シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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恐怖のアンデットライン農園へ!首無し騎士と拗らせ女神のアイスクリームパーラー

日曜日のおでかけ

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 ーー日曜日の朝。

「ママ~!ママたち、どこにいくの?」

 朝食後、デュラハンやベンジャミン、護衛の騎士ゲーテとユーシンを連れて外出しようとしたところに、背中に子狼スノウを乗っけた幻狼エステルがピョンピョン跳ねながら追いかけてきた。

「街へ行くの。エステルも行く?」

「行く~!スノウも連れてっていい~?」

「いいわよ。じゃあ、グレイも呼んでいらっしゃい。オオカミの姿だと街の人がびっくりしちゃうから、ちゃんと犬に化けてね?」

「はーい!」

 元気の良い返事をして、屋敷の中にUターンして走って行く。

 *

 村を通り過ぎてしばらく馬車を走らせると、活気のある石畳の街が見えてきた。
 ポメラニアンのグレイ、ダックスフンドに化けたエステルは馬車を勢いよく飛び出すと尻尾を振って街中を駆け回った。

 魔法がまだ不自由な子幻狼スノウは犬の変身する魔法が使えず、オオカミの赤ちゃんの姿のままだが、遠目に見れば子犬なので問題はないだろう。
 目の前を駆け回る可愛い犬たちを見てデュラハンは自然な笑顔を浮かべて、明るくはしゃいでいた。

「犬効果?で、首無し騎士の怖さが軽減されているな」

 ゲーテはボソッと呟いた。
 シャルロットは隣で苦笑していた。

「こんにちは」

 街中にある理髪店に入ると、口髭を生やしたダルマ体型の理髪師が迎えてくれた。

「いらっしゃいませ、おや、可愛いお嬢さん」

「あの、この人の髪をカッコよく切ってもらいたいの」

「え……?…ギャア!アンタは……!」

 デュラハンを見るなり、理髪店の主人は悲鳴をあげて腰を抜かした。
 床の上に尻をついてビクビク怯えている。

「この人はゴーストなんかじゃありません!お客様よ、カットをお願いしますわ」

 シャルロットは語気を強めて大きな声で言った。

「びっくりさせてごめんなさい、ご主人。お詫びに、これをどうぞ」

「え……?ナッツ……?光ってる……?」

「利き手の手首を痛めて、ハサミを持つのが辛いだろう?僕が魔法をかけたこのナッツを食べれば、怪我もすぐに治るよ。お食べ」

「どうして…私の怪我のことを……?しかし……」

 半信半疑そうな理髪店の主人だったが、シャルロットが食べるように促したため、恐る恐るナッツを口の中に入れた。
 訝しげな顔でナッツを咀嚼し、飲み込むと、たちまち主人の右腕が白く発光した。

「……ええっ?これは……」

 信じられないという顔をして、主人は手のひらを握ったり開いたり、腕や肩を回した。

「すごい……!腕が軽い……!手の震えや痛みも消えている!ついでに肩も上がるぞ!」

 理髪店の主人の患っていた職業病の腱鞘炎や、加齢による四十肩が治っているようだ。
 彼は嬉しそうに笑顔になると、デュラハンの手を握り感謝を述べた。

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 デュラハンは照れ笑いしながらも、嬉しそうだった。

「どうですか?デュラハンさんはゴーストや死神なんかじゃないでしょう?」

「ええ!まるで神様でございます」

「か、神は、大袈裟です……うう……」

 すっかり打ち解けた理髪店の主人は、御礼にと腕を振るってカットをしてくれた。
 長ったらしいボサボサの黒髪を短く切り整えて、ワックスでまとめて、前髪はオールバックに後頭部に流した。

「まあ、素敵。すごくカッコいいわ、デュラハンさん」

「本当、本当、顔やスタイルもいいから劇場の舞台俳優さんみたいだねえ!」

「ほんと?変じゃない?は、恥ずかしい……」

 顔を真っ赤にさせ、不安げな目で鏡を見るデュラハン。
 理髪店の主人にはチップを多めに上乗せして駄賃を払い、店を出た。

「わ~!デュラハン、ナイスガイだねー」

「似合ってるっす」

「フン、バケモノっぽさが無くなって、マシになったな」

 店外で待っていたベンジャミン、ユーシン、ゲーテから反応をもらうと、ますますデュラハンは顔を赤くさせた。

「せっかくだから洋服も新調させましょう?私が見立ててあげるわ」

 全身真っ黒で時代遅れの衣服に、ボロボロのマント。
 この装いが怖さを引き立てているのかもしれない。

「あ、お姫様……?」

 シャルロットに腕を引っ張られ、デュラハンは戸惑っていた。
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