ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

文字の大きさ
25 / 171
第一章 毒娘、冒険者になる

21:毒殺屋ですが無事にパーティーが組めました

しおりを挟む


 ナニをポロリンするんですかねぇ……。


「……どうしたの? ピーゾンさん」

「いや、何でもないよ」


 今、私はポロリンと共に冒険者ギルドに向かっている。
 ポロリンの背中には新人冒険者セットと言うべき道具が詰まった背嚢。
 道具屋のおばちゃんが用意してくれたものだ。


 昨日、ポロリンが冒険者になる事を決意し、私はパーティーを組むことになった。
 シェラちゃんは男なのに【セクシーギャル】となった事に驚いていたが、ポロリンが自分の道を決めて歩き始めた事については喜んでいた。

 ポロリンのお母さん――道具屋のおばちゃんも部屋を出て独り立ちするポロリンの事を応援してくれた。

 ただ冒険者相手の道具屋という職業柄、その危険性についてはとても実感している様子で、冒険者がいかに危険な仕事なのかを伝えていた。

 結局は同年ではあるものの一応先輩でありEランクになった私とパーティーを組むという事で納得してもらった所はある。
 もちろんポロリンのジョブの事も知ってるし、私が固有職ユニークジョブだって事も伝えておいた。

 ……【毒殺屋】って言ったら引いてたけど。


 我が子が男ながらに【セクシーギャル】となった事についておばちゃんはどう思ったんだろう……なんとなく複雑な心境になった。


 ともかくそんなわけで、まずは冒険者登録に行くのだ。
 道具屋からギルドまではさほど離れていない。
 並んで歩くポロリンは晴れ晴れとした、どこか嬉しそうな表情に見える。
 やっと歩き出せたのだから気分が上がっているのだろう。

 ……ただその内股歩きはヤメロ。私より女っぽい歩き方ヤメロ。

 ……ただでさえ見た目美少女すぎるのに。勝ち目がないんだが?


 冒険者ギルドに入ると、先輩冒険者たちの衆目に晒される。
 ワイバーンの一件もあるが、となりでポロリンが「うわぁ~こうなってるんだぁ」とか目を輝かせているので余計だ。

 その両手を胸で合わせるやつヤメロ。感動を表す時は「おおー」と言え。


「あいつがワイバーン――」
「ホントに鉈――」
「おい、あの可愛い――」
「また毒草――」


 昨日も少しザワついてたけど、やっぱ今日のほうがザワついてる。
 でもまぁ無視して、キョロキョロしてるポロリンを引っ張り、登録窓口の図書委員さんの所に向かう。


「こんちわ」

「こんにちはピーゾンさん、そちらは?」

「新規登録お願いします。私とパーティー組むんで」

「お、お願いしますっ!」

「ほぉ、ピーゾンさんがパーティーですか……分かりました。個室の方がよろしいですか?」

「ですね」


 図書委員さんはポロリンが固有職ユニークジョブだって気付いてるだろう。私が連れてきた時点で。
 私に「固有職ユニークジョブはパーティーが組みにくい」って言った張本人だしね。
 そんなわけで三回目の小慣れた個室へ。


「【セクシーギャル】……ですか……」

「はい……」

「……なるほど、だからピーゾンさんが組むと」

「ですね」


 図書委員さんもやはり初見のジョブだったらしい。
 スキルについても質問したかったけど、冒険者ギルドは詮索しないスタンスだし、秘匿義務はあっても国外にも広がる組織だからね。あんま言うと国に目ぇ付けられそうでやめておいた。

 手続きが終わりFランクのカードを受け取ったポロリンは非常に嬉しそうだった。

 そのカードを両手で持つ仕草ヤメロ。「うわぁ」とか言うな。


「パーティー名はどうします?」


 あ、それも登録するのか。全然考えてなかったや。


「どうする? ポロリン」

「どうしましょっか……とりあえずピーゾンさんリーダーお願いします」

「あー、そっか。まぁいいけど、名前はどうしよっかな。パーティー名を聞いても私たちのジョブがイメージできないヤツがいいんだよねー。なんかある?」

「うーん……【逞しき筋肉ダンディーマッソー】とか――」

「【輝く礁域グロウラグーン】でお願いします」


 危ないよ。なんだ【逞しき筋肉ダンディーマッソー】って。
 思わず『クリハン』の時のギルド名使っちゃったよ。

 この子は見た目の美少女感にコンプレックスでもあるのか、どうも男らしさとか筋肉とかに惹かれるらしい。
 道具屋のおばちゃんに「ボク、冒険者になって逞しくなるよ!」とか言ってたし。

