジ決めた」

3メートルの距離を縮めて俺達に耳打ちする影太。
ところで失敗した後もこれは続くのだろうか?

「あの1チームだけ隣町の中学の子居るじゃん。あの子達にナンパするわ。着いて来てくれ」

そう言って確かに1チームだけ俺の卒業した棚中じゃない制服の女の子達に狙いを定めていた。
つーかなんで隣町の中学とわかる影太よ。

「おーい彼女達、俺達と遊ばない」

躊躇いなく切り出した影太。
慣れた口だったがもう言及しない。
彼女達はあきらかに俺達3人を怪しい人を見る目であった。

「俺達は全然怪しくないよ。俺は山田影太、よろしくね~」
「うんうん」
「うんうん」

影太の口調を怪しまれない様に俺と星丸で言われた通りのフォローをしておいた。

「あぁ?どうせナンパだろ」
「うんうん」
「うんうん」

気の強そうな女の子が簡単にナンパと見破ったので俺と星丸で言われた通り頷いておいた。
影太の小さい悲鳴が聞こえた。

「も、もしかして私達の体目的ですか?」
「うんうん」
「うんうん」
「……」
「……」
「……」
「ちょっとごめんね~。お前ら来い!」

気の弱そうな女の子からの返事に3人が退いてしまい、これはやばいと流石に影太が撤退命令を出した。

言われた通りにやっているのにどうして撤退命令が出たのか。
とても白々しい態度で集まった。

「お前ら、ふざけてんだろ!」
「うんうん」
「うんうん」
「うわー、ぶん殴りてー」

「こうなったら違う方向に話を展開させてやる。口説きのイリュージョニスト舐めんな」と、なんだかよくわからないがとにかください異名を自称した影太は女の子達に向かい、俺と星丸がそれに着いて行く。
星丸が俺の耳元に素早く現れ、俺に聞こえる様にやって来た。

「ってかさ、まだ何も喋ってない子ずっと達裄の事見てない?」

星丸の小声の言葉に返事する時間もなく女の子達に追い付いてしまった。
あえて気づかない振りをしていたが星丸の指摘で確信をした。
何かを疑うような目で俺を視界に入れる不愉快な視線である。
撤退命令時に気の強い子が「ここから離れよう」と当然の事を言っていたが、その子が他2人を静止させていた。

「ごめんね。いや不愉快な思いをさせる為じゃなくてね、君達だけ違う制服だから困ったのかなーって助けようと思ってたんだよ」
「……」
「……」
「そこで『うんうん』だろうが!ふざけんのいい加減にしろよ!」

口説きのイリュージョニストの異名失格であった。
しかし影太の言っている事は案外まともでそう言われてみれば困っていてここに居るのかもしれない。
影太の考えている事はわからないが、ここで人助けをして女の子達と知り合い彼女まで持っていく下心のある行為なのかもしれない。

「漫才はもういいよ。でもまぁ、あたしら本当に困ってんだよー」
「でも助けてくれるなら甘えちゃおうか」

リーダーっぽい気の強い子の言葉でおとなしめの女の子の警戒も弱まった。
しかし無口の子が俺へ向ける視線はやまなかった。
俺だけに警戒してんのか?
というかあれ?俺も助けなきゃいけない感じかこれ?

「まず名乗っとくよ。あたしは八重坂音ヤエザカオト。この姉妹の長女だ」

ほうほう、友達じゃなくて姉妹だったか。
道理で長女がリーダーっぽかったわけだ。
彼女は性格にとても合いそうな髪型で、髪が襟足に掛かるくらいに短く顔付きもややボーイッシュで男に見えなくもないが見えないぐらいの子で運動が得意そうな気がする。
身長は特に高いわけでもなく低いわけでもない普通な身長である。

「へー、姉妹なんだ」
「おう、あたし達見た目全然違うけど三つ子だぜ」
「は?」

俺達3人、固まってしまった。
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