ひとりも、ふたりも

鈴川真白

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2.憧憬のふたり

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 昼休み、教室で仁の机に向かい合ってサンドイッチを食べていると「放課後って空いてる?」と想から話しかけられた。

「ふっええあいえる!」
「……え?」

 もごもごする口元を押さえながらの答えは想に伝わらなかったらしく、想が眉を下げて首を傾げる。

 待ってのつもりで、俺はもう片方の手のひらを突き出す。慌てて飲み込もうとして、うまく言葉にならない。

 仁が見兼ねたように「待ってくれって」と代わりに話してくれた。

「ちなみにさっきのは、すっげえ空いてるだと思う。匠は何で食べかけのまで詰め込んだの?」
「……間違えたんだよ!」
「どんな間違えだよ」

 仁がバカにしたようにふっと笑ったかと思えば、想もクスクスと笑っていた。俺の視線に気づいて「あ、ごめん」と笑うのを止める。

「想がいきなり話しかけてくるからだろ」
「俺のせいなの?」
「そうだよ。で、放課後は空いてるけど……どっか行く?」

 熱を帯びる頬を気にしながら、想に訊ねる。何もツッコまれないあたり、名前呼びは問題ないようだ。

 想が「そうしよう」と答えてすぐ後に「想! 遅くなってごめん!」と、ざわめきを割って聞こえた。

「渉、今行くから待ってて」

 少し声を張り上げて答える想。こんなふうに声出せるんだな。意識して聞いたことがなかった。

「じゃあ、どこ行くかは放課後決めよう」

 教室の扉まで急ぐ想の背中を見つめながら、俺はパックのジュースを啜った。霧島きりしまがこちらを見て、微かに笑ったような気がした。

「あ、仁に笑ったのか。一瞬俺かと思ってビビった」

 笑いかけられるほど知った仲じゃない。

「まあ、匠も含めてっちゃ含めてなんじゃね。渉とは楽しみの共有してるから」
「何だよそれ?」

 内緒、と口の端を上げて仁はひらひらと教室の外へ手を振った。

「俺も手振っとくか」

 仁に合わせて手を振ると「やほー」とブンブン手を振ってきた。

「ほら、渉も喜んでる」
「よくわかんねえな」

 派手な赤みがかった髪をした霧島と想の組み合わせは、これまでにも何度か見たことがある。それでも、改めて見ると不思議だった。
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