ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

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第一章 毒娘、冒険者になる

21:毒殺屋ですが無事にパーティーが組めました

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 ナニをポロリンするんですかねぇ……。


「……どうしたの? ピーゾンさん」

「いや、何でもないよ」


 今、私はポロリンと共に冒険者ギルドに向かっている。
 ポロリンの背中には新人冒険者セットと言うべき道具が詰まった背嚢。
 道具屋のおばちゃんが用意してくれたものだ。


 昨日、ポロリンが冒険者になる事を決意し、私はパーティーを組むことになった。
 シェラちゃんは男なのに【セクシーギャル】となった事に驚いていたが、ポロリンが自分の道を決めて歩き始めた事については喜んでいた。

 ポロリンのお母さん――道具屋のおばちゃんも部屋を出て独り立ちするポロリンの事を応援してくれた。

 ただ冒険者相手の道具屋という職業柄、その危険性についてはとても実感している様子で、冒険者がいかに危険な仕事なのかを伝えていた。

 結局は同年ではあるものの一応先輩でありEランクになった私とパーティーを組むという事で納得してもらった所はある。
 もちろんポロリンのジョブの事も知ってるし、私が固有職ユニークジョブだって事も伝えておいた。

 ……【毒殺屋】って言ったら引いてたけど。


 我が子が男ながらに【セクシーギャル】となった事についておばちゃんはどう思ったんだろう……なんとなく複雑な心境になった。


 ともかくそんなわけで、まずは冒険者登録に行くのだ。
 道具屋からギルドまではさほど離れていない。
 並んで歩くポロリンは晴れ晴れとした、どこか嬉しそうな表情に見える。
 やっと歩き出せたのだから気分が上がっているのだろう。

 ……ただその内股歩きはヤメロ。私より女っぽい歩き方ヤメロ。

 ……ただでさえ見た目美少女すぎるのに。勝ち目がないんだが?


 冒険者ギルドに入ると、先輩冒険者たちの衆目に晒される。
 ワイバーンの一件もあるが、となりでポロリンが「うわぁ~こうなってるんだぁ」とか目を輝かせているので余計だ。

 その両手を胸で合わせるやつヤメロ。感動を表す時は「おおー」と言え。


「あいつがワイバーン――」
「ホントに鉈――」
「おい、あの可愛い――」
「また毒草――」


 昨日も少しザワついてたけど、やっぱ今日のほうがザワついてる。
 でもまぁ無視して、キョロキョロしてるポロリンを引っ張り、登録窓口の図書委員さんの所に向かう。


「こんちわ」

「こんにちはピーゾンさん、そちらは?」

「新規登録お願いします。私とパーティー組むんで」

「お、お願いしますっ!」

「ほぉ、ピーゾンさんがパーティーですか……分かりました。個室の方がよろしいですか?」

「ですね」


 図書委員さんはポロリンが固有職ユニークジョブだって気付いてるだろう。私が連れてきた時点で。
 私に「固有職ユニークジョブはパーティーが組みにくい」って言った張本人だしね。
 そんなわけで三回目の小慣れた個室へ。


「【セクシーギャル】……ですか……」

「はい……」

「……なるほど、だからピーゾンさんが組むと」

「ですね」


 図書委員さんもやはり初見のジョブだったらしい。
 スキルについても質問したかったけど、冒険者ギルドは詮索しないスタンスだし、秘匿義務はあっても国外にも広がる組織だからね。あんま言うと国に目ぇ付けられそうでやめておいた。

 手続きが終わりFランクのカードを受け取ったポロリンは非常に嬉しそうだった。

 そのカードを両手で持つ仕草ヤメロ。「うわぁ」とか言うな。


「パーティー名はどうします?」


 あ、それも登録するのか。全然考えてなかったや。


「どうする? ポロリン」

「どうしましょっか……とりあえずピーゾンさんリーダーお願いします」

「あー、そっか。まぁいいけど、名前はどうしよっかな。パーティー名を聞いても私たちのジョブがイメージできないヤツがいいんだよねー。なんかある?」

「うーん……【逞しき筋肉ダンディーマッソー】とか――」

「【輝く礁域グロウラグーン】でお願いします」


 危ないよ。なんだ【逞しき筋肉ダンディーマッソー】って。
 思わず『クリハン』の時のギルド名使っちゃったよ。

 この子は見た目の美少女感にコンプレックスでもあるのか、どうも男らしさとか筋肉とかに惹かれるらしい。
 道具屋のおばちゃんに「ボク、冒険者になって逞しくなるよ!」とか言ってたし。

