シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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ミレンハン国のトド王妃と赤獅子シモンのダイエット大作戦!?〜美しい公爵令嬢と獣人騎士の身分差恋愛の行方

春の嵐?焼き立てポワソンダヴリル

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 午前中は家庭教師と勉強詰めだったため、今日は遅めに食堂に顔を出したシャルロット。
 アイドルタイムで空いた食堂内の片隅、見知らぬ中年男性二人と向かい合い座っていたユハとアルハンゲルが卓を囲んで話し込んでいた。

「あ、お姫ちゃんだ」

「えっと…お取り込み中かしら?」

「ううん☆お姫ちゃんもこっちおいで~!見て見て!大豆を取り寄せたんだ~」

 卓の上には大きな木箱がいくつか積まれてあった。

「大豆?」

 クライシア大国ではあまり見かけない作物に、シャルロットは驚いた。
 この国では大豆よりも他の豆類が主流で、大豆はあまり普及していない。極東の地域でしか栽培されていないらしい。観賞用としてはお城の庭園内に植えられているようだが。
 気候は魔法で調整できるが土壌が合わなくて育てられないとクロウが以前言っていた。
 喉から手が出るほど欲しかった、あの大豆だ。

「まあ!大豆だわ!ユハ、これどうしたの?」

「このおっさん達は王様の古い友人でボーエンとサムエルって言うんだ。今エスター国で大豆農家をやってるんだ。公爵家とも付き合いがあってね」

  「ユハお坊ちゃまが面白い食堂を作ったって聞いてな、見に来たんだ。お祝いに秋に収穫したばかりの大豆を持ってきたぞ!」

「お肉よりは割安だし、タンパク質源にどうかな?って思ってさ」

「モヤシにすれば栄養たっぷりな野菜にもなるわね」

 長い渡航で保存食ばかりの偏った食事でビタミン不足に陥っていた船乗りや海軍は船の中でモヤシを栽培して栄養を補っていたようだ。

「おや、大豆ですか?それならミレンハン国でも栽培しておりますよ」

 突然シャルロットの背後から声がして、振り返るとグリムが1人立って居た。
 いつからそこに居たんだろうか?足音や気配さえしなかった。

「グリムさん?まあ、そうなの。ミレンハン国から買えないかしら?」

 遠い大陸にるエスター国より同じ大陸にあるミレンハン国から輸入できれば良いのだけど、ふと思い立って聞いてみたが、グリムはニッコリと不自然な笑顔をシャルロットに向けていた。

「もちろん、良いですよ。姫様が我が国に来てくだされば、大豆なんていつでも食べ放題ですよ!姫様がお好きな海鮮類も食べ放題ですよ!」

 ハキハキとした口調に圧される、シャルロットは首を傾げた。

(私がミレンハン国へ行くって旅行でってことかしら?)

「いえ、大豆を食堂の料理に使いたいの」

「姫様はとても働き者なんですね!」

(……んん!?)

