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3精霊の羽化
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ーーこうして眠り猫のデイジーと不眠気味の王子クインスの共同生活が始まり半年後。
クインス王子は早朝から正午過ぎまで城に篭って公務を行う、時折領地を巡り、外交もこなす。
眠り猫デイジーはお城の中をふらふらして陽当たりのいい場所を見つけてお昼寝をする、お昼はスイーツをたらふく食べて、食後の運動に魔法の練習をしたり長い回廊を駆け回ったり、ふかふかでお日様の匂いがする毛布にくるまりうたた寝しては美味しいケーキを食べたり……。
「天国みたい♡」
眠り猫はベッドの上でゴロゴロと喉を鳴らす。
置き時計が二十三時を知らせる鐘を鳴らすと、湯浴みや寝支度を済ませたクインスがやって来る。
「デイジー」
「クインス!こんばんは」
今夜もクインスが訪れた。
デイジーは尻尾を振ってそれを迎える。
二十分くらい他愛のないおしゃべりをすると、部屋の明かりを消して一緒にベッドに入る。
デイジーは横向きで眠るクインスの胸に顔を擦り付け微笑しながら自分も眠る。
共同生活を始めて半年目、毎晩快眠しており目の下のクマもすっかり消えている。
よく眠っているからお肌の調子もいいようだ。
明け方、いつものように眠てるクインスに擦りつく。
なんだか触感がいつもと違うようなーー静かに目を開けるとクインスがいつもより縮んで見えた。
「ーーん?」
顔を洗おうと手を顔の前にやると、目に入ってきた自分の手がいつも違った。
人間の女性の白くて か細い手だ。
むくりと身体を起こして自分の姿を確認すると、猫耳と尻尾の生えた全裸の女性の姿になっていた。
白くて柔らかい素肌、膨らんだ胸に、細長い肢体、腰の辺りまで伸びたピンクブラウンの猫っ毛。
寝室の窓に映ったのは18歳前後の人間の娘の姿。
ーー精霊の羽化だ。
成人した証だ。
羽化する時期は精霊の個体によって疎らで、デイジーは一般的な羽化の時期よりもだいぶ遅れていたのだが……ようやく羽化できた。
デイジーは大喜びして眠っているクインスに飛びついた。
「クインス、起きて!ねえ、起きて!」
「……なんだ?」
「羽化したの!やっとオトナになれたの!」
クインスが目を開けるとそこには全裸で無邪気にはしゃいでる猫耳の娘がいた。
寝起きで頭も良く回らず、クインスは目を見張ってフリーズしていた。
「だれだ!?」
「わたしよ、デイジーよ」
クインスは我にかえると慌てて毛布で全裸のデイジーを包んだ。
デイジーは首を傾げている。
「服を持ってくる、ベッドから出るんじゃないぞ!待ってろ!」
「?」
あんなに大慌てするクインスは珍しい。
精霊のデイジーには全裸で恥ずかしいという感覚はなかった。
クインス王子は早朝から正午過ぎまで城に篭って公務を行う、時折領地を巡り、外交もこなす。
眠り猫デイジーはお城の中をふらふらして陽当たりのいい場所を見つけてお昼寝をする、お昼はスイーツをたらふく食べて、食後の運動に魔法の練習をしたり長い回廊を駆け回ったり、ふかふかでお日様の匂いがする毛布にくるまりうたた寝しては美味しいケーキを食べたり……。
「天国みたい♡」
眠り猫はベッドの上でゴロゴロと喉を鳴らす。
置き時計が二十三時を知らせる鐘を鳴らすと、湯浴みや寝支度を済ませたクインスがやって来る。
「デイジー」
「クインス!こんばんは」
今夜もクインスが訪れた。
デイジーは尻尾を振ってそれを迎える。
二十分くらい他愛のないおしゃべりをすると、部屋の明かりを消して一緒にベッドに入る。
デイジーは横向きで眠るクインスの胸に顔を擦り付け微笑しながら自分も眠る。
共同生活を始めて半年目、毎晩快眠しており目の下のクマもすっかり消えている。
よく眠っているからお肌の調子もいいようだ。
明け方、いつものように眠てるクインスに擦りつく。
なんだか触感がいつもと違うようなーー静かに目を開けるとクインスがいつもより縮んで見えた。
「ーーん?」
顔を洗おうと手を顔の前にやると、目に入ってきた自分の手がいつも違った。
人間の女性の白くて か細い手だ。
むくりと身体を起こして自分の姿を確認すると、猫耳と尻尾の生えた全裸の女性の姿になっていた。
白くて柔らかい素肌、膨らんだ胸に、細長い肢体、腰の辺りまで伸びたピンクブラウンの猫っ毛。
寝室の窓に映ったのは18歳前後の人間の娘の姿。
ーー精霊の羽化だ。
成人した証だ。
羽化する時期は精霊の個体によって疎らで、デイジーは一般的な羽化の時期よりもだいぶ遅れていたのだが……ようやく羽化できた。
デイジーは大喜びして眠っているクインスに飛びついた。
「クインス、起きて!ねえ、起きて!」
「……なんだ?」
「羽化したの!やっとオトナになれたの!」
クインスが目を開けるとそこには全裸で無邪気にはしゃいでる猫耳の娘がいた。
寝起きで頭も良く回らず、クインスは目を見張ってフリーズしていた。
「だれだ!?」
「わたしよ、デイジーよ」
クインスは我にかえると慌てて毛布で全裸のデイジーを包んだ。
デイジーは首を傾げている。
「服を持ってくる、ベッドから出るんじゃないぞ!待ってろ!」
「?」
あんなに大慌てするクインスは珍しい。
精霊のデイジーには全裸で恥ずかしいという感覚はなかった。
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