シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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シャルロットと精霊博士のサンクスギビング・ターキーデー

ホリデーツリーと美味しい焼きトウモロコシ

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ロレンス学園の校舎の中央には巨大な樫の木があった。

カラフルだったりキラキラとした装飾でデコレーションされており、人や動物を模したぬいぐるみがぶら下がっている。前世でも見たことがあるクリスマスツリーにそっくりだ。
シャルロットは樫の木の下に立って無邪気にはしゃいでいた。

「姫様、あれはホリデーツリーです。こに学園の創立者の故郷であるペレー国は木の精霊を崇拝していて、毎年12月の初めから樫の木を飾る風習があるんです」

後ろに居た騎士のアーサーが教えてくれた。

「へえ…」

ーー学園内は人で溢れていた。

「シャルルさん、はぐれないようにね~!」

「え、ええ」

騎士のアヴィとキャロルが前方を歩き、後方をアーサーが私服で警護してくれている。
一般庶民に扮して、お忍びのお出掛けだったのだがーー美形な男を何人も侍らせ連れ歩いているので、かなり浮いていた。

スノウを抱っこしたエステルは大分先の方へ進んでしまってる。
迷子にならなきゃいいんだけどーーシャルロットはヒヤヒヤしながら彼らの後ろ姿を見ていた。

「んーー?」

ふと窓の外に目をやると、見慣れた黒髪に黒服姿の男に姿が目に留まる。

「クロウだわ……?クロウも学生祭に来ていたのかしら…?今日はベンジーのところで研究のお手伝いって……」

中庭の花壇の側を歩いているクロウの横には深いブラウンの外套を羽織った大男の姿もある。
ーーベンジャミンだ。

「わー!見て見て!牛ー!美味しそうだね~!グレイ~」

シャルロット達から少し離れて行動していたフクシアは紫、赤、緑、オレンジの蛍光色の塗料で塗られた、前衛的なデザインの大きな牛のオブジェを指差して笑う。

「……」

フクシアはグレイの腕を掴んでぴったりくっつく。
フクシアの隣にいたグレイは無表情で黙ってそれを見ていた。

2階には学生が制作した様々なオブジェが展示されている。

「あっ……」

更に先に進むとトウモロコシの巨大なオブジェがあり、隣の屋台で焼きトウモロコシが販売されていた。

「キャロルさん、私、あれが食べたいわ」

「……焼いた…メイズ?ですか?」

クライシア大国ではメイズという名前で近年出回るようになったが、西大陸ではまだまだ珍しい野菜だった。

トウモロコシ丸々一本の芯の部分には串が刺さっていて、串の両端を掴んで持ちやすくなっていた。
焼き目のついたトウモロコシにバターがたっぷりと塗られていて香ばしくいい香りが食欲をそそる。

シャルロットは騎士らの分も買ってあげると、物珍しそうな顔で焼きトウモロコシをみんなは食べていた。

「うんっ、やっぱり美味しいわ~、欲を言えばお醤油を掛けて食べたいわね」

シャルロットは小さな口でトウモロコシにかぶりつき、ニコニコ顔を緩ませた。
一緒に売られていたキャラメル味のポップコーンをフクシアとグレイは仲良く一緒に食べていた。

販売しているのはトウモロコシの品種改良の研究をしている生徒たちのようだ。
シャルロットは、一緒に販売されていた新品種のトウモロコシで作ったコーングリッツも購入した。

(うちへ帰ったら、コーンブレッドでも作ろうかしら)

そんなことを考えながらぼんやり歩いていると、前から足早に歩いていた少女と肩がぶつかった。

「あっ、ごめんなさい……」

「ごめん……」

染髪されたくすんだ金髪ボブカット、耳には沢山のピアスに派手で露出の多い格好のヤンキー少女は一言謝るとそのまま通り過ぎて行った。

「あれは……」

騎士のアヴィは少女の顔を見て目を見張る。

「シャルルさん、ごめん。俺、ちょっと別行動してもいい?急用ができちゃった~」

「ええ、いいわよ」

アヴィはヤンキー少女が消えた方向へ走って行った。

「ううん……、スイーツアートコンテストまで大分時間があるわね?」

「午前中は審査があるので、一般入場は午後からですね」

アーサーは呟く。

「……シャルロット、あれ……」

突然グレイが声を出し、左手にあるフロアを指差した。

『精霊展示会』

看板には大きくそう書かれていた。
気になって入ってみると、大広間にはいくつものガラスのケージが並べられ周りには鑑賞している客がたくさんいた。

ケージの中には元気のない様子の『精霊』が閉じ込められているーー。

「ね、ねえ、あれって…本物の精霊なの?」

「うん……」

グレイは頷く。

「でも、精霊って普通の人には見ることはできないわよね?」

「……あのケージから魔力を感じる。あのケージは特殊な魔道具なんだと思う。それで普通の人間でも精霊が目視できるのかも……」

ケージの中の精霊はみんな群がってくる人間たちに怯えて萎縮し、怖がってる。中には牙を剥いて威嚇している精霊も居た。

「精霊を密猟する輩が居ると聞いたけど…本当だったんだな」

「まさか……大抵の国では違法だろう?」

「噂で聞いたけど…。新大陸では金持ちが精霊を買ってコレクションにするのが流行ってるみたいですね。西大陸では絶対にありえないことです」

騎士達もざわめく。
西大陸では大昔から精霊は神に等しい存在で人間より格上のもの、みんなが崇めている。
こんな罰当たりな行為は絶対にしないし、禁止されていた。

「酷いわ……!精霊を見世物みたいに扱うなんて!」

シャルロットは怒りに震えた。

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