 シャルロットは再度首を傾げる。
 そんなシャルロットの肩をポンっと優しく叩き、ユハがグリムの前に立ちはだかる。
 ユハはニコニコ笑って彼に応対する。

「そうですよ~☆お姫ちゃんは働き者でこの食堂の大立者なんです。ヘッドハンティングは困るなぁ」

「ふふ、何のことでしょう?」

 二人とも人当たりの良い笑顔で友好的に会話しているのだが、なんだか狐と狸の化かし合いのようなおっかない雰囲気を肌で感じ悪寒が走る。

「グリム、ここに居たのか?」

 食堂内にゲーテ王子がズカズカと早歩きで入ってきた。
 グリムはハッとした表情をして、またいつもの笑顔に戻りいつもの減らず口を叩く。

「僕はゲーテ王子ほど暇じゃないんです。少しくらい休憩したっていいじゃないですか」

「……お前、ずっと何を怒ってるんだよ?」

「王子の存在自体がストレスです。さっさと騎士団へでも何処にでも戻ってください」

「ああ?じゃあ、最初からこの国に来るんじゃねえよ」

 喧嘩でもしたのだろうか?
 シャルロットはピリピリとした空気が流れる二人の様子を見ていた。

「あ、もう焼けたかな~」

 ユハはその空気を裂くように両手の平をパンっと合わせて鳴らし、慌ただしく厨房へ向かった。
 そして焼きたてのパイを持ってきた。

「ポワソンダヴリルって言うパイだよ。春だから作ってみたんだけど、グリム卿もゲーテ王子様も食べる?」

「魚の形だな……」

 ゲーテ王子が呟いたように、可愛らしい魚の形をしたパイだった。
 中には刻んだルバーブという春の葉野菜がカスタードクリームと一緒に詰まっていた。

「可愛い!」

「ユハお坊っちゃまは本当にお料理が上手ですね」

 ボーエンとサムエルは人の良さそうな人相でニコニコ笑っている。
 ユハが切り分けてくれたパイを食べてシャルロットも笑顔になった。
 ルバーブの酸味とカスタードの甘さがいい塩梅。サクサクとしたミルフィーユのようなパイも香ばしく口説くない甘さで、あっさりとした風味のストレートティーに良く合う。

「ゲーテ王子はどうしてここへ?今は騎士団で訓練中ではないの?」

 隣でパイを食べていたゲーテ王子にシャルロットはジト目で聞いた。
 ゲーテ王子はツンとした態度でそっぽうを向いた。

「あの赤獅子だかなんだか言う野郎が尋常じゃねえ訓練メニューさせるからだ」

「やっぱり貴方サボってるのね?それ食べたらさっさと騎士団のところへ戻ってください」

「お前には関係ないだろ。ウゼェ女だな」

「ウザくて結構です。それと、今朝も肉炒めに入っていたピーマン残したでしょう!お残しはダメって言ったじゃない」

「あーはいはい」

 ゲーテ王子は小言をいうシャルロットを邪険に見ながらパイをパクパク食べた。
 二人の様子をグリムは微笑ましそうに見ていた。

「やっぱりゲーテ王子にはシャルロット姫様のようなしっかりとした女性がお似合いですね」

 ゲーテ王子は怪訝そうな目でグリムを睨んだ。

「だーかーらー、シャルルはただの友達だ。何度言わせるんだ、しつこいぞ!お前ら」

 何の話だろうか?シャルロットは目を点にして、ゲーテ王子の横顔を見ていた。
 ゲーテ王子はため息をつきながらシャルロットと目を合わせた。

「悪ぃ、グリムとかうちの国の連中が、お前を俺の嫁にしたいって変な事言ってるんだよ」

「ええ!?私、グレース様と婚約していますし、幻狼のクロウとも番の契約していますから……無理ですわよ?」

「あはは、モテモテだね☆お姫ちゃん」

 ユハは茶化すように笑った。

「笑い事ではないわ!ユハ」

  「姫様、ゲーテ王子に先日キスしましたよね?うちの王子のファーストキスを奪いキズモノにしたんですから姫様には責任を取ってもらいませんと……」

「それはヤバイね~、王子様もうお嫁に行けないじゃん☆」

 隣で茶々を入れるユハをシャルロットは睨む。

「誤解です!あれは救命処置ですわ!」

 必死に否定するが、グリムは悪徳業者のような悪い顔をしている。

「それからミレンハン国王室の蜂蜜をゲーテ王子が貴女に贈ったのです。これは我が国ではプロポーズや求愛行為と同等。それを受け取ったんですから姫様も王子の愛を受け止めたってことになります。もうすでに我が国の官僚たちはそう捉えて喜んでおられますよ?……まさか、姫様、ゲーテ王子とは遊びだったんですか?」

 グリムは怖い顔でシャルロットに迫る。

「や、ヤクザのようだわ……」

 つい感想が口から漏れる。
 ゲーテ王子も困ったような顔をしていた。

「本当に誤解です!私はグレース様と……」

「グレース皇子との婚約は解消する、と、オリヴィア小国の貴女のお父上や右王様より既にクライシア王へ申し立てがございましたよ?」

「ーーーえ!?」

 *

 応接間でグレース皇子は頭を抱えていた。
 向かいのソファーに座るミレンハン国の王妃ナージャは茶菓子のケーキをハイペースで食べてご満悦そうな顔をしている。
 無言のままのグレース皇子に代わり、隣に座っていたバルキリーが切り出した。