 無言で見つめてくるポロリンを余所に、私と図書委員さんはそそくさと手続きを済ませた。


 それともう一つ確認したい事があるのだ。


「ギルドで戦闘講習が受けられるって聞いたんですけど」

「ええ、十日に一度裏庭で行われます。基本的にはそれを受けてからでないと討伐依頼を受けるのは控えるように促すのですが……」


 図書委員さん曰く、私にそれを伝えなかったのは、やはり最初に依頼を受けずにソロでゴブリンを六匹も倒してきた事。
 そして【毒殺屋】としての戦い方を他人に見せたくないだろうという配慮もあったそうだ。

 また、講習では模擬剣などを使う為、鉈を腰に下げている私は剣を使えないだろうと判断されたらしい。ほっとけ。

 【魔法使い】系のジョブでも同じように的に魔法を撃ったりする。
 まさかそこで毒を放つわけにもいかないし、結局、私は講習を受けるのは止めた方が良いだろうという事だ。


 しかしポロリンが加入するとなれば話は変わる。
 戦闘未経験者だし、武器もこれから見るがトンファーが使えるのは確実。
 それだったら見せても問題ないだろうし、ポロリンに講習は受けさせてあげたい。
 もちろん私が直々に教えるつもりはあるけどね。


「でしたら三日後の朝にいらして下さい。予約を入れておきます」

「お願いします。私も付き添いで来ますんで。講習受けるか分からないですけど」

「担当の職員にその旨は伝えておきましょう」


 三日後か。それまでには基礎くらいは教えておかないとね。
 何も知らないより多少なりとも知っておいた方がいいだろうし。





 そして向かうは武器屋。トンファーがないと話にならない。
 で、オーフェンにある武器屋を巡ったのだが……。


「トンファー? さすがにねえな」
「王都にならあるだろうが……」


 という事で二軒はダメ。トンファーが認知されている事に安堵したけど収穫はそれだけ。
 最後は一番敷居の高い、高ランク冒険者用の武器屋に行く。


「まぁ一組だけあるにはあるが……」

「あるの!?」

「一応置いてるだけの鉄の棒だよ。言わば練習用とか初心者用だな。ちゃんとしたトンファーはオーダーメイドで作るか王都に行くか、だな」


 おお! あるだけラッキーでしょう!
 そもそも私たち王都に行くまでの間に合わせで欲しいだけだし。
 ポロリンもやっと見つかった事に嬉しそうだ。


「そもそもトンファー欲しいって、おまえさん【武闘家】にでもなったのか? だったらグローブとか棍とかのが良いぞ?」


 聞けばトンファーというのは本当に需要がないらしい。
 武器として扱えるのは【拳士】の上位派生【武闘家】くらいのもので、それにしてもグローブや棍、棒を武器とするのが普通。
 好き好んでトンファーを使う人はいないらしい。
 と言うかトンファーって【武闘家】の武器なんだ。【空手家】とかないのかな?

 でもね親父さん、この子、トンファー限定なんですよ。
 一応行った武器屋で色んな武器を装備できるか試したんですけど、やっぱトンファーだけなんですよ。
 笑っちゃいますよね。ハハハ。まぁ私は武器全部ダメなんですけど。ハハハ。くそが。


 結局、ポロリンは銀貨五枚(約五千円)でトンファーをゲットした。
 高ランクの店なのに随分と安いと思ったら、「練習用だしホコリかぶってた売れ残りだから」という事らしい。


「おおっ! 装備できる! ほら、ピーゾンさん使えるよ!」


 早速店内で装備してはしゃぐポロリン。
 確かに構え、振る動作を見るとトンファーを知らない初心者ではない。
 やはりスキルを持っている事で使い方は分かるらしい。

 ……ただ「えいっえいっ」って素振りみたいにやってるけど、動きがどこかセクシーなんだよなぁ。なんなんだ、この艶めかしさ。

 ま、とりあえず満足そうだからいっか。
 ついでに練習用に私用の木剣も買った。
 さて防具屋行きますかね。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...