 無言で見つめてくるポロリンを余所に、私と図書委員さんはそそくさと手続きを済ませた。


 それともう一つ確認したい事があるのだ。


「ギルドで戦闘講習が受けられるって聞いたんですけど」

「ええ、十日に一度裏庭で行われます。基本的にはそれを受けてからでないと討伐依頼を受けるのは控えるように促すのですが……」


 図書委員さん曰く、私にそれを伝えなかったのは、やはり最初に依頼を受けずにソロでゴブリンを六匹も倒してきた事。
 そして【毒殺屋】としての戦い方を他人に見せたくないだろうという配慮もあったそうだ。

 また、講習では模擬剣などを使う為、鉈を腰に下げている私は剣を使えないだろうと判断されたらしい。ほっとけ。

 【魔法使い】系のジョブでも同じように的に魔法を撃ったりする。
 まさかそこで毒を放つわけにもいかないし、結局、私は講習を受けるのは止めた方が良いだろうという事だ。


 しかしポロリンが加入するとなれば話は変わる。
 戦闘未経験者だし、武器もこれから見るがトンファーが使えるのは確実。
 それだったら見せても問題ないだろうし、ポロリンに講習は受けさせてあげたい。
 もちろん私が直々に教えるつもりはあるけどね。


「でしたら三日後の朝にいらして下さい。予約を入れておきます」

「お願いします。私も付き添いで来ますんで。講習受けるか分からないですけど」

「担当の職員にその旨は伝えておきましょう」


 三日後か。それまでには基礎くらいは教えておかないとね。
 何も知らないより多少なりとも知っておいた方がいいだろうし。





 そして向かうは武器屋。トンファーがないと話にならない。
 で、オーフェンにある武器屋を巡ったのだが……。


「トンファー? さすがにねえな」
「王都にならあるだろうが……」


 という事で二軒はダメ。トンファーが認知されている事に安堵したけど収穫はそれだけ。
 最後は一番敷居の高い、高ランク冒険者用の武器屋に行く。


「まぁ一組だけあるにはあるが……」

「あるの!?」

「一応置いてるだけの鉄の棒だよ。言わば練習用とか初心者用だな。ちゃんとしたトンファーはオーダーメイドで作るか王都に行くか、だな」


 おお! あるだけラッキーでしょう!
 そもそも私たち王都に行くまでの間に合わせで欲しいだけだし。
 ポロリンもやっと見つかった事に嬉しそうだ。


「そもそもトンファー欲しいって、おまえさん【武闘家】にでもなったのか? だったらグローブとか棍とかのが良いぞ?」


 聞けばトンファーというのは本当に需要がないらしい。
 武器として扱えるのは【拳士】の上位派生【武闘家】くらいのもので、それにしてもグローブや棍、棒を武器とするのが普通。
 好き好んでトンファーを使う人はいないらしい。
 と言うかトンファーって【武闘家】の武器なんだ。【空手家】とかないのかな?

 でもね親父さん、この子、トンファー限定なんですよ。
 一応行った武器屋で色んな武器を装備できるか試したんですけど、やっぱトンファーだけなんですよ。
 笑っちゃいますよね。ハハハ。まぁ私は武器全部ダメなんですけど。ハハハ。くそが。


 結局、ポロリンは銀貨五枚(約五千円)でトンファーをゲットした。
 高ランクの店なのに随分と安いと思ったら、「練習用だしホコリかぶってた売れ残りだから」という事らしい。


「おおっ! 装備できる! ほら、ピーゾンさん使えるよ!」


 早速店内で装備してはしゃぐポロリン。
 確かに構え、振る動作を見るとトンファーを知らない初心者ではない。
 やはりスキルを持っている事で使い方は分かるらしい。

 ……ただ「えいっえいっ」って素振りみたいにやってるけど、動きがどこかセクシーなんだよなぁ。なんなんだ、この艶めかしさ。

 ま、とりあえず満足そうだからいっか。
 ついでに練習用に私用の木剣も買った。
 さて防具屋行きますかね。


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