「シャルロット姫を嫁に迎えたいですって?それはあまりに非常識なお願いではございませんか?」

 ケーキに夢中の王妃に代わりミレンハン国の臣下の中年男性が応える。

「よくある話ではございませんか。結婚とは互いの家の利益のためにするものでございます。そもそもクライシア大国がオリヴィア小国の姫を輿入れさせるのもそうでしょう。今クライシア大国では農作物の不作やソレイユ国の内戦により小麦の輸入が不安定になっております、それで農業大国であるオリヴィア小国に目を付けたんでしょう?」

「まあ、レイメイったら対外的にはそんな風に言ってたのね」
 バルキリーは静かに笑う。
 グレース皇子の膝の上に座っている黒チワワはずっと不機嫌そうに唸っている。

「ミレンハン国もオリヴィア小国ほどではございませんが、農業も漁業も盛んです。距離はございますが、魔道具を使えばこちらに新鮮な野菜や魚介類を輸出できます。農業に関する有識者も派遣いたしましょう」 

「だから姫を渡せと?姫は私の婚約者です。どんな条件を提示されても首は縦に振れません」

「姫の親族からは婚約を反故したいと申し出があったのでしょう?彼らも魔人や獣人が存在するおっかないこの国よりも、我が国に嫁がせる方が安心だと仰っておりますよ」

「こちらはそれを受け入れたつもりはございません。直近で起きた事件により心証を悪くさせてしまったが……オリヴィア小国側にも私と姫の婚約を認めてもらうよう尽力するつもりです」

 グレース皇子ははっきりと言った。

「そーだ!そーだ!シャルロットは私の奥さんだ!お前たちはさっさと帰れ!」

 チワワはテーブルの上に飛び乗り尻尾をピンと立ててワンワンと吠えた。
 普段はのんびりとしており温厚なクロウだが、この所やけに神経が高ぶっているように気性が激しく、黄金の瞳に赤みが差していた。シャルロットの幻狼グレイにもやたらと攻撃的だ。
 その異変をグレース皇子も気に留めていた。
 荒ぶるチワワを掴み回収すると、グレース皇子はまた目の前の男を見た。

「あの金髪の可愛らしい娘がオリヴィア小国のお姫様ね。ゲーテも満更ではないようだし、お菓子作りが上手そうじゃない。ぜひお嫁さんに欲しいわ」

「ナージャ王妃、だから……」

 グレース皇子が口を開いた瞬間、バルキリーが声を出して笑った。

「貴女ってば本当に食い意地が張っているのね。十数年ぶりにお会いしますけれど、ご結婚されて随分印象が変わりましたこと。お互い歳ですから仕方ありませんけれど……随分と~大きくなられたわね?社交界では黒海の人魚姫なんてあだ名があったじゃない、あの頃が懐かしいですわね」

 バルキリーはふふんと鼻で笑った。
 バルキリーの煽りにナージャ王妃は顔を真っ赤にしていきり立つ。

 バルキリーとは昔貴族の令息令嬢が通うアカデミーの同級生だった。
 かつては黒海の人魚姫と氷点下の赤薔薇なんて異名を持つアカデミーの二大美女で美しさを競い合っていた。

 今ではすっかり肥満体型のナージャ王妃とは対照的に、バルキリーは美しさやスタイルにも変わりがなく、むしろ以前よりも洗練されて気品や大人の艶めかしさが倍増したような雰囲気。

「子供を八人も産めば誰だってこうなるわよ!」

「ふふふ、関係ないと思うわよ?そんなにケーキをたくさんお食べになるから太ってしまうんですわよね?」

 バルキリーの目線の先にはホールケーキが乗っていた大皿だ。
 ナージャ王妃が一人でペロリと完食してしまったようだ。
 ナージャ王妃の顔がこの上なく真っ赤になる。

「馬鹿にしないで!ちょっと冬太りしただけよ!すぐに痩せるんだから……」

「あら、そう。頑張ってね?」

「相変わらずムカつく女ねえ!今に見てなさい!アンタもクソ旦那も見返してやるんだから!」

 ナージャ王妃は立ち上がりドシンドシンと体重をかけて床を踏みながら扉に向かって歩き出した。

「お、王妃様、どちらへ!?」

「ほっといてちょうだい!」

 ナージャ王妃は部屋を出て行った